傷付いた心とお願い
智嫁は作った数品の料理を
ガラステーブルの上に置いた。
その朝ご飯の香りに
誘われる様にテーブルの前に座り
智嫁も向かい合うようにして座った。
何も言わずに手だけを合わせて
パクッとサンドイッチを一口食べて
言った。
蒼希
「凄い美味しい!味付けもいいし。
料理得意なんだね。」
そう言われた言葉で
智嫁の表情が変わったのを
蒼希は気が付かなかった。
でも、智嫁は直ぐに
平然とした表情に変えたから
気が付かなかったのも仕方がない。
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2人は朝食を終えると
ベッドに隣同士になり座っていた。
蒼希
「あのさ…
一昨日の夜の話を聞いてもいい?」
智嫁は黙って俯いたと思ったら
突然、こんな言葉を言った。
智嫁
「私をここに居させて下さい!」
そう言って蒼希に向かって
ベッドに両手を付けて頭を下げた。
あまりにも、本人も言った様に
突飛過ぎるお願いだからだろう
蒼希は目を丸くして驚いている。
でも、蒼希は疑問だらけだった。
なんでこんなに必死になってるか?
素性を知らない僕にお願いをするのか?
蒼希
「ま、待ってよ。
見ず知らずの人に頼むのは
何か理由があるからなんでしょ?」
智嫁は黙って縦に頷いて
頭を上げた目は涙が浮かんでいた。
智嫁
「私…付き合ってた人と別れたの。
私が一方的に突然伝えたけど…
理由があってのことだった。
私の家に毎日、毎日来る、それが辛いの。
そんな彼から匿ってほしいの。」
蒼希は、腕組みをしながら
フローリングの床に目線を落として
智嫁を信じるか考えていた。
そんな時に智嫁が右側にいる
蒼希の右腕に手を置いて言った。
智嫁
「こんな状況で
彼方…蒼希さんに会えたのは
天がくれた助けなの…お願い、助けて。」
蒼希は必死に懇願する彼女を
外に放り出す様な行動は取れなかった。
蒼希
「匿うとか居させてとかは嫌だね。
だから、ここに住めばいい。
ただ、1つだけの条件があるよ。」
智嫁
「何ですか!」
蒼希の答えが意外だったのか
目を丸くしながら、思いきり喰い付いた。
蒼希
「いつかは全て話してくれる事。
今、無理矢理聞き出すことはしない。
複雑な理由があるんだと思うから。」
智嫁はその条件を飲み
今日からここに住むことになった。
蒼希はただ1つ心配な事があり
こう聞いた。
蒼希
「家に帰らなくても
智嫁の御両親は心配しないの?」
智嫁
「両親は仕事で海外なんで
私は一人暮らしだから平気ですし
…学校にも暫く休むと連絡します。
住む以外は迷惑を掛けない様にします。」
そして、智嫁は何もしないで
家にいるのは申し訳なく思って
蒼希に言うと「じゃあ、家事してくれる?」
そう言われて家事が智嫁の役割となった。




