十人十色な出逢い
PM12時00分
煌びやかなネオンが
夜の闇の街を明るく輝かせている。
そして
心地よい位の
優しい風が吹いている。
この日は
珍しく静かで穏やかな
時間が流れている感じだった。
時々、通る人が
あるカフェの隅に目をやり
何かを呟きながら歩いて行く。
それを遠目から見ていた
整った顔立ちの男性2人は
不思議に思いながらも2人で目を向けた。
2人の男性
「………。」
2人は見た瞬間に
2人の男性は目を見合わせて
何も言葉を発さずに見ているだけだ。
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AM7時50分
もう、日が昇っているはずの
時間だけど…部屋は薄暗い感じ。
でも、カーテンの隙間から
優しい明かりが差し込んでいた。
智嫁
『何だろう…
身体が浮いている感じがする。
固い地面の感覚じゃない。
それに…唇に感じる温もりは…。』
目を瞑りながら
頭の中で感じている感覚を
言葉にして思っていた。
そして、重たかったが
いつまでも寝ている訳にもいかず
ゆっくりと目を開けた。
智嫁
「…!!」
目は眠くて重たかったはずなのに
自分の格好を見て、頭では何一つ
理解してないが、一気に覚醒した。
智嫁は
見知らぬ家、部屋、ベッド上に
見知らぬ男性とキスしながら寝ていた。
直ぐに
頭を後ろに反って唇を離した…。
起き上がろうとしたが…
激しい頭痛で再度目を閉じてしまった。
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AM10時16分
智嫁はベッドで寝がえりをすると
ゆっくりと目を覚ました途端に
急に男性の声が聞こえた。
蒼希
「起きたのか?
今、拘束を外してやる。」
その声は男性の声は
最初は高めの声だったが
最後の言葉は低い声を出した。
智嫁は、何が起こってるか分からず
男性は手首、足首を縛っていた
ネクタイを外し、最低限の自由を解放した。
その時に
初めてしっかりと男性の顔を見た。
智嫁は男性の顔を見張った。
猫の様な目、キラリと光る右のピアス
赤茶色の髪は襟足に触れている。
誰もが見惚れてしまう位の整った容姿だ。
出掛ける感が一切ないが
格好は完璧に出来上がっていた。
でも、智嫁は見惚れたのでなくて
フッと朝方のキスの事が頭を掠めて
言葉を発した。
智嫁
「…誰…何で…、」
何故か思う様に口が動かない。
何より、口を動かす振動で頭痛がする。
そんな智嫁の様子を知ってか、知らずか
こう言った。
「僕か誰かって?
何で拘束したかって?
それが気になるなら教えてあげる。」
蒼希
「俺は番場 蒼希、20だ。
酔っていた智嫁に襲われると迷惑。
だから、拘束した。」
智嫁
「襲う…?私…襲った?」
蒼希
「何も無かった。
偶然触れ合ったんだろう。
智嫁も気にするな。」




