お花見に行こう!
春と言えば、お花見。
天気がいい日にお花見すると、すごく気持ちがいいものですよね。
さて、妻たちのお花見や、いかに。
朝起きて一番に確認した空は、まだ陽が昇りきっていないのですが、雲ひとつない晴天でした。
よっしゃーっ!!
今日は前々から計画していたお花見の日なんです!
レインに教わった「天気になーれ」のおまじないが効いてくれたに違い有りません。
レインは本当にいろんなことをよく知っていますよね。
夫もおまじないに積極的に協力してくれたので、夫も今日のお花見を楽しみにしてくれているみたいなんですよね。
晴天となれば、お花見決行は間違いなし!
となれば、急いで支度しなくちゃですね。
早速昨日の内に仕込んでおいたお弁当の具材を手早く調理して、四人分のお弁当とおやつと飲み物を用意して。
あ、ウーマさんとエイリーさんに蜂蜜パンは必携おやつですから、今日はちょっと違ったおやつも作って持って行ってあげましょうね。それから、ビビくんはどうやら蜂蜜よりも胡桃の方が好きみたいなので、胡桃のパンも用意して、と。
そろそろ二度寝をしている夫を起こそうかな、と思ったのですが、昨日は帰りがとても遅かったようですし、もうちょっと寝かせておいてあげることにしました。
朝食の用意も出来てますし、荷物の確認でもしておきましょうか。
お弁当よーし、おやつもよーし、飲み物、お手拭き、食器類もちゃんと入れました。敷物も入っていますし、まだ少し寒いかもしれないので膝掛けも用意してあります。
場所は夫達が知っているそうなのでお任せでいいですし、靴はいつもお散歩の時に使っているやつでいいですよね。
・・・あっ!
夫にもらった日焼けどめを忘れてました!
匂いもほとんどなくてべたつかないですし、塗った後は肌の調子がいいような気がするんですよね。前の勉強会の時にレインに話したら、少し使ってみたいと言われていたのを忘れてました。
そうそう、それから私が前に作った干物が物凄く好評だったから、また作って欲しいと言われていたんでしたっけ。これから作っても間に合わないですが、夫の晩酌用に少し作り置きがあるので、お花見の時にみんなで食べましょう!
次々と荷物を足して行く内に、鞄に入り切らなくなってしまいました。
・・・うーん、これはいくらなんでも、持って行きすぎかも。
夫は絶対に私に重い荷物を持たせようとしないので、疲れさせちゃいますよね。
別の鞄に荷物を詰め替えていると、夫が起きて来ました。
あれ、珍しい。普段は私が起こすまで気持ち良さげに寝て居るのですが。もしかして、あーでもない、こーでもないと荷物を入れ替えている音がうるさかったのかもしれません。
「すみません、うるさかったですか?」
出発まではまだまだ時間があるので、もうちょっと寝て居ても大丈夫ですよ、と言おうとしたら、夫が首を傾げました。
焦げ茶色の目が、不思議そうな色を浮かべています。
「それは?」
開けっ放しのふたつの鞄に視線を向けながら夫が聞いて来ました。
「レインたちとのお花見用の荷物です!今日はいい天気になりそうですよ!」
ワクワクする気持ちを抑えきれずに言うと、夫はほんの少し沈黙しました。
「旦那さま?」
夫が無口なのはいつものことなのですが、今の沈黙はなんだか言い難そうな、迷うような感じがして、気になって聞いて見ると、夫は小さくため息をつきました。
「・・・次だ」
「え?」
「花見は、次の休みだ」
え。
ええっ!?
ぱっ、と夫が私のために作ってくれた暦を見ると、確かに今日ではなくて、次のお休みの部分に丸がついています。
・・・ま。
間違えたぁぁぁっ!!
す、すっかり今日がお花見の日だと思い込んでました・・・。
ああっせっかくお花見日和のお天気だったのに、お弁当もおやつも作ったのにっ。
ずーん、と落ち込んでいると、ぼふっといきなり頭が重たくなりました。
ちらり、と見上げると、夫の大きな手が頭に乗っかっていて、優しい色を浮かべた焦げ茶色の瞳が私を見ています。
「・・・川へ」
川?
前に一度だけ行ったことがある、街から少し離れた場所にある水がとっても綺麗なあの川でしょうか?
うわっ、行きたいです!
「・・・はいっ、行きましょう!」
落ち込み状態から一気に気分が浮上して、元気よく返事をすると、少し目を優しく細めてぐりぐりと撫でてくれました。
すぐにウーマさん達と一緒にお出かけして、夫が案内してくれた川辺には、小さな薄桃色の花がたくさん咲いています。
お花です、お花見ですっ! これって、お花見って言えますよね!?
嬉しくなって夫を見上げると、小さく頷いてくれました。
お花見、決定ですっ!
綺麗に咲いているお花を潰さないように持って来たシートを広げて、みんなでお弁当を食べたり、ちょっとお散歩したり、生まれて初めて釣りを体験したり。
私も一匹釣りました!
・・・小さな子供の魚だったので、川に戻しましたけどね。
夫は大きな魚を次々と釣りあげていきます。釣った魚は夫の希望で、燻製にしてみました。
なかなか好評だったので、レイン達とのお花見の時に少し持って行こうかな、と思っていたのですが、気がついたら夫が全部食べちゃったようです。
そんなにお魚が好きだったとは知りませんでした!
夫の好物リストにお魚の燻製を加えつつ、次のお休みの時には、こっそり夫の鞄にクコールとお魚の燻製を詰めておこう、と企んでみたり。
・・・次のお休みのお花見も、楽しみです!
夫、ナイスフォロー!
楽しみが増えて、よかったね!
ところで、夫の協力が必要なおまじないって一体・・・?