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目覚めたその後は・・・(ヴァルファス視点)

ヴァルファス視点第二弾!

前のお話の続きで、寝て起きた、その後のお話。

 とても、幸せな夢を見ていたから。

 もうちょっと見ていたいな、と思ったけれど、奇妙な気配を感じて目が覚めた。


 柔らかい布が敷き詰められた籠の中で、ひとりで丸くなっていたみたいだ。

 暖かくて、いい匂いがする人に抱っこされていたはずなのに。

 それにいくら敵意が無くなったとはいえ、自分よりも強い捕食者がすぐ側にがいるのに、こんなに無防備に寝ちゃったのは初めてかもしれない。


 ここ、どこだろう。

 なんだか、さっきの捕食者やあの暖かい手の人とはまた違った気配がするような気がするんだけど。


 身体を起こして籠の外を見ると、目の前にものすごく、大きな顔があった。

 一瞬、頭の中が真っ白になる。


 ・・・なにこれ?

 なんでこんなところに、ボウドゥがいるの?

 ボウドゥって、あれでしょ、大人になったぼくたちヴァルファスと並べ称されるほど凶暴な捕食者でしょ。


 だから、どうして。

 同じ場所に別の捕食者がっ!?


 ・・・あとから思えば。

 いきなり目の前に捕食者がいたんだから、とっさに体を膨らませて威嚇して、攻撃しようとしてしまったのは、仕方ないことだと思うんだけど。


 そのボウドゥは、子供相手に全く容赦せず。

 ぼくは、完敗した。


 屋根も壁も吹き飛ばして、動けなくなるまで暴れ続けて。

 立ち上がれなくなったときには、ここで死ぬのか、と覚悟を決めたのに。

 ほとんど無傷のボウドゥは、ふふんっ、と鼻を鳴らして壊れた厩の柵の中に戻っていったかと思うと、すぐに戻って来た。

 目が覚めるまでぼくが寝ていた籠を持ってきて、ぼくを入れてどこかへ運んでいく。


 どこへ運ぶつもりなんだろう。


 別の建物の前まで来ると、あの、最初の捕食者の匂いがしてきた。

 ボウドゥがどこか得意げに小さく嘶くと。


「やりすぎだ」


 切って捨てるような、冷たい一言に、ぼくが入っている籠が震えた。


 ・・・それは、ぼくでも傷ついちゃう気が・・・。

 思わず動けない体の代わりに、風を操って、その鬣を撫でる。

 こんなことはしたことがないから、あのいい香りのする人の手を思い出しながら何度もそうしていると、なんだか今にも泣きだしそうな目をしたボウドゥがこっちを見ていた。


 何かを言いかけた、その時。


「ああっ!? ビビ君のきれいな毛がまっくろにっ!?」


 ビビくん?

 籠を覗き込んできたのは、あの手の人で。


「すぐに洗いましょう! って、ああっ!? しかも怪我がひどくなってるっ! どうしてこんなにボロボロに!?」


 大慌てに慌てているのが、ちょっと面白い。

 ボウドゥから籠を受け取ると、伸ばした片手で、丁寧にボウドゥの鬣を撫でてあげている。あ、嬉しそうだ。


「ウーマさんが守ってくれたんですね? えらい! さすが、お兄ちゃんですねっ! ありがとう」


 ・・・いや、守ったというか。

 ぼくをぼろぼろにしたのは、そのボウドゥなんだけど。


 ちらり、とボウドゥを見上げると、黙ってろよ、とか、邪魔するなよ、とかそういう視線が来るかと思っていたのに、妙に輝くような視線で見降ろされていて、思わず、びくっ、と震えてしまって、傷が痛んだ。


 え、なに、この輝く目?


 ちょっと嫌な予感がするなぁ、とは思っていたんだけど。

 この後ぼくは、いつの間にか「ビビ」という名前をもらい。

 ウーマという名のボウドゥに。


 ・・・義弟認定、されていた。



というわけで。

ウーマさんに弟(分)ができましたーっ!


ちなみに、ビビ君をウーマさんのところにおいたのは、夫です(苦笑)


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