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バレンタイン小話② :とある男の入れ知恵。


妻が夫の膝上で強制給餌されている頃。

他の面々はというと・・・?


台本風セリフのみで展開します。




 皆さん、世の中にはバレンタインなる物があるそうですよ。

 ええ、女性が意中の異性にチョコレートを送る日だそうです。

 男性から女性へ花を送る、という国もあるらしいですねぇ。

 ああ、もちろん女性たちにも教えてありますよ。

 え、まだ貰っていないんですか?

 そうですか、それはそれは・・・(含み笑い) 


 Byフローイン



―――



レイン&グレインの場合。


 自作のチョコレートケーキを片手に立ち往生しているレイン。

 グレインのところに持っていこうかどうしようか、考えているうちにグレインが押しかけてきて、目の前から一歩も動かない。


レイン:あのね。言いたいことがあるなら、はっきりいったらどうなんだい(手にしたチョコケーキを左右に揺らす)

グレイン:・・・(左右に揺れる視線)

レ:用がないなら、帰ってくれないか。

グ:・・・(じっとレインとケーキを見つめる)

レ:(「マテ」させられてる犬みたいだな、と思いつつ)言わなきゃ、わからないよ?

グ:・・・・・・欲しい。

レ:はい、良くできました。


 意外と素直なグレインに、満面の笑顔でチョコケーキを渡すレイン。


グ:(一口食べて)・・・うまいな。

レ:そりゃ、よかった。ミリディアのところで機材を借りて、本格的に作ったんだよ。


 上機嫌でにこにこしながらグレインを眺めるレイン。そっと目を閉じるグレイン。


グ:・・・しい。

レ:うん?(一口分のケーキを押し込まれ)むぐっ

グ:全部、欲しい。

レ:っ!


 ギラリと物騒な色を浮かべた深く青い瞳に睨まれ、反射的に逃げ出そうとするレイン。

 それをあっさり捕獲するグレイン。


 ・・・レインが丹精込めて作ったチョコレートケーキは、グレインが全部(・・)、美味しく頂いた。



―――


エーファ&フィリウスの場合。


エーファ:あ、フィリウスさん。あの、これ、良かったら、どうぞ!

フィリウス:これ、チョコレート? なんか丸っこくて、珍しい形だね。

エ:とりゅふ、という物なんですって。ミリディアさんに教わって作ってみたの。私も食べてみたけど、とっても美味しかったし、味は問題ないだろうってレインさんにもお墨付き貰った自信作よ?


にこにこと嬉しそうに、饒舌に語るエーファのセリフに、一瞬固まるフィリウス。


フィ:味『は』? 問題ない『だろう』? (恐る恐る匂いをかいでちょっと青ざめる)・・・エ、エーファ。これ、チョコ以外に何を入れた?

エ:え?確か、ミリディアさんが用意してくれた生クリームと香辛料とお酒が少し・・・って、フィ、フィリウスさんっ!?


 エーファを抱き上げて自宅兼研究室にある秘伝の即効性解毒剤を飲ませ、それから、訳が分からないエーファを誤魔化して、解毒剤片手に「確かに味『は』問題ない」と思いつつ、トリュフを頬張るフィリウス。


・・・後日。鬼のような形相でミリィに説教するフィリウスの姿があったとか。



―――



ミリィ&ヴォルフの場合。(友情出演:見習いのフォン)


ミリィ:これが私の想いよ、受け取って!(超巨大等身大ヴォルフチョコレート)

ヴォルフ:重いっ! 二重の意味で重すぎだっ! なんつーもんを作ってやがる!

ミ:じゃぁ、重すぎなければいいのね? はい、これ(小さな包みを渡す)。あ、今食べてね、今。

ヴ:なんだ、これは?

ミ: なにって見てわかんない? チョコレートよ。

ヴ:外はな。・・・中に何入れた?

ミ:あ、ばれた? もう。せっかく対ヴォルフ用超強力イチャイチャ薬試作品第16号を試そうと思ったのに~。

ヴ:阿呆だっ! おめぇは!


 怒られたミリィ、ブツブツいいながら、フォンに愚痴りに行く。


ミ:あーあ。せっかく作ったのに・・・。

見:ところで、姉御。どうするんですか、この巨大な物体。気味わりぃんですけど。

ミ:失礼ね。もちろんこれは私が食べるのよ! 頭っから足の先までぜーんぶ食べてやるんだからっ! あ、そうそう、はいこれ。義理チョコ。

見:(板状態のチョコを渡され)うわぁ、すげぇ義理っぷり。まぁ、いいっすけど。っつか、姉御、プレゼントするなら兄貴の等身大じゃなくて、自分の等身大にすりゃぁよかったんじゃねぇっすか?

ミ:はっ、そうよ! それはそうよ! ちょっと手伝って!

ヴ:馬鹿な真似するんじゃねぇっ! フォン! てめーも変なこと吹き込むなっ!

ミ:いやぁっ! 等身大、私の等身大チョコ作るのっ! 作ってヴォルフに食べさせるっ!

ヴ:食うか!


 ぎゃいぎゃい騒ぎながら引き揚げていく二人。


見:(チョコまみれの厨房を見回し)・・・で、結局、ここの片づけは俺がやるんすよねぇ。


 一人身はつらいわ、とため息をつきつつぼやくフォン。

 ・・・貰った板チョコは、ちょっとずつ大切に食べてたり。



―――


シディア&マグリスの場合。


マグリス:シディア、いつもありがとう。(そっと花束を差し出す)

シディア:まぁ綺麗。ありがとう、マグリス。はい、私からはこれを(生チョコ)。

マ:ありがとう、シディア。(1粒つまんで)うん、美味しい。

シ:愛情と感謝をありったけ込めたから。疲れた体には甘い物がいいって言うし。

マ:そうだね。最近予算だ行事だで忙しかったけど、元気が出てきたよ!

シ:良かった。じゃ、もうちょっと頑張りましょうか?

マ:ええっ!?

シ:まだ予算案、完成していないんでしょう? 今日はバレンタインだけど、他のみんなにとってはいつもの一日だもの。私も行事の日程表を作らなきゃいけないから、一緒に頑張りましょう。

マ:そ、そんな・・・シディ・・・

シ:・・・終わったら、二人っきりでゆっくり過ごしましょうね?

マ:すぐに終わらせる(キリッ)


 その後マグリスは、脅威の速さで予算案を作成し、かつ、来年からバレンタインを街の年中行事の中に組み込むべく、全力を尽くしたとか。

 ・・・シディア、最強伝説、更新。



―――


※おまけ


とある男の場合。



妻:あの、旦那さま。ちょっとお願いがあるんですが。

夫:?


 バレンタイン翌日、妻に包みを渡された夫。

 神殿のフローインを訪ねる。


フローイン:何か用かな?

夫:(持っていた包みを渡す)

フ:これは・・・。

夫:バレンタイン翌日だから、と。


 伝えるだけ伝えて、夫退場。残されたフローインは包みを開けたあと、片手を額に当てて、苦笑する。


フ:忘れずに、伝えてくれていたんですね。


 小さな包みに入っていたのは、星型のクッキー&ビターチョコのお菓子。

 かつて、バレンタインにあの女性(ひと)と作り、その翌日に一緒に食べていたもの。


 大切に一枚だけをつまんで口に含む。

 ほんのり甘くて、ほろ苦い。


フ:・・・愛してます。今でも、貴女を。


 もう会うこともできないけれど。

 代わりに貴女の大切な娘は、私たちが作り上げたものを引き継ぐ娘は、私が見守るから。


フ:想うことだけは、自由ですからね。


 ・・・こうして、それぞれの想いを込めたバレンタインが過ぎてゆく。





うん、みんなそれぞれ、大変そう(笑)


レインにバレンタイン行事について教えたのは、フローイン教師(天敵)です。そしてさりげなく男性陣もたきつけてみたり。


お粗末さまでした!(逃)




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