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ヴォルフをデレさせろ!(ヴォルフ視点) ①


なかなかミリィに落ちないツンツン男のヴォルフ。

「奴をどうにかして(暴走させずに)デレさせよう!」ということで、作戦を決行してみました!


さぁ、果たしてヴォルフはデレるのか!?

 


 あとから分かった事なんだが。


 その日は客の引けが早く、いつもよりも早めに店を閉めることにした、それが失敗だった、らしい。


「勘弁してくださいよ、姐御ぉぉぉっ!」

「なんで勘弁してやらなきゃならないのよ、いいから大人しくこっちに来なさいっ!」


 ゴミを捨てに外に出て、戻って来たら、閉店後の片付けと明日の仕込みをしていたはずのミリィと見習いのフォンが店と家中を舞台にした追いかけっこを繰り広げていた。


 小回りのきくミリィと跳躍力に優れたフォン。その二人が本気で狭い室内で走り回れば、当然家の中のものがどんどん破壊されていく。


「ミリィ、外で殺れっ!」

「殺られんの俺っ!?」


 言っている間に隣の部屋から二階へと二人が駆け抜けて行き、物が壊れる音が響いて来て舌打ちする。

 フォンの野郎、またうっかり暴言吐いてミリィに切れられでもしたのか。


 気のいい見習いなんだが、口が悪すぎで、さらっと暴言を吐く癖をどうにかしないと、接客にはまわせねぇ。

 ここらで一度痛い目にあっておいた方が奴の為だろう、と傍観を決め込もうとしたら、走り回るフォンと目が合っちまった。


「兄貴ぃぃっ! 姐御を止めてくださいよっ! なんか変な痴女化してるんすよぉぉぉっ!!」

「誰が変な痴女よっ! いいから大人しく捕まりなさい!」


 変なのはいつものことだが、今、聞き慣れない単語がまざって無かったか?

 ・・・痴女?


「いいから私に生肌を触らせろぉぉっ!」

「いいわけあるかっ!!」


 思わず走り回るミリィの首根っこを掴んで、とっ捕まえる。獣の子のようにぶら下げると、嫌がって激しく暴れるがそのまま吊るし上げた。


「た、助かった・・・」


 床に大の字になってぶっ倒れているフォンをよく見ると服があちこち破れていたり、脱げかかっている。

 これで相手がミリィでなければ、身体にぶってんじゃねーか、と言いたいところだが。

 ・・・相手がミリィじゃなぁ。


 日頃そのどこから湧き上がってくるのかわからねぇ根性と体力に迷惑している身としては、気の毒に、としか言いようがない。

 

「いやぁっ、フォン、フォンの生肌に触りたい~っ!!」

「で、何がどうなってこうなったんだ?」


 暴れるミリィをぶら下げたまま、床で伸びているフォンにきく。微かにミリィから嗅ぎなれない甘い香りがした。


「知らねぇっす。兄貴が出たのと入れ違いで姐御が来て、いきなり『生肌触らせろ』って追い回されたんすよ」


 ・・・そりゃ、気の毒に。


 吊るしたミリィは見たことがない気合の入った服を身につけていて、どこかトロン、と溶けきった甘い目でフォンを、フォンだけを見ている。

 いつもは、うっとおしいくらいに俺にかまって貰おうと体当たりをしかけてくる奴が、今は俺を視界にも入れて居ないようで。


「フォン、フォンの生肌ぁ~っ!」


 ・・・何だか、妙にイラつくのは、気のせいか。


「取り敢えず、片付けとけ」


 取り敢えずミリィを隔離すべく、ミリィの部屋に運び込む。その間も嫌がってフォンを求めて暴れるミリィに苛立ちは募り。

 その間にも、なんだか落ち着かない気分になってくる甘い香りは濃くなる一方で。


「いい加減にしろっ!」


 部屋に放り込むなり怒鳴りつけたら、驚いた猫の子のように大きな目を見開いて完全に動きを止めるミリィ。

 少しは反省しやがれ、と思って見ていると、ちっこい体が小刻みに震えだし、みるみるうちに大きな目に涙を浮かべ、あっさりとそれが決壊し。

 まずい、と思う間もなく。


「ヴ、ヴォルフの、バカァ~っ!!」


 ・・・罵倒されつつ、大泣きされた。




ミリィさん、なにやら様子がおかしいようです。


一体ミリィさんになにがあったのか!?

そしてヴォルフはデレるのか!?(←二度目)


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