もしも妻が寝坊したなら(夫視点)
質問:
いつも早起きの妻がいます。
その妻がもしも寝坊をしてしまったなら、夫はどうするのでしょうか?
朝。目が覚めると、だいぶ陽が高くなっていた。
いつもなら妻が腕に触れて、起こしてくるはずが、今日はずいぶん遅い時間だ。
不思議に思って腕の中の妻をみると、気持ち良さそうに眠っている。
そういえば、昨夜は勝負がどうのと言って、妻にしてはかなり遅い時間に眠ったんだったか。
興奮していたのか、いつもならすぐに眠りに落ちる妻が、いつまでもモゾモゾと動き続けていたようだから、なかなか寝付けなかったんだろう。
・・・それにしても、本当に気持ち良さそうに寝るんだな。
薄っすらと桃色に染まった頬にそっと指を伸ばして突ついてみると、ふにっ、と指が埋れた。
柔らかい。
予想外の柔らかさに、思わず手を引っ込めてから、自分の指と妻の頬を見比べて、もう一度、今度は可能な限りゆっくりと妻の頬を指で押してみた。
・・・どうして、こんなに柔らかい?
自分の頬に触れてみても、皮膚の硬さがまず指に伝わって来るだけで、ここまでの柔らかさはない。
妻の皮膚は一体どれほど薄いのだろうか?
どうしても不思議でしつこいくらいに突ついていると、妻が嫌そうに唸って、壁の方を向いてしまう。
それでもまだ起きようとしないのだから、面白い。
朝の挨拶を楽しみにしながら眠る妻の頬の柔らかさを指で堪能していると、いい加減に眠りの邪魔をされるのが我慢出来なくなったのか、妻が低く唸り。
はぐっ。
・・・。
・・・・・・。
噛まれた。
目をつむったまま、両手で俺の手を掴んで、ひたすら指を噛み続ける妻に、思わず笑いがこみあげてくる。
俺にかみつく人間がいるなんて。
しかもそれが、どこもかしこも柔らかな、俺の妻だという事実。
本当に、面白い。
歯を立てられてはいるとはいえ、寝ぼけた状態での甘噛みでほとんど痛みはない。
妻から指を取り返そうと思えばいつでもできるが、もし妻が起きていれば絶対に噛みついたりしないだろうし、もうちょっと観察しておきたい気がした。
噛まれている指と妻をじっと眺めていると、はぐはぐと指を噛みながら、妻がゆっくりと目を開けていく。
そこからの変化がみものだった。
ようやく目が覚めたのか、ぼんやりと、ものすごく不思議そうな目で俺を見て、口の中に何が入っているんだろう、とでも言わんばかりに眉を寄せて、口に含んでいた指を離す妻。
掴んだままの手を、なにこれ? というように不思議そうな視線が、指の先から手首、腕へとゆっくりと進んでいき。
視線が絡み合った瞬間。
妻が真っ赤になって、大混乱を起こした。
「・・・ぐぉっ・・・ごっ、ごめんなさいーっ!!」
変なうめき声を上げながら、とっさに体を引いて逃げて行こうとした妻を、しっかりと捕まえて腕の中にもどして囲う。それでもわたわたと抜け出そうと真っ赤になって暴れる妻の頬は、少し近づいただけでも熱が伝わってくるようで。
ああ、肌が薄いから、すぐに赤くなるのか。
大混乱を起こしたまま、必死に暴れている妻の顎を抑え、赤く熱を上げる頬にゆっくりと唇を寄せた。
「おはよう」
難なく触れた頬は、燃え上がりそうに熱く、柔らかな感触が心地よい。
指で触れるには、勿体ない。
・・・次は、唇で、妻を起こすことにしよう。
回答:
滅多にない機会を堪能します。
この日、妻は「二度と寝坊なんかするもんか!」と誓ったとか・・・。
でも、後で、日々夫に起こされる羽目になるとは、この時は思ってもみなかったんだろうなぁ(合掌)