妻と夫の画力勝負!
夫妻が画力勝負したら、どちらが勝つのでしょうか!?
「旦那さま、お絵描き勝負をしましょう!」
夕飯後の晩酌時間に、あらかじめ用意していた紙とペンを夫に突きつけます。
夫はしばらく紙とペンと私を見比べていましたが、ゆっくりと受け取りました。
むむ、これは勝負を受けたと見ていいですね!?
実は今回の勝負は、自信ありなんですよ!
夫がクコールの瓶と器を傍によけて、紙とペンを置いて、で、どうするんだ?というような目で私を見ています。私も同じように紙とペンと、砂時計を置きました。
それでは、勝負内容を説明しましょう!
「お互いに一つずつ自信のある題材を出し合って、見本やモデルなしで絵を描きます。この砂時計が落ちるまでに、上手にかけた方が勝ち。引きわけなら、題材を出した方が負けです」
見なくても描ける自信があるものを手早く上手に描く。そして、相手の出す題材をいかに同等以上に描くかがポイントです。
夫がちょっと首を傾げています。このタイミングで首を傾げるということは、勝った時のご褒美についてですね!?
なんだか最近、夫が一言もしゃべらなくても、なんとなく何が言いたいのか分かるようになってきた気がします。これも日々夫の様子を観察している成果ですね!
・・・いいんだか、悪いんだか。
「勝った方はご褒美として、我がまま権が与えられます!」
今回の私の狙いは、これです!
この我がまま権を使って、普段はちょっと言い辛いことをお願いするつもりなのです。
夫はじっと私を見ていましたが、小さく頷いてペンを取りました。
いざ、勝負です!
「先ずは、私から出題しますよ。お題は、『ウーマさん』です!」
砂時計を逆さに置いて、ペンを走らせます。
この日のために、何度もウーマさんを模写してきましたから、時間に余裕をもって描 き上げることが出来ました。
うん、いい出来です!
夫はどうかな、と見てみると、夫もペンを置いています。
「え、もう描き終わったんですか?」
こくり、と夫が頷きました。
いつもの無表情なので、表情からは出来栄えの自信度は測れません。
まぁ、考えたってしょうがないので、とりあえず、進めることにします。
「では、せーの、で見せ合いましょうね。いきますよ? せーの!」
私の描いたウーマさんは、お昼寝をしているところの絵です。足を折り曲げて、地面にお腹をつけて、気持ち良さそうに寝ている所を描きました。
うん、我ながら、良い出来です。
対して、夫の絵は。
「・・・あの、旦那さま。私が出したお題は、『ウーマさん』なのですが」
なぜ、寝ている私の絵が描かれているのでしょうか・・・?
しかも、かなり上手いです!
ささっと描かれたようですが、髪の毛の流れまで描きこまれているって、あの短時間でどんだけ描きこんでいるんですか!?
「ウーマもいる」
い、いやいやいや!
確かにいますが、いるというかちょっと枕的な形でお腹と足がほんの少し描かれているだけですよね!?
題名をつけるなら、明らかに『ウーマさんのお腹で寝る私』ですよね、これ!?
お題にそっていない、と言うことで、今回は私の勝ちにされて貰いました。これ、もしもお題通りにウーマさんを描かれていたら、引きわけか夫に軍配が上がってしまっていたかもしれません。
これは、長引くと確実に私のほうが不利ですね。
次の夫のお題が勝負の行方を決めそうな予感です。
夫は少し考えたあと、砂時計に手を伸ばし、ひっくり返しました。
「では、『猫』を」
あ、動物繋がりで来ましたね。
猫なら私にも勝機があるかもしれません!
私は、リボンをつけた白い猫が座っているところを描きました。
なかなか上手に描けたと思うんですが、夫の方はどうでしょうか。
せーので見せ合った夫の絵には。
鏡の前で泣きそうな目をした情けない顔をした、黒猫がいました。
・・・よりによって、どうして、忘れかけていたその猫(私)を描くんですかっ!?
反射的に手近にあったクッションで真っ赤になりながら夫を叩き、喚き疲れたところを捕獲され、寝室に運ばれてしまい。
・・・勝負そっちのけ。
結果
引き分け。
~おまけ~
「旦那さま・・・・気に入ったんですか?」
4枚の絵を飾りながら頷く夫。
夫の絵を見ると非常に羞恥心と後悔が湧き上がってしまうので飾らないで欲しい、ということをどう説明しようか悩んでいる間に、しっかり自分の定位置から良く見える場所に絵を飾った夫。
後日。
・・・絵が増えました。