妻、によによするの巻
によによをテーマにしたら、こんな話が出来ました。
体の大きな夫用にと大きめのクッションを作ってみました。
元々夫の家にあったクッションも私にはかなり大きいのですが、夫にはちょっと小さいようでしたから。完成した新品クッションを両手で挟んでふかふかな感を堪能していると、ちょうど夫が入って来ました。
あ。いいことを思いつきました。
「旦那さま、旦那さま、ちょっとこれ持ってください!」
「・・・」
「あ、そうじゃなくて、両腕で押さえるような感じで、そう! そうです!」
ソファに腰掛けた夫に完成したばかりのクッションの両端を腕で抱えるように、持たせてみました。
夫からちょっと離れて確認します。
・・・クマさんです。実家にいたクマさんのぬいぐるみそっくりなリアルクマさん(夫)がいますっ!!
元々よく似ているのですが、実家のクマさんは丸くてふかふかのお腹で、一方、夫は見るからに固そうな、柔らかさとは無縁の体つきです。
でも、こげ茶色のふかふかクッションを抱えた今の夫は、まさにクマさんっ!
うああっ、抱きつきたいです、そのふかふかなお腹の上でお昼寝したいですっ。
熱心に眺めて内心で身悶えしている私が不思議だったのか、夫がこてっと首を傾げました。
ぐはっ!?
最近よく見かける仕草なのに、なんですか、この破壊力っ! 一瞬鼻血が出てくるかと思いました。
恐るべし、クッションマジック。そしてグッジョブ、私!
自分で自分を讃えていると、何を思ったのか夫がクッションを横に置いてしまいました。
ああっ!? 私のクマさんがっ!
思いっきりがっかりしていると、夫はちょっと考えるそぶりを見せ、またクッションを抱え直しました。
クマさんです。クマさんが帰ってきました!
もしかしたらまたすぐにクッションを置かれてしまうかもしれません。その前によく見ておかなければ、という使命感に燃えてにじりよると、その動きが夫を刺激したのか、素早くクッションから腕を伸ばした夫にあっさり捕獲されました。
何するんですか、これじゃクマさんが見れないじゃないですか!
と憤りつつ体を起こそうとして、ふと、手のひらにふかふかな感触が。こげ茶色の、ふかふかクッションです。
・・・気持ちいい。
ちらり、と夫を見上げると、近くに置いていた本を手に取って読み始めるところでした。
あのー? クッションも私も抱えられたままなのですが。
ああ、腕が長いから特に気にならないんですね。こんな大きなもの二つを全く気にしないなんて、さすが無い無い尽くしの夫です。
でも、まぁ、夫が気にしないなら、もうちょっと堪能しましょうか。
クッションと夫の腕に挟まれた状態で少し身動きしてちょうどいい位置に収まると、私は大きく息をついて目を閉じました。
あったかくてふかふかで、心地よい昼寝の時間です。
結局。
大きなクッションは私の愛用品になりました。
・・・ときどき、リアルクマさんのおまけがついたり、つかなかったり。
妻のによによポイントは、やはりクマさんのようです(笑)