夫と妻とウーマの一日(夫視点)
時間軸は、ウーマさんが来てからしばらくした頃です。
夫、心が狭いにもほどがありますな(笑)
最近。
家に帰ると、妻がいない。
いつもなら、ぱたぱたと軽い音を立てて扉まで出て来て、笑顔で「お帰りなさいませ、旦那さま」と嬉しそうに出迎えてくれるというのに。
原因は、ウーマだ。
なぜか妻に対してだけは、ボウドゥ本来の気性の荒さをきれいにどこかに置き忘れてくるウーマに、妻がなついたらしい。
時間の合間を見つけては、ウーマに会いに行っている。
もともと、どうしても参加させなければならない勉強会のほかは、ごく稀にレインという妻の友人の家に遊びに行かせるだけで、ほとんど外出させていないから、生物との触れ合いが欲しいのかもしれない。
そう思って黙認していたのだが、最近、度を越えてきているように思う。
昼に帰ってきて、厩舎にいる妻を迎えに行くと、妻がウーマの腹に寄りかかってぐっすりと寝ている。
ウーマが妻の髪の毛をかむようにして整えているのを見て、瞬時に妻を抱き上げてウーマから引き離した。
反射的な行動だろう。
ウーマが取り上げられた妻を取り返そうと立ち上がり、荒々しい目で威嚇行動をとりかけて、ぴたり、と固まった。
「ウーマ」
自分でも思った以上に低い声が出る。
ウーマはびくりっ、と体を震わせると、目を泳がせながら後ろに下がっていく。
「行け」
妻を抱き上げたまま、確認すると、ウーマは何度も頷くようなしぐさをして、自分で厩舎を出ていった。
ボウドゥにとって、鬣を整えるしぐさは、非常に親密な関係を意味するときく。
妻がウーマになつくのはまだ我慢できても、ウーマが妻に想いを寄せるのは、我慢ならない。
しっかりと誰が誰のものなのか、はっきり躾なければならないだろう。
数日は使い物にならなくなる程度に、鍛え直してやったのだが。
・・・心配した妻がつきっきりになってしまったのは、誤算だった。
そしてウーマさん、妻が見ていない隙に、夫に得意げな顔を向けて、また鍛えられたり。
エンドレス(笑)




