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もしも妻がだまされそうになったら(ウーマ視点)


注)ウーマさんのイメージが壊れてしまう可能性もありますので、どうか、ご注意を・・・(滝汗)



 今日は、相棒が一人で出かけている。

 だから、僕は大好きな人と一緒に過ごせる日。


 朝からハチミツパンをもらって、綺麗に体中をブラッシングしてもらった。

 お昼が過ぎたら、一緒にお昼寝しようね、って約束もしているから、とっても楽しみ。


 ご機嫌で昼を待っていたら、なんだか、嫌な気配を感じた。


 顔を家のほうへ向けて、耳を震わせて意識を集中すると、僕の大好きな人と、知らない人間の、オスの声。


「そうですか、わざわざありがとうございます。あ、ちょっと待っていてくださいね、覚え書きを持ってきますから」

「はいはい。早めにお願いしますよ」


 音を立てないように厩舎から外に出て、玄関の方を見ると、彼女が家の中に入って行くところだった。

 ドアは開けっ放しで、男が中を覗きこんでいる。


 怪しい。


 それに、僕の大好きな人と二人きりで会話をしているなんて、許せない。


「う、うわぁっ!?」


 気配を消したまま男に近づいて、服をがぶりと噛んで思いっきり首を振ってぽい、と捨てた。本当は、肩に噛みついてやろうかと思ったけど、たぶん、大好きな人が嫌がるから、優しい対応にしておいてあげる。


「どうし・・・うわっ、大丈夫ですか!?  って、ウーマさん!?」


 ああ、家の中から出てきちゃ、だめだよ。こいつ怪しいよ。


 大好きな人を身体で隠すようにして家の中に押しやると、戸惑っている気配が伝わってきた。

 大丈夫だよ、僕が守ってあげるからね!


「あの、ウーマさん、その方は旦那さまのお友達で、私に伝言を持って来てくれたんですよ? 旦那さまがどこかで私と待ち合わせしたいそうなんです」


 相棒の友達?

 こんな奴いたっけ?


「いててて、うわぁっ、なんて狂暴なやつだ!」


 僕はちょっと勢いをつけて首を振って足踏みで威嚇してみた。

 自称相棒の友人が、大袈裟に怯えて下がるのを見て確信した。


 こいつ、嘘つきだ。


 こんな奴、相棒の友人な訳がない。

 だって、僕たちボウドゥが狂暴なのは当たり前。

 大好きな人の前だから、こんなに優しく対応しているのに、それを狂暴だなんていうような人間は相棒の友人知人の中にはいないよ。


 それに、相棒が大好きな人のことを伝言だけだとしても、他の人間のオスに任せるわけがないし。


 もうこいつ、踏んじゃおうかな?


 と思ったけど、大好きな人が一生懸命とりなすから、僕は大人な対応をすることにした。


 嫌々だけど、大好きな人と話せるようにちょっとだけ体を移動する。本当に、嫌々だけど。

 ああ、でも近づいちゃダメだよ?

 触れられたりしたら、こいつを噛んじゃうからね。


「とにかく伝えたからな! ちゃんと行ってくれよ!?」


 僕越しに場所の説明をした男は逃げるように去って行った。


 バイバイ。

 ・・・またあとで。


「ウーマさん、一体どうしたんですか?」


 心配そうに僕を優しく撫でる手とは逆の手に持っている紙をかぷ、と咥えて取り上げる。

 ちょっと貸してね。


「って、う、ウーマさん!? ダメですよ、返してください!」


 大丈夫、全部僕に任せて!

 あ、家の中に入っていてね。外に出ちゃダメだよ?

 知らない人が来ても、扉を開けちゃダメだからねっ!


 何度も念を押すと、ちゃんと大好きな人には伝わったみたい。

 とっても不思議そうにして居たけど、ちゃんと家の中に入ってくれた。


 良い子にしていてね、僕らの大切な人。


 僕は紙を咥えたまま、相棒の元に向かう。

 ああ、楽しみだな。


 僕の、大好きな人とのお昼寝の時間を邪魔した奴らを。


 ・・・狩りつくしてやる。





妻視点だと、ウーマさんはかわいい弟なイメージなのに、ウーマさん視点だと、妻のほうが幼く見えてしまう、この不思議・・・。

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