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妻とウーマさんの最初の頃の一日


妻とウーマさんの日常の一コマです

 馬らしき生き物が家にやって来てから数日。


 今日は、夫が迎えにきた馬車で出かけたので、ウーマさんとお留守番することになりました。


 普段は一人で家にいますから、のんびりと過ごすのですが、今日は違いますよ!

 私は昨夜のうちに用意しておいた道具一式を広げて確認しました。


 大きいブラシよーし!

 普通のブラシよーし!

 クシよーし!

 おやつよーし!


 うん、全部揃ってますね。よし、それじゃ出発しましょうか。


 『新しく仲間入りした馬もどきのウーマさんと仲良くなろう! 計画』、発動ですっ。


 驚かさないようにそっと厩舎の扉を開くと、馬が横になった状態で、もう頭をあげてこちらを見ていました。


 むむっ。なかなかやりますね。

 今の時間は、ほとんど寝ていると夫から聞いていたのですが。

 でも、寝起きはいいようで安心しました。


 寝ぼけた夫相手でさえ死にかけているんですから、流石に馬に寝ぼけられたら、間違いなく死んじゃいそうですものね。

 よかったよかった。


 安心しながらゆっくりと馬に近づくと、どことなく不思議そうに私を見ています。


 大きな真っ黒の瞳が、どうしたの? と、語りかけてきてくれているような気がして、私はちょっと嬉しくなりました。

 いそいそと持ってきた物を一式広げて見せると、興味を持ったのかちょっと匂いをかいでいます。


「あ、これ食べれます?」


 先ずは餌付けしてしまおうと持ってきたおやつのハチミツパンを差し出すと、馬の目がキラキラと輝いて、それ欲しい! と訴えかけてきます。


 手でちょっと千切って口元に持って行くと、あっという間に食べてしまって、もっともっととおねだりしてきます。

 うん、よしよし。餌付けは成功ですね。


 パンをゆっくり全部食べさせると、馬は物足りなそうに私の指を舐めていましたが、やがて諦めたようです。


 く、くすぐったかったですけど、笑わずに耐え切りましたよ!


 それにしても、口も舌もとっても大きいんですね。本当にあっという間にパンがなくなってしまいました。次はもうちょっと沢山パンを持ってきた方がいいかもしれませんね。


「ウーマさん、ブラッシングさせてくれませんか?」


 目の前に広げた道具のうち、大きいブラシを手に持ってきくと、ちょっと考えるようにしてから、痛くしないでね? と言うように頭を動かしました。


 もちろん、痛くないように慎重にやりますとも!


 焦げ茶色と黒が混じった毛は、私の知る馬よりも長いです。

 大きいブラシと普通のブラシとクシの三種類を駆使して毛繕いして行くと、どんどんツヤが出て来て、滑らかになっていきます。


 これはクシのかけ甲斐がありますね!


 馬も気持ち良さそうにしていて、ついつい楽しくなって夢中で毛繕いしたので、あっという間にツヤツヤウーマさんの出来上がりです!

 うん、いい仕事したな、私!


 ブラッシングの成果であるツヤツヤふんわりの体毛の感触を堪能していたら、むくむくと抗い難い欲求が。


 これ、枕にしたら、すごく気持ち良さそうじゃないですか?


 いけない欲求を抱えて馬の様子を窺うと、どうしたの? と言うようにつぶらな瞳が見ています。


「ちょっとだけ、ウーマさんに抱きついてもいいですか!?」


 誘惑に抗い切れずに、思い切ってきいて見ると、どうぞ? とちょっと体を動かして丁度良さそうな位置に移動してくれました。


 なんてお利口なんでしょう!


 私はいそいそと馬のお腹をクッション代わりにして横になりました。


 ウーマさんが尻尾を私のお腹に乗せてくれて、時々毛繕いするように髪の毛をいじっています。


 ウーマさん枕はあったかくて、ちょっと獣臭くて、でもそれが生き物なんだなぁ、と言う気がして嬉しくなりました。


 あっという間に眠ってしまった私は、目が覚めると、ちゃんと寝室で寝ていました。


 夫が運んでくれたみたいです。


 そんな事が数日続いたのですが、しばらくすると夫がウーマさんを連れて出掛ける事が増え、ウーマさんクッションでお昼寝は時々しか出来なくなりました。


 それは仕方ないと思うのですが、心配なことがひとつ。

 たまにお昼寝したあとのウーマさんがいつもぐったりしているのは。


 ・・・やっぱり、私の重さ、のせいでしょうか?




いや、むしろ、夫の重さ(二重の意味で)のせいです(苦笑)

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