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ウーマさん、夫を挑発するノ巻(ウーマさん視点)

※ウーマさんのイメージが壊れてしまう可能性もありますので、ご注意いただけると嬉しいです!


※時系列は、妻が離縁の決意をする前です。




 最近、何だか僕の大好きな人が落ち込んでいるみたいだ。


 僕にブラッシングしながら、何度もため息をついているし、時々ぼんやりしながら僕の鬣を撫でている。

 それに、僕にぎゅっと抱きついて顔を擦り付けて来ることも増えた。

 大好きな人とのスキンシップが増えるのはとっても嬉しいんだけど。

 こうやって顔を擦り付けて来てくれる時は、物凄く落ち込んでいるか、物凄く反省しているかのどちらかなんだよね。


 ねぇ、どうしたの?


 と、髪をはむはむしながら整えてあげつつ、視線を合わせて聞いてみると、大好きな人が大きくため息をついた。


「心配してくれているんですか? ウーマさんは優しくて、いいこですね」


 うん、僕はいい子だよ?

 相棒と大好きな人に対してだけだけど。


「ねぇ、ウーマさん。私、もしかして、旦那さまに嫌われているんでしょうか・・・?」


 驚いて思わず、はむはむしていたのを止めて、彼女の顔をまじまじと覗きこんでしまったんだけど、どうやら、本気で言っているみたいだ。


 そんなこと、あるわけ無いのに。

 どうして、そんなことを思うの?


「最近、旦那さまとの会話がすごく減ってますし、なんだか避けられているような気がして・・・。」


 ・・・なにをしているんだ、相棒。

 僕の大好きな人を、悲しませるなんて。


 厩舎の外の気配を伺うと、相棒がこちらに向かってきている。

 ちょうどいい。

 僕は大好きな人の肩に顎を乗せて、頬ずりをして甘えた。


「ウーマさん? ・・・慰めてくれているんですね、ありがとう」


 小さくて暖かい小さな手が僕の頭をそっと撫でてくれる。

 そのまま少し頭を動かして、厩舎の入り口を見て、ふふん、と鼻を鳴らしてやった。


 どうだ、羨ましいだろう!


 という目で見てやると、突き刺さるような殺気が飛んでくる。それなら、最初っから大好きな人を不安にさせるようなことをしなければいいのに。


 僕がさらに髪の毛をはむはむし始めると、くすぐったそうに笑いながら、ぎゅっと首に抱きついてきてくれる。ああ、かわいい人だなぁ。


 それを見ていた相棒の殺気が、さらに濃度が増していく。

 煽られて起き上がりたくなるのをぐっとこらえて、睨みつける。


 ねぇ、相棒?

 うかうかしていると、僕たちの大好きな人が、他のオスにとられちゃうよ?


「ウーマさん・・・? って、ふぁっ!?」


 僕の首筋を撫でていた手ごと、相棒に抱え上げられて厩舎から連れ去られていく大好きな人を、尻尾を振って見送った。


 何が起きているのかも良くわかっていないみたいだけど、もう大丈夫だよ!

 だって、メスをとられそうになって、動かないオスはいないから。


 さて。

 今夜の出勤は、厳しいものになりそうだし。


 ・・・今のうちに体を休めておこう。




ウーマさん、身を呈して夫を諌めてくれるナイスガイ。

夫、ウーマさんにも本気で嫉妬を向けてます・・・。

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