極秘任務:夫に無茶振りし、その反応を確認せよ!
「妻(極秘部隊所属?)から無茶振りされたら夫はどうするか?」がテーマ(?)です!
夫には内緒で所属した私の部隊から、極秘任務状が届きました。
初めての任務です!
わくわくどきどきしながらその内容を読んだ私は、思わず、任務状を床に叩きつけてしまいました。
「夫に無茶振り」って、どんだけ無茶振りですか!?
それ、私がやるんですよね?
念のため、床に叩きつけた任務状の表書きを確認しますが、間違いなく私宛になっています。私にやれといっています。
ターゲットが夫という時点で、限りなく失敗に終わる気がしないでもないのですが。
とはいえ、これは任務です。部隊に所属している以上、任務は絶対に遂行しなければなりません。
夫にとっての無茶振りって、どんなことでしょう?
さまざまな可能性を想定し、吟味し、私はいくつかの無茶振り作戦を用意しました。
作戦決行は、夫が帰宅した、その時です!
・・・夫が帰ってきません。
すでに普段の夕食時間を過ぎてしまっているのですが、夫が帰ってくる気配が全くありません。
なんなんでしょう、この物悲しさ。
すごく楽しみにしていたお出かけの日に大雨が降ってしまったような、このやるせなさは一体どうしたらいいのでしょうか。
せっかく、無茶振りをたくさん用意して待っていたのに。
覚書に書き付けた作戦計画書には、こう書かれています。
『夫への無茶振り計画!
①夫に晩御飯を作らせる!(※胃薬用意)
②夫にギャグを言わせる!(ふとんがふっとんだー、的な?)
③夫に一発芸をさせる!(宴会のネタ練習として)
④夫に歌わせる!(※候補曲:『聖歌第24章』、『語れぬ物語』、わらべ歌『隣の隣はだーれ?』)
⑤夫を爆笑させる!(わきの下が狙い目?)
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⑭夫に恋愛本の一節を朗読させる!(※候補:『愛の萌芽』P367、5行目)』
文字を追って小さくため息をつきました。
・・・夫が帰ってこなくて良かったっ!!
なんですか、この計画。一体誰が考えたんですか、いえ私が考えたんですけども。
いくら初任務で浮かれていたとはいえ、改めて考えると、これは無いです。
①の晩御飯を作らせるのも、いろんな意味で私の命にかかわってきますし、それ以外のどれもこれも、ある意味一番ダメージを受けるのは、私に違いありません。
この作戦を考えているときは、完璧な作戦群だ! と自画自賛していたはずなのですが。というか、⑭にいたっては、夫が見て赤面してしまうような極めつけの台詞を捜して、一冊丸々読み込んじゃっていましたし。
ノリって怖いです。
初任務を失敗どころか実行せずに終わってしまうのは非常に後ろめたいのですが、私の人生がかかっています。うん、任務状は見なかったことにしてしまいましょう!
私は任務状をしまって、夕食を作って食べ、先に休ませてもらうことにしました。
・・・ソファの上に、覚書を出しっぱなしにしていることを、忘れたまま。
翌朝。
朝に弱いはずの夫に、とても手の込んだ朝食を用意され、『愛の萌芽』P367、5行目からの文章を一字一句正確に暗誦された私は。
・・・絶叫を上げて逃亡し、捕獲されました。
クマさんは、意外とハイスペックだということが判明した一日。