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妻が風邪をひいたなら


夫の風邪を見事にもらってしまった妻と、その看病(?)をする夫の一コマです。


 夫の風邪が、見事にうつりました。


 失敗です。非常に失敗です。風邪なんて、小さな頃にかかったきりだったのですが。

 頭が痛いし、咳がでて喉も痛いし、なんだか寒いです。

 鼻をかみ過ぎて、音が変な風に聞こえてくるし。

 目を開けていると世界がぐるぐる回っていて、気持ち悪いです。


 ・・・風邪って、こんなに辛いものでしたっけ。


 寝台から起き上がれない私に、夫がこまごまと看病をしてくれているのですが、あまり意識がはっきりしていなくて、ところどころ、記憶が飛んでしまっています。

 

 額に乗せられた布は冷たくて気持ちいいのですが、さっきから寒くて寒くて、震えが止まりません。しかも震えると頭も揺れてさらに気持ち悪くなってきました。


 朦朧としながら、側で布を交換してくれている夫に、湯たんぽを作って来てもらおうと思ったのですが。


「だ・・・なざ、ま」


 ひ、ひどい声ですっ!

 何ですか、だんなざまって。しかも喋ろうとしたら喉が酷く痛くて、また咳が出て来ました。

 げほげほ咳き込みつつ、夫が動く気配を感じてとっさに夫の服の裾を掴みました。


「さ、むい・・・」


 ので、湯たんぽを作って来てもらえませんか?


 と言おうと思ったんです。途中でまた咳が出て途中で止まってしまいましたが。

 続きを言おうとした直前、夫がするりと布団の中に入って来て私を抱きかかえました。


 ・・・え?

 いや、あの、寒いから温めて欲しいって意味じゃなくてですね?

 湯たんぽを作ってもらいたかっただけなのですが・・・あれ、もしかして今、私から抱っこをせがんだことになってます!?


 具合が悪いのにさらにまた熱が上がりそうになり。

 横になっているのに目眩に襲われて呻いたのを寒さの所為だと思ったのか、夫が一層密着して来ました。


 うあ、うあーっ!

 ち、近いです、夫の体温が、呼吸がっ!

 いつも一緒に寝ているとは言え、こんなにくっついたことないんですよっ!?


 わたわたしながら、そっと夫の様子をうかがうと、いつも通りの無表情で更に布団でくるんでくれます。・・・夫は全く気にしていないみたいです。一人で焦っている私の方が意識し過ぎなのでしょうか?


 夫も一緒に布団にくるまっているのがもの凄く恥ずかしいのですが・・・でもだんだん暖かくなってきた気します。

 ・・・うん、やっぱり暖かいです。


 後から思うと、熱で頭が相当おかしくなっていたのかもしれません。強張っていた体から力が抜けて、震えが止まり、ようやく呼吸も楽になった私は、夫に抱えられたまま、擦り寄るようにして、眠りにつきました。


 夫の献身的な看病のおかげで、よく食べて、よく寝て、2日後には寝室から出られるほどに回復したのですが。

 起きる度に、着ている寝間着が違うことに気付いた私は。


 ・・・記録的な高熱で、また寝込んでしまいました。




・・・そりゃ、寝込むわ。

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