番外編:ハロウィンの一コマ(ヴォルフ視点)
ツンツンヴォルフをデレさせよう!と思って書いてみた小話です。
さてはて、どうなることやら?
「ヴォルフ、脱がせて!あ、破かないでね」
ちっこいカボチャのミリィがヨタヨタと近づいて来て、さぁ、脱がせろ、と言わんばかりに両手を差し出してくる。
確かに一人で脱ぐのは難しそうな被り物だ・・・なんでカボチャの被り物だったんだ?
俺たちとおなじ、普通の外套で十分だろうに。
カボチャの被り物の製作者が、どこか慌てたようにこちらを見ているのも気にせずに一気に脱がせて、息を飲んだ。
仮装ったって、素人が作る衣装だ、たかが知れている。
そう思ってミリィをからかって居たんだが。
自分の衣装の完成度の高さと着心地のよさで気付くべきだった。
これは、素人なんかじゃねぇ。
今、目の前には、小さな妖精がいる。薄い羽のついたその姿は、ミリィが嫌がる小柄と幼さを強調するものだ。それなのに、得意気な顔で見上げてくる。
目が、そらせない。
首筋のライン、胸元の薄いレース、ぎりぎり素足が見えそうで見えないスカート丈とソックス。
大した仕掛けじゃないのに、思いっきり嵌っている自覚はある。
視界の隅で、二人の製作者が満足気に頷きあっているのが見えた。
ミリィの嫌がる可愛らしさと、匂い立つような色気を組み合わせるとは。
ちくしょうめ、いい仕事するじゃねーか。
今度ミリィの服を作る時は、この二人に依頼しようと心に決めながら、じっくりとミリィを眺める。
眺めれば眺めるほど、身体の奥に熱が生まれて、うねり始める。
・・・久しぶりに、本気で喰いたくなった。
とはいえ、このままかっさらえば、不機嫌になったミリィが暴れまくることは間違いない。
このパーティーを、ずいぶんと楽しみにしていたしなぁ。
さて、どうするか、と顔を上げたところで他の連中と視線が合った。
・・・おおぅ?
どいつもこいつも、似たような目をしていやがる。
今すぐにでも獲物に食らいつきたくて仕方ない、ギラついた目。
きっと俺も同じような目をしているに違いない。
素早く視線を交わし、これからの動きを確認する。
全く危機に気付いていないミリィを何気なく抱き上げると、どうしたの? と言わんばかりに不思議そうな顔で見下ろして来る。
「せっかくのパーティーだ。思う存分楽しめ」
「・・・うんっ!」
ぎゅっ、と首に抱きついてくるミリィを片手で支えながら、髭で隠れた口元に笑みをそっと浮かべた。
・・・俺も、楽しみだ。
あれっ!?
超微糖っ!?(←敗北)