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朝のたくらみ


夫の好みを知ろう!計画発動です♪


 今日はちょっとした計画のため、いつもよりも少しだけ早起きをしました。

 夫を刺激しないようにそっと起こして、台所に向かいます。


 え? 朝の挨拶と一緒にやってくるあれですか?

 夫の凄いところは、どんなに眠そうでも、挨拶セットを忘れないところですよ、この言葉で察してくださいっ!

 ・・・もうずいぶん日にちがたっていても、慣れないものは、全く慣れないものなんですね。


 朝の挨拶セットのことはもう置いておくことにして。


 夫が起きて二度寝に入ったことを確認して、以前から計画していた急襲を掛けます!


「旦那さま、旦那さま」


 二度寝で寝ぼけて攻撃されたことはないので、手加減しませんよ!

 腕を揺さぶりながら声を掛けると、夫がうっすらと目を開けました。

 これはまだ半分夢の中状態です。

 今がチャンス!


「旦那さま、旦那さまの好きな食べ物は何ですか?」


 いきなり何を聞いているんだ、と思わないでくださいね。これは本当に半覚醒状態かを確認するテストです。


 辛抱強く待っていると、やがて夫がぼんやりとした目のまま、


「・・・クコール」


 夫が答えました! 寝ぼけた声が可愛らしいのですが。

 ・・・クコールって、夫が毎晩飲んいるあの純度の高いアルコールそのもの見たいなお酒のことですよね。

 それ、好きな食べ物でいの一番に出てきちゃうんですか、そうですか。

 何とも言えない微妙な気分を味わいつつ、完全に覚醒してしまう前にと、次なる質問をぶつけてみることにしました。


「それじゃ、旦那さまはどんな女性が好きですか!?」


 一体なにを聞いているんだって言わないでくださいね。だって、友人が言っていたんです。人は無防備な時にされた質問には、思わず本音で答えてしまうものだって。

 私、夫の好みはほとんど全く知らないので、このままでは次なる奥様を探せません。

 未来の奥さま探しをする時の参考にするつもりなんです。


 夫はぼんやりとしながら、しばらく私を見ていましたが、やがて小さな吐息と一緒に


「・・・甘い」


 と呟いて目を閉じてしまいました。

 

 ・・・あの、それ好きな女性じゃなくて、好きな味ですよね?

夫は甘いものが好きだったのでしょうか。そういえば、いつもパンにハチミツを塗っていますね。


「旦那さま、好きな味じゃなくて、どんな女性が好きですか、ですよ?」


 二度寝をしたがっているところを起こすのはちょっと可哀想ですけど、ここで諦めては、夫の好みにあった未来の奥さま候補を探せません。出来れば何人か候補を見つけて、さり気なく出会えるような場所を絞りこんでおきたいので、諦めませんよ!


「だーんーなーさまっ、どういう女性が好きですか?」


 ゆさゆさ揺さぶりながら聞くと、夫が再びうっすらと目を開けました。

 お。いい感じでまた半覚醒状態かな、と見ていると、うっすら開けた目に、鋭く光る何かが一瞬浮かんだ気がして、脊髄反射で夫のまぶたに手のひらを当てて、その視線をさえぎりました。


 あ、危なかった。

 目隠しをされた夫からは微妙な雰囲気が伝わってくるのですが、この手は離しませんよ!

 何か良くわからないのですが、今、飛びずさるか、後ずさるかしていたら、とんでもないことが起きていた気がします。気がするだけかもしれませんが、ここ最近の私の危機察知能力はずいぶん進化していますから、たぶん間違いありません。


 しばらくそのままでいると、夫から規則正しい寝息が聞こえ始めました。どうやら、本格的に二度寝に突入してくれたようです。

 

 まだ、目的は達成していませんが、今日のところは、ここまでにしておきましょう。うん、なんだかよくわからないのですが、ここが境界線の気がします。

 なんの境界線なのかも全くわからないのですが、私は自分の勘を信じることにして、眠る夫を起こさないように、そっと寝室を出ました。


 その日の朝食に、蜂蜜をたっぷり使ったパンを出したら、夫はなぜか複雑な表情をしていたのですが、好物じゃなかったんでしょうか?


 ・・・夫の好みは、よくわかりません。




いえいえ、分かりますよね?

「甘いもの」が好きなんですよ(いい笑顔)

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