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妻がいじけたら(夫視点)

ちょこっと思いついた夫視点の小話です。

短くて、台詞が一つだけです(苦笑)

 妻がいじけている。

 いったいどうしていじけているのかは、わからないが。

 いじけている、ということだけは分かりやすい。


 まずソファの陰や部屋の角、物置部屋の一角など、狭い場所へと行きたがるようになる。今は、居間からは死角になる台所の隅で丸くなってるようだ。見えなくても、気配でわかる。

 それから、いつもなら夕食後は意味もなく話しかけてきたり、勝負を挑んで来たり、その日あったことをさえずるように話すのに、あまりしゃべらなくなる。

 しばらく丸まっても気分がどうしても浮上してこないときは、はちみつをつけたパンを持って、ウーマのところへ行ってしまう。


 ・・・もともと、物音の少ない拠点ではあったが。


 家の中が静まり返ってしばらくすると、ウーマが窓の向こうからこちらを覗いてくることさえある。


 妻が来て、拠点が家と呼ぶべきものになってからは、その静けさが何となく居心地悪く感じるようになっていた。


 今度は、何にいじけているんだ?


 結婚したばかりの頃は落ち込んだ妻をどうすればいいか分からずに、ただ黙ってみていただけだったのだが。

 今は、違う。


 ちらり、と最近作ったばかりの揺り椅子の上にクッションとクマのぬいぐるみが置かれているのを確認して、台所の隅で丸くなっている妻を回収する。


「だ、旦那さまっ!?」


 いきなり抱き上げたせいか、ひどく慌てている妻を抱えたまま、揺り椅子に腰かけ、妻をクッションで包むようにしてから、クマのぬいぐるみを与えた。

 そのまま、ゆっくりと椅子を揺らす。

 

 ついでに、血色の好さを取り戻してきた頬に、そっと唇を寄せると。


 ほら。

 真っ赤になって、さえずりだした。


 一度しゃべりださせれば、妻はその日にあった出来事と一緒に自己嫌悪や不安なども一気に話してくれる。

 そうやって話しているうちに、次第に気分が浮上してくるのだろう。

 しばらくすると、また笑顔で元気よく家の中を動き回るようになる。


 ウーマの腹で泣きながら眠らせるのではなく。

 俺の腕の中で、気力を取り戻してくれることが嬉しくて。


 ・・・とても、誇らしい。


相変わらず、妻が何に落ち込んでいるのかは分からないけれど、慰める方法は見つけたようです。

うん、進歩だ!


あと、夫は、妻のおしゃべりや勝負が気に入ってます(笑)


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