もしも夫と妻が童話の登場人物だったなら・・・
童話の中でキャラ達に自由に動いてもらおうと思ったのですが、ちょっと予想外のことが起きました・・・
①『赤ずきんちゃん』
配役
妻:赤ずきんちゃん
夫:オオカミ
妻「この配役、断固、拒否します! どう考えても物語通りに赤ずきんが生き残れるとは思えません!」
夫「・・・」
妻「というか、旦那さま、赤ずきんちゃんのお話を知っているんですか?」
夫「(頷く)」
妻「え、じゃあ、最後にオオカミがどうなるかも?」
夫「(頷く)」
妻「・・・なんだか、もの凄く嫌な予感がするんですが。念のために、オオカミの結末がどうなるか言ってみてくれませんか?」
夫「満腹になる」
妻「なんで満腹で終わるんですか!? いえ、ある意味、石で満腹になっているから合ってるのかも知れないですけど」
夫「(チラリと妻を見る)・・・」
妻「(ぞくっ)き、急に悪寒が・・・。だ、駄目です、オオカミが満腹満足で昼寝しているところしか思い浮かびませんっ! すみませーんっ、物語チェンジで!!」
夫「・・・(妻に聞こえないように舌うち)」
②『シンデレラ』
配役
妻:シンデレラ
夫:王子様
妻「・・・旦那さまが、王子さま?」
夫「・・・」
妻「いえ、あの、私のイメージだと王子さまって爽やかでほっそりしてて、子供っぽいイメージがあるので。旦那さまの場合は、軍人さんとか狩人さんとかそういう力強くて厳しそうなイメージじゃないですか」
夫「・・・」
妻「衣装もなんだか旦那さまには小さそうですし。それに思ったんですけど、シンデレラが王子様を振り切ってうちに帰る場面、出来ませんよね?」
妻、まだ少し距離がある夫に背を向けて走り出そうとして、捕獲される。夫、ほぼ反射。
妻「ほら、やっぱり。離れててこれなのに、ダンス中の密着状態からなんて不可能もいいところです」
夫「・・・?」
妻「二人が出会うのは舞踏会ですから、ダンス中に鐘が鳴ってうち帰るんですよ、って、え、なんで衣装着始めているんですか、ちょっ、ああっ!? やっぱり王子様の衣装は旦那様には小さいですねってダメ、ダメです、そんなに無理にひっぱったら衣装が破けちゃいますよっ!?」
夫、妻に止められて王子様役、断念。
③『ロミオとジュリエット』
※名場面のみ
配役
妻:ジュリエット
夫:ロミオ
妻「・・・う、うーん、これだったら場面が限定されていますし、大丈夫かな?」
夫「・・・」
妻「じゃあ、私はテラスに上がって、と。よし。旦那さまー、始めますよー、って、あれ? 旦那さま?」
さっきまで、こちらを見上げてスタンバイしていたはずの夫がいない。
妻「え、もしや私放置されちゃいまし・・・っ!? ・・・えーと、旦那さま? 壁を登ってきちゃったら、感動のシーンが、ただの逢引シーンになっちゃうんですが・・・」
息ひとつ乱さずにテラスの柵まで壁を登ってきた夫。
・・・結局、どの物語も始められませんでした。
物語の枠の中で好き勝手動いてもらおうと思ったのに、まさか物語自体が始まらないとは・・・。