友人と私(レイン視点、物語開始前)
妻と友人の休日の過ごし方を、初の友人視点でお送りします!
私の友人はちょっと変わっていると思う。
多分本人は大真面目なのだろうけど、はたから見ていると、なにをしでかすかわからなくて、面白くて仕方ない。
小さな時から、なにかと目立つ兄弟たちに囲まれていても、何となく目が追ってしまうのは、いつもこの友人だった。
その友人の目下の悩みは、夫の「無い無い尽くし」。
割と直球勝負が好きな友人らしいネーミングセンスに、思わず笑ってしまったけれど、本人は真剣に悩んでいた。
何をしたわけでもないのに、ある日を境に挨拶をしても頷くだけ、話しかけても頷くだけになったとか。視線が合ってもすぐにそらされるとか。
そんな男は捨ててしまえ、というのが本音だけど、それは言わずに、ただ話を聞くだけに留めておいた。
最初の頃はひどく気にして落ち込んでいたけれど、次第にそれをどうやって攻略するか、作戦を練ることに夢中になっていく友人が面白かったのもある。
ひとつのことに集中すると周りが見えなくなるのも、友人の可愛らしさだ。
どういう結論に至って、どういう行動をするか。
それを楽しみにしていたというのに、数日前からまた様子が変った。
なにがどう変ったのか、はっきりはいえないけれど、やけに思いつめているようにみえる。
「レイン、笑茸とか自白剤って手に入らないですかね?」
・・・そうとう思いつめているらしい。
「レイン商会は違法行為には手を貸せません。わかってると思うけど、それ、犯罪だからね? ついでに言うと、笑茸も自白剤も毒だから。下手したら死ぬよ?」
手に入れようと思えば、手に入らないこともないんだけど、そんなことを言ったら確実に暴走しそうな友人のために、ちょっと強めの口調で言っておいた。
友人は、ちょっと考えるそぶりを見せてから、冗談です、と笑って見せたけど。
今の間は、本気で考えてたな。
呆れた視線を向ければ、気まずげに視線を逸らしてしている。
というか。
そもそも、そんなものをもし友人の夫に飲ませるために仕掛けたら、その時点で自ぶんで掘った墓穴に片足を突っ込むようなものなのに。
しかも、そうなったら間違いなく私も道連れにされる。
薬物の出所としての報復と、自分の妻に余計なことを吹き込んだ報復と、どちらが比重が大きいかな?
うんうんうなりながら、ああでもない、こうでもないと悩んでいる友人の首筋に咲いている華を見ながら、苦笑した。
たぶん、友人は気づいてないんだろうなぁ。
友人が自分で鏡を見ても微妙に見えない、けれど今の私のように、斜め隣に座れば必ず見える位置につけられた、キスマーク。
どうやら、私は夫殿に警戒されているらしい。
そう思うと、つい、笑いが漏れる。
男装する前から何度もあっているし、既婚者であることも知っているはずなのに、わざわざこんなけん制をかけてくるということは。
・・・今度一度じっくり話をする必要がありそうだ。
夫、レインに対してめっちゃ警戒しています(笑)
虫除けは、本人さえも気付かないようにするのが夫。(←っておい)