第五章~魔女~
「勘がいいわね、小娘」
ラルドの一言は、鋭く、そして冷たく響いた。
すべてを恐怖に変えながら・・・
5章~魔女~
シルキーは、冷や汗を流し、ガタガタと震えていた。
「ラ、ラルドさん・・・?わ 私たちをど どうするつもりですか?」
恐怖のあまり、意識が薄れていく中、シルキーは、やっとの思いでラルドに聞く。
「さぁ・・・?殺して実験材料にでも使おうかしら?」
(だ、ダメだ・・・殺される・・・)
シルキーは、完全に意識を手放した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どれくらいの時がたったのだろうか?
フカフカとした、柔らかいベットの上で、シルキーは、目を覚ました。
「ふぅぁー・・・。あれぇ?私何してたんだっけ?」
トロンとした目をこすりながら、シルキーはベットから、
起き上がり、リビングに向かおうとした。
「えーと・・・確か?ラルドさんに魔女かって聞いて・・・」
そこでシルキーは、気を失う前、何があったのかを思い出した。
「はっ!ツバサくんが危ない!!」
(バンッ!)
扉を開いた先にいたのは・・・・・・・・・
(ズズッ)
「ぷはーこのコーヒうめーなぁ・・・」
「おかわりするならいって頂戴」
コーヒーを飲むツバサとラルドだった。
(ポカーン)
「ツ、ツバサ君?ラルドさん?」
「あら。目覚めたのね?
さっきは、脅かしてごめんなさい。シルキーちゃんたら気絶
してしまうんだもの、こっちが驚いたわ?」
にこやかな顔をして、ラルドはシルキーに話しかけた。
「だって!ラルドさん魔女だって言ったじゃん・・・!」
「落ち着けシルキー。確かにラルドは魔女だけど、人を襲うような
魔女じゃないんだよ。」
そういってシルキーを説得するツバサ。
「えっ?じゃあラルドさんは、優しい魔女なの?」
シルキーは、少し安心したように言った。
「ええ。まぁ簡単に言ってしまうとそういうことよ。」
シルキーは完全にラルドへの警戒心をとき、その後ラルド、ツバサ、シルキーの
三人は、しばらくの間、話していた。
「そうねぇ・・・」
「でしょでしょ?」
「んぁそうなの?」
・・・5分後・・・
「だからさぁ?」
「だよねぇ・・・」
「あら・・・」
・・・10分後・・・
「そうなんだよ!」
「わかったよ」
「そうよねぇ」
・・・30分後・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前ら話なげーよ!
「あら、もうこんな時間」
「早えー・・・」
「早いなぁ」
ツバサとシルキーは、何だかつまらなさそうな顔をしている。
「それにしても、女の子2人で旅なんて、大変ねぇ?」
ラルドは、少し心配そうに、二人を見た。
「えっ?二人って?ツバサ君は、男の子じゃん?」
シルキーは不思議そうにラルドを見た。
「あら、きずいてないの?シルキーちゃん。
ツバサちゃんは、おん「ちょっとまってー!!!」
ラルドが何か言おうとした時、ツバサは、なぜか、ラルドの
言葉をさえぎった。
「ラルド!てめーそれ以上喋んなよ!?」
ツバサは、焦っていた。
「なんでぇ?なんて言ったの?ラルドさん!教えてぇ?」
「ラルド!ぜってー言うなよ!」
ツバサは、大声で、ラルドを止める。
「ハァ・・・・・・ツバサ?うるさいわ?少し黙ってなさい!」
「え?」
ラルドが怒鳴った瞬間、ツバサは、謎の黒い煙のようなものに飲み込まれた。
「うわ!なんだこれ!」
煙が消えると、眠っているツバサがいた。
「ツバサ君!?」
「大丈夫よ。ただ眠らせただけ。うるさいんだもの。」
ラルドがそういって笑うと、シルキーも笑った。
「へへ・・・ラルドさん?話の続きを・・・」
「えぇ。あのね?ツバサは・・・」
(ゴニョゴニョ)
「えぇ!!!?ツバサ君は女の子なのぉ!?」
シルキーは、心底驚いているようだ。
「まぁ・・・本人は隠しているみたいだけどねぇ・・・」
「ううーん・・・ラルドぉ・・・隠してたのにぃ!」
そこでツバサが目を覚ました。
「あら?バレバレだったわよ?」
「お前にとってはだろ!?」
ツバサは今にも泣き出しそうだ。
「よろしくね。ツバサちゃん?」
「ちゃんをつけるなぁ!」
「じゃあなんて呼べばいいの?」
「・・・呼び捨てでいい。」
「アハハ!ツバサ?こうでいいの?」
シルキーは楽しそうに笑う。
ツバサも泣き出しそうではあるが、どこか笑っているようにも見えた。
そんな2人を見て、
「ハア・・・あなた達、旅を続けるの?」
「「うん!」」
するとラルドが、
「あなた達?旅じゃないとダメなの?」
「え?どういう意味?」
ツバサはラルドに聞く。隣では、言葉には出さないが、シルキーも意味がわからないようだ。
「えーとね?ちゃんとした家に住んで、そこを拠点にして、依頼を受けて冒険するみたいな事
ではダメなの?」
「そっちのがいいんだけどさぁ・・・」
「家はないし、家を買うだけのお金もないの。」
ツバサとシルキーは、困った顔をしている。
「うーん・・・遠まわしに話した私が悪かったわ。だからね?2人で私の家に
住まない?そう言いたかったのよ。」
・・・・・・・・・
「えっ!?いいの(かよ)!?」
「ダメだったら言わないわ?」
2人は声をそろえて・・・
「よろしkお願いします!ラルド!!」
「ウフフ。よろしく、ツバサ、シルキー?2人で話し合って、
自分の部屋を決めなさい?」
「だって!どうする?ツバサ?」
「オレは二階はいいな?」
「じゃあ、あたしも二階がいい!」
(キャハハ)
(クスッ、かわいいわね)
2人の少女の子供らしい様子がラルドにとっては、
とても微笑ましく感じた。
5章終