第一章~少女~
第一章~少女~
・いつも通りに依頼を完了
帰る所も特に無い。
「どうすっかな~」
もう日も落ちた。
「また野宿かよ」
何気ない1日、ねむれそうな所を探し、歩き出す。
・・・だがその時
「キャァァー!!!」
「へ?」
声の主は・・・少女だった。
「ハァ!?」
少女が空から降ってきたのだ。
「どいてぇぇぇ!!!」
「へ?へ??」
完全に混乱している。
(ドカァァン!)
きれいに衝突。
「痛てぇ・・・」
「大丈夫!?大丈夫!?」
そう言って少女は、
首をガクガクと揺らす
「いや、大丈夫じゃねぇ・・・」
「お話出来るって事は大丈夫だね!良かった=」
「コイツ勝手に解釈しやがった・・・」
「っつかお前何者?名前は?」
突然降ってきた謎の少女にツバサは疲れた目で名前を聞いた。
「ふぇ?名前?シルキーだよ?シルキー=オリビア。君は?」
「んぁ?オレはツバサ」
あどけない笑顔を見せる彼女にツバサは不思議な印象を持った。
普通の少女ではないと思わせる彼女にツバサはなぜか落ち着いた。
「そっかぁ、いい名前、よろしくねツバサ君」
「ん?ああ。」
(ツバサ「君」ねぇ・・・)
ツバザにとって名前を呼ばれるのは、とても新鮮だった。
「ツバサ君は何してる人?」
「え?」
「例えばさぁ、旅してるとか?」
「じゃあ旅してるかな?」
「へーじゃあツバサ君の家はどこにあるの?」
そう言ってシルキーは目を輝かせる。
「ない。」
「え?!無いの?!じゃあ家族は?」
「いない」
「友達は?」
「いない」
しばらく沈黙が続いた。それを打ち破ったのはシルキーだった。
「一人ぼっち・・・なの?」
「ああ」
「そーなんだ・・・」
自分の事でもないのに、オレが一人だと言うと、シルキーはとても寂しそうな顔をした。
「人から依頼を受けて、その金で生活してる。 世間で言う根無し草だよオレは」
そう言うと、シルキーはオレを見つめた。
「な、なんだよ・・・」
シルキーはプルプルと震えている。
「かっ、かっこいい!ツバサ君!私も連れて行って!」
「ハァァァ!?」
「ダメなの?」
「いやダメじゃないけど、悪く言っちまえばホームレス見てぇな感じだぞ?それでもついてくんの?」
ツバサは、嬉しいんだか困っているんだか、おかしな顔をしている。
「うん!ツバサ君のこと一人に出来ないし!私も旅したい!」
「わかった。後から後悔すんなよ?」
今度は、ツバサも嬉しそうな顔をしている。
「ヤッタァァ・・・」
不気味に光る月がのぼる夜、シルキーの叫び声が響いた。
そして、あの日オレは、一人ぼっちから抜け出した。
一章終