7話 はじめての成果
僕たちはその場に座り込んでいた。
「みんな…大丈夫か?」
僕はみんなに聞いた。
「俺は…大丈夫だ…」
「問題ない…」
「うん…なんとか…」
みんながそう答えた。
「ここは森の中だし、気を引き締めないと…」
僕はそう言って立ち上がった。
みんなもつられるように立ち上がった。
「薬草の採取をしちゃおう」
僕はみんなの方を見て、言った。
「うん…そうだね…」
最初に返事をしたのはノルトだった。
ノルトは今までと違って、声が出ていた。
「よし、やるかぁー」
「俺は周りを警戒しとく」
「じゃあ、俺も周り警戒するわ」
グランとロイもそう言って、周りを見渡して、警戒をしてくれた。
薬草の採取は僕とノルトがやることになった。
僕は草を引き抜く。
「それは…ただの雑草だよ…」
ノルトが僕が取った草を指差しをながら言った。
「えっ、そうなの。…どれが薬草?」
僕は生えてる草を見渡しながら、ノルトに聞いた。
「この葉っぱが細くて、4方向で十字に伸びているのだよ。ラント君が取ったのは2方向で左右にしか葉っぱが伸びてないでしょ」
ノルトが薬草と雑草の違いを説明してくれた。
僕は座学は全然だから説明を聞いて、やっと違いがわかった。
「なるほど…」
僕はそう呟いて、薬草採取を再開した。
薬草採取をしている間はなぜか、静かであった。
みんな、初めてのことで何を話せばいいかわからなかった。
僕は薬草を採取しながら、どう話しかけようか悩んでいた。
さっきまでの狼の戦闘、今はどれくらい疲れているか?
聞きたいことは色々あった。
でも、この沈黙の中、何かを話そうとは思えなかった。
みんな集中していて、邪魔をしたくなかった。
僕は薬草を採取しながら、ずっと考えていた。
「こっちに生えてる薬草は取り終えたよ…」
ノルトが小さな声で言った。
「…あぁ、僕ももうすぐで取り終える」
僕は少しの間の後に答えた。
そうして、薬草の採取は終わった。
「薬草は20束だろ、どれぐらい取れたんだ?」
グランが僕とノルトのところに来て、聞いてきた。
「僕は8束だね」
「あっ…僕は15束です」
僕とノルトはそれぞれ答えた。
「23束か、じゃあ帰るか」
ロイが僕たちのところに来て言った。
「そうだね、街に帰ろう!」
僕はそう言って、立ち上がった。
「そうだな、帰るか」
グランが同調して言った。
「帰るのはわかったがあれはどうやって持って帰る」
ロイは僕たちが倒した狼を指差しながら言った。
「誰か、解体できる人いる?」
僕はみんなに聞いた。
「解体は3年で習うからできねー」
グランはそう答えて、2人はそれを聞いて頷いた。
少し悩んだ後に僕は言った。
「じゃあ、僕が背負っていくよ…」
僕は持っていた薬草をノルトに渡して、ロイとグランに狼を僕の背に乗せてもらった。
初めての戦いと初めての成果を背負って、僕たちは静かに森を後にした。