5話 白狼の森
次の日の早朝、僕たちは街の西門に集合していた。グランを除いて。
「グランが来ないね」
僕はつい呟いた。
「あぁ、あの野郎、何してんだ」
ロイが怒りをあらわにして言った。
ノルトはロイにビビって僕の後ろに隠れた。
そんな時、遠くから声が聞こえた。
「わりー、遅くなった」
グランの声だ。
それを聞いたロイはその声の方を見た。
「おまえー、遅れてる自覚があるなら走ってこいよ」
ロイは歩いてきていたグランに大声で文句を言った。
そんなことがあったがパーティは全員集合した。
「全員集まったし、行くか」
僕がそう言って、パーティは白狼の森へ出発した。
「森まで後どのくらいだ」
歩いて数分経った時、グランが言った。
「白狼の森はあそこに見える森だよ」
僕は遠くに見える森を指差しながら言った。
「意外と近いな」
グランがあくびをしながら言った。
「あぁ、そうだよ。歩いて30分もしないで着くから緊張感を持て」
ロイがグランを睨みながら言った。
そんな中、グランとロイの間に挟まれていたノルトは涙目になっていた。
森に着くまでの間、グランは呑気に歩いて、ロイはグランを睨みながら歩いていた。
間に挟まれたノルトは小さくなりながら早歩きで歩いていた。
「あと少しで着くよ」
森に近づいてきたから僕はみんなに言った。
グランとロイはさっきまでの空気とは打って変わり、真剣な表情になった。
それを感じ取ったノルトは一呼吸おいて、真剣な表情になった。
僕たちはそこから森まで緊張で会話がなかった。
そのまま、僕たちは森の手前まで来た。
「準備はいい?」
僕はみんなの方を見ていった。
「あぁ…」
「いいよ…」
「問題ない」
3人はそれぞれ返事をして、僕らは薄暗い森へと足を踏み入れた。
僕はみんなの緊張をほぐそうと考えていた。
「みんな、薬草は森の手前の方にあるから狼の群れがいる奥には行から落ち着いていこう」
僕はみんなに声をかけながら進んだ。
そんな中、ノルトが言った。
「あっ、あそこに薬草が…」
今までで一番声が大きかった気がする。
僕たちはノルトの指差す方向を見た。
そこには指定の量に十分に届くぐらいの量の薬草が生えていた。
「よし、取りに行こう」
僕はみんなにそう言って、先頭を歩いた。
周りを警戒しながら歩いている時に“ガサッガサッ"と葉っぱの音がした。
僕は音の下方向に目をやった。
こちらをじっと見つめてくる目が見えた。
「一匹狼だ」
僕は小さく呟いた。
その声を聞いたみんなは戦闘の準備をした。