4話 冒険の装備選び
店に入ると店主が出迎えてくれた。
「いらっしゃ…って坊ちゃんじゃないですか」
店主は焦ってこちらに駆け寄る。
「坊ちゃんがこんなところに来てくださるなんて、どんなご用件でしょうか?」
「今度の進級試験のための装備と武器が欲しいから用意してくれ」
ロイが店主と話をする。
「こんな店に坊ちゃんに見合う装備はありませんよ」
「あぁ、一緒にパーティ組む人たちのを用意してくれないか」
ロイのその言葉を聞いて、店主がこちらを見る。
「あぁ、後ろの3人のですか…」
店主は眉をひそめ、露骨にテンションを下げて言った。
「こんにちは…」
僕は少し小さくなりながら挨拶をした。
「ねぇ、おじさん、安くていい装備ない」
グランがロイの横に行って、聞いた。
「安くていい装備か、安いのだったらそっちの端の方にあるやつだ。いい装備はそん中から見つけろ」
店主は思っていたより怖い人ではなかった。
そうして、僕たちは店主の言っていた端の方で装備を見た。
グランは装備を物色し始める前。
「ラント、いい装備あるか」
装備を探し始めたばかりの僕に聞いてきた。
「今から探すんだよ、グランも自分の装備は自分で探してくれ」
僕は少しイラッとして適当に返した。
「確かにそれもそうだな」
グランはそうして、装備を見始めた。
僕も装備を見た。
装備は最高級とまではいかないが粗悪品は一つもなかった。
白狼の森に行くだけならどの装備でも問題なさそうだった。
僕たちは自分に合った装備を見繕った。
「あれ、ロイは選ばないのか?」
僕は椅子に座っていたロイに話しかけた。
「俺は中央の方の店で用意してもらうから」
ロイはそう言って店主にお茶をもらっていた。
僕たちは次に武器を選ぶことにした。
「ノルト、ここに弓は置いてないけど、どっか別で探す?」
僕は装備を選び終わって、立っていたノルトに話しかけた。
「ゆ…弓と矢は家にあるから…大丈夫…」
ノルトはそう言ってお店の隅に寄って、立っていた。
僕とグランは剣を選ぶことにした。
「グランは剣は重い方がいい?」
「いや、俺は速度重視だから軽めがいいかな」
そんな会話をしながら選んだ。
そうして、装備と武器を選び終えた。
「買うのはこれで全部でいいか?」
「はい、これで全部です」
店主とそう話しながら会計を済ませた。
値段は相場よりも安かった。
店主によれば、ロイと一緒にいたから安いのをさらに安くしてもらえたみたいだ。
装備を買った僕たちはそれぞれ帰路についた。
「じゃあ、明日、西門に集合で」
僕がそう言って、みんなが賛成して解散した。