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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヒトノチバケモノ

作者: ink

30分台本 (男2:女1:不問2)

八咫(やた)(不問)

八咫烏(やたがらす)と人間の子供。

村で隠れてた所出会った少年、

和助(かずすけ)と共に暮らす事になる。


和助(女)

※演じる役者は女性ですが男です。

八咫と共に暮らす事にした8歲の少年。

幼い頃、妖に親を殺されている。

好きな物は手鞠(てまり)、得意なものはけん玉。


酒兵衛(さかべえ)(男)

村に化け物がいるとききつけ、訪れた武士。

酒が大好きで、疫病を嫌う。

八咫の存在を知り、首をとろうと行動する。

酒呑童子を兼役。(同キャラ)


寿郎(としろう)(男)

村に昔からいる老人。

八咫の存在に気付き、酒兵衛に報告する。


語り部(不問or2人)

ナレーション。八咫烏(やたがらす)とその他キャラを兼役。

__________________________________________

語り部「時は鎌倉、末期頃。場所は今の秋田県のとある村。そこでは、かつて神武天皇を大和国へと案内したとされる鴉、八咫烏と人間の落胤(おとしだね)である捨て子の生き物、それと、親を妖に殺された8歲程の少年がいました。(これ)は、そんな2人の出会いと別れを示す〈物語〉である。」


和助「ー。わはーっ!でっかいトンボだ!!捕まえないと...。待てー!!」


八咫「...。」


語り部「ヒトノチバケモノ(タイトルコール)」


和助「なぁなぁ!寿郎のおっちゃん!!見てみて!!でっかいトンボ捕まえた!!」


寿郎「あぁ、本当だな。何処で見つけたんだ?」


和助「あっちのでっかい川の近く!!早かったけど頑張って捕まえたんだ!凄いだろ!!」


寿郎「だからそんな泥だらけなのか。全く、元気なのは良い事だが、遊んでばかりだと大人になった時に苦労するぞ。私は、そんな大人、嫌という程見てきたからね。」


和助「むー。仕事もしてるよ。」


寿郎「ちゃんと仕事をしなさいって事さ。」


和助「ふーん。...良くわかんないけどまあいいや!!夕方だしそろそろ帰るよ!!おっちゃん!!また会おうなぁ!!」


寿郎「...やれやれ。」


和助「......ただいまぁー、って誰もいないんだけど...。ん?食料庫から音がする。なんだろ。」


八咫「ムグムグ(食べ物を食べる)」


和助「あーっ!!」


八咫「わーっ!!...なな、なんだお前!!」


和助「それはこっちの言葉だよ!!誰君...ていうか人間じゃない!?」


八咫「...俺は人間が嫌いだ。お前に名乗る名前はねぇよ。」


和助「うーん...じゃあ(からす)みたいな見た目しているから『カー』って名前で。」


八咫「適当に決めるんじゃねぇ!俺は八咫(やた)って名前があるんだ!!ってあっ...。......ちっ。」


和助「へぇー、八咫って言うんだ。俺は和助(かずすけ)!!よろしく!!」


八咫「...別によろしくしたくねぇよ。」


和助「で、八咫は何でここにいて何をしてたの?」


八咫「見たら分かんだろ。ここにある食べもん食ってんだよ。」


和助「ふーん。」


八咫「ふーんってお前おい、そっちから聞いておいて。」


和助「ごめんごめん!俺どんな事も深くは考えないからさ。でもわざわざここで食べなくても、自分の家で食べればいいんじゃないの?家が遠いとか?」


八咫「...ねぇよ。」


和助「え?」


八咫「家なんかねぇ、食いもんもねぇ。それに親だっていねぇ。俺が物心着いた時には、周りに残ってたのは八咫って書かれた紙だけ。人どころが妖だっていなかったんだ。......ほれ、全部言ったんだからあっち行け。お前も食っちまうぞ。」


和助「じゃあ...。」


八咫「あ?」


和助「じゃあ、一緒に暮らさない?」


八咫「っはぁ!?何言ってんだお前!さっき食っちまうぞって言っただろ。」


和助「本当に食べる奴はそんな事言わないよ!!それにさ、八咫も飯食べられるんだよ!!」


八咫「お前が良くても、お前の親とかいるだろうが!」


和助「...いないよ。」


八咫「っ。」


和助「俺も1人なんだ。だから一人寂しいんだよ!だから、な!いいだろ!!」


八咫「...わかった。よろしく頼む。」


和助「わはー、ありがとう!!よろしくな!八咫!!」


八咫「ふん...。」


和助「ていうか、お前ボロ布でほぼ裸みたいな格好だけど...寒くないのか?」


八咫「え」


和助「うーん...むにゃむにゃ。」


八咫「...。(なんだコイツ...出会って勝手に食べもん食ってたやつと一緒に暮らそうとするし、......藁の衣装くれるし。コイツ、俺が怖くないのか?俺が今まであった奴は怖がって石を投げてきたり、バケモンだと罵って武器を向けてきたりしてきたのに...。......変なニンゲンだ。)」


和助「......おーい、起きろー。んー、起きないなぁ…朝だよぉー!!」


八咫「うわ!!うぇ!?」


和助「あっはは、驚きすぎ!おはよう。朝ごはん作ってるよ。」


八咫「...寝てたのか、俺。」


和助「いっただきまーす!!」


八咫「...いただきます。」


和助「もぐもぐ。美味しいね、これ。」


八咫「お前が作った物だろ...。味見してないのか?」


和助「してないよ。楽しみはとっておくものでしょ。」


八咫「...そうか。そうだな。」


和助「ご馳走様ー。じゃあ俺、仕事行ってくる。」


八咫「仕事?お前が?」


和助「仕事というか知り合いの畑の手伝いとか買い物とかだけどな。お金の代わりに食べ物貰ってるんだよ。」


八咫「(だから、あんなに食いもんが食料庫の中あったのか。)そうなのか。...頑張れよ。後...食いもん勝手に食って悪かったな。」


和助「あっはは!別にいいよ。あっ!でもでも。」


八咫「なんだよ。」


和助「俺の仕事中に食料庫のもの食べたらダメだよー!」


八咫「食べねぇよ!!」


和助「冗談だよ!!じゃあ行ってくるーっ!」


八咫「...元気な奴だな。本当。」


知り合い「......今日も手伝ってくれてありがとうな坊主。ほれ、一部だけどやるよ。」


和助「わー!!ありがとうございます!!じゃあまた!!...よし、今日は早くすんだからすぐ帰れるけど...先にあっちに顔出してこよ!」


寿郎「ん?なんだ、和助じゃないか。どうしたんだ?」


和助「今日は早く仕事がすんだからちょっと顔出しに来たんだ。」


寿郎「そうかそうか。今日は何をしたんだ?」


和助「畑の手伝い!!クワとか重かったから疲れたよ。」


寿郎「そうか。頑張ったんだな。」


和助「...じゃあ俺、そろそろ帰るよ!!またなおっちゃん!!」


寿郎「待て、そういえば聞きたいことがあったんだった。」


和助「何?」


寿郎「昨日騒がしかったみたいだが、何かあったのか?」


和助「うぇ!?ぅーんと...ないよ!特にない!!じゃあまた!!」


寿郎「おい!待ちなさい!! ...。」


和助「......たっだいまぁ!あー、疲れたぁ」


八咫「あぁ、おかえり。」


和助「ん?何この匂い。いい匂いだけど。」


八咫「飯作っておいたんだよ。食うならさっさと食うぞ。」


和助「...。」


八咫「...なんだよ。」


和助「君、料理出来たんだね。」


八咫「喧嘩売ってんのか!?」


和助「......ふー!!ご馳走様!!美味しかったー!!」


八咫「...なぁ。」


和助「ん?何?」


八咫「お前は...俺が怖くないのか?」


和助「別に怖くないよ。最初はビックリしたけど話したら全然普通のやつだし。」


八咫「でも、俺はこんなナリで...。人の前に顔を出そうものなら石投げられるような奴だったんだぞ。お前の食いもんだって、勝手に食ってたし。」


和助「ふーん。でも...俺は良い奴だと思うけどなぁ。」


八咫「何でさ。」


和助「だってゴメンなさいが出来てる!!」


八咫「はっ?」


和助「ゴメンなさいが出来るってのは大事なんだぞー!!ちゃんと反省出来てるって事なんだから。」


八咫「いやいや!!んなもん!!誰だってできるだろ!!表では反省してるフリする奴だって...」


和助「できないよ。」


八咫「っ!!」


和助「俺さ。前に親はいないって言ったじゃん?俺の親な、殺されたんだ。妖に。」


八咫「...。」


和助「朝目が覚めたら母さん冷たくてさ。その隣で父さんが食われてた。それで父さんを食ってた妖が俺を見て言ったんだ。」


妖「なんだ。まだ餓鬼がいたのか...。弱っちそうな体だが...めんどくせぇなぁ。放置でいっか。」


和助「って。そいつは謝らなかったし、俺だけを残したんだ。」


八咫「...和」


和助「だから、謝れるってのは凄い事なんだよ!...ってアレ、八咫...なんで泣きそうな顔してるの?」


八咫「...お前も、色々あったんだな。...つーか、泣きそうな顔してんのはどっちだよ。」


和助「え?アレ、おっかしいなぁ...もう割り切った事なのに...。」


八咫「お前はまだ小さいガキなんだよ。だから...なんだ。ガキが一丁前に大人ぶるんじゃねぇ。泣きたい時は泣け。」


和助「っ...!ぅう、うわぁああああああああん!!!!ああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」


八咫「......あーなんだ。その、少しは落ち着いたか?」


和助「ぐす...うん。ごめん、八咫。」


八咫「別に謝られることなんざねぇよ。...嫌な事思い出させちまったみてぇで...俺も悪かった。」


和助「ふふ...えっへへ。やっぱり八咫は良い奴だよ。」


八咫「なんだよ急に。」


和助「ううん、こっちの話。ふわぁ、泣いたり笑ったりしたら疲れたしそろそろ寝よーっと。それじゃあ、八咫、おやすみ!」


八咫「ふっ...。あぁ、おやすみ。」


寿郎「......。(なんじゃアレは...鴉の怪物じゃ。不吉の前兆じゃ!!恐ろしい...和助が隠しとったのはあの怪物だったのか。こうしちゃおれん...。すぐに武士様にお伝えしなければ......!)」


兵士「......お伝えします。辺境の村より、鴉の様な姿をした怪物が現れたと連絡が。如何致しますか?酒兵衛様。」


酒兵衛「ほう、鴉の様な怪物とな、面白い。酒のつまみ代わりにはなるだろうか、よし!明日出向いてみよう。...ようやく尾を見せたか。八咫烏...。」


和助「......ん...ふわぁ、アレ、鴉が鳴いてる。まだ朝早いのに。それにしても変な鳴き声。ふふ、八咫の気配につられたのかな。」


八咫「ん?おはよう和助。呼んだか?」



和助「わっ!!」


八咫「んだよ。そんなビックリして。」


和助「八咫が俺より早く起きてる。」


八咫「早く起きてるって...まだ出会って数日だろ。つーか、起きてるっていうか、寝れなかったんだよ。」


和助「え?なんで?」


八咫「いや、なんつーかその、胸騒ぎみたいな感覚がして。」


和助「......じゃあ俺、今日も仕事行ってくるけど、本当に大丈夫なのか?」


八咫「大丈夫だよ。胸騒ぎみたいなっていったろ。きっと気の所為さ。」


和助「うーん、それならいいんだけど...。」


八咫「だーもう、いいから行ってこい!お前が心配する程の事でもねぇよ!!大丈夫だから、な。」


和助「...うん。分かった!じゃあ行ってくる!!」


八咫「おーう。」


和助「......えーと、これはこっちの店で...。うわっ!」


酒兵衛「む!!ぶつかってしまったかすまない。...怪我はないだろうか。少年。」


和助「あ、えっと、はい。(眼の圧が凄い人だな...。)」


酒兵衛「うむ!!怪我がないのであれば良かった!ではすまないが急いでいるのでな。ここら辺で失礼する。」


和助「あ、はい!えと、急いでいたようなのにぶつかってすみません。」


酒兵衛「別に謝らなくとも良い!!こちらの不手際なのでな!!では少年!また会おう!!


和助「え...は、はい。」


酒兵衛「...近いうちにな。(小声で)」


和助「......さっきの人、嵐の様な人だったなぁ。頼まれたものも全部買ったし、これを渡せば仕事は終わりと。ん?何だろう、あそこ...人だかりが。...え?」


酒兵衛「村の皆様、お初にお目にかかりまする。私は、しがない侍の武士、酒兵衛と申すもの!!先日、この村に暮らす寿郎という名前のご老人より、近辺の家に鴉の姿をした怪物がいるとの連絡が入ってな。其れにより馳せ参じた!!」


ガヤ(キャストの皆様でアドリブ)


酒兵衛「...して、そこの少年に話を聞きたいのだが、よろしいだろうか?」


男「和助に?何故だ?」


老人「彼は根の優しい子で...。」


酒兵衛「ふむ、根の優しい、ですか。では、単刀直入にお聞きいたします。和助殿は...鴉の怪物を匿っておりますか?」


和助「それ...は...。」


酒兵衛「...あぁ、すまない、見た所まだ幼い。怖がらせてしまっただろうか?では、和助殿の家に案内していただけるだろうか?」


和助「え?あ...。」


酒兵衛「怪物がいるかどうか、家を探せば見つかるでしょうし。」


寿郎「私が案内致しましょう。酒兵衛様。」


酒兵衛「おや、助かります!!寿郎殿!!では、和助殿も一緒についてきて貰えますか?」


和助「...はい。」


寿郎「......ここでございます。」


酒兵衛「おぉ!これは立派な家ですなぁ!ここであっておりますか?和助殿!!」


和助「はい...。」


酒兵衛「フッ...では、失礼致します。...おや?」


和助「あ...。(誰も、いない?)」


酒兵衛「ふーむ...。何もいないようですな。」


寿郎「そんな馬鹿な!!先日はここにいたはずです!!いないなんてことは...!」


酒兵衛「ふむ...では、数日この村にいることにしましょう!そうすればいつか尾を見せるはずです!」


寿郎「おぉ!!ありがたい、是非とも私の家をお使い下さいませ!!」


酒兵衛「なんと、それは助かる!!後、失礼だが、良ければ酒を貰っても良いだろうか?武士としては恥ずべき事なのだが、私は酒が大好物なものでな。」


寿郎「えぇ、ありますともお渡し致しますとも。ささ、どうぞこちらへ...。」


酒兵衛「あぁ、では和助殿、失礼した。」


和助「...。(八咫、どこ行ったんだ...大丈夫、無事なのか?)」


八咫「おい。和助。」


和助「や...!ムグ。」


八咫「おい、声抑えろ。」


和助「八咫...。何処にいたんだ?」


八咫「隠れてたんだよ。って、俺の事はひとまずいい。それよりあの武士だ。」


和助「え?あの人がどうかしたの?」


八咫「どうかこうかの話じゃない。アイツのあの気配、アレは...」


寿郎「......どうでしょうか?お口にあいますかな?」


酒兵衛「ゴクゴクッ・・・プハァー!!うむ、美味い、美味い!!これは良質な酒じゃ。ほれ、そこの...ご老人!!さっさと次を持ってまいれ!!」


寿郎「は、はい!!ただいまお持ち致します!!」


酒兵衛「(舌なめずり)それにしても、あの小童、和助といったか、やはり何か知っておる様子だったな。それにあの匂い、奴と、八咫烏のやつと同じ香りがした。だがしかし、どうやったらその事を炙り出せるか...ふむ、炙り出す。

...そうだ、閃いた。」


寿郎「お持ち致しました。酒兵衛様?何故手を招いて?」


酒兵衛「老人、良いからこっちへ来い。」


寿郎「はぁ...。ムグッ!!酒兵衛様!?何を。」


酒呑童子「そりゃ偽名じゃ。儂は酒呑童子。妖の一人じゃ。


ガヤ(ry


酒呑童子「丁度いい。お前達、八咫烏を炙り出す炎になれ。」


八咫「......妖の気配だ。」


和助「...え?」


寿郎「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」


和助「っ!!寿郎のおっちゃんの声!?一体何...」


八咫「待て!!行くんじゃねぇ!!」


和助「が...。」


酒呑童子「おぉ!!小童!!出てきた出てきた!!待っておったぞ!」


ガヤ(全員でアドリブ)


八咫「...クソヤローが。」


和助「何、これ...火?なんで寿郎のおっちゃんが、家が燃えて...。」


酒呑童子「お主が悪いのだぞ?鴉がおるのに匿っておった。その所為でそこにいた大勢の有象無象が死んだ。お主が全ての根源じゃ。」


和助「ち、違っ!」


男「和助だ...。」


和助「え?」


男「和助の所為だ!!」


ガヤ(ry


知り合い「お前の所為で村が...!」


和助「違...違っ!!!」


男「お前の所為だ!!!!(石を投げる)」


和助「っ!!」


八咫「っ。(石をとる)」


和助「や...八咫!!」


男「ひっ怪物だ...。本当にいたんだ!!!!!」


酒呑童子「おぉ!!出てきた!出てきたぞ!!待っておったぞ八咫がら...ん?よく見れば八咫烏の落胤(おとしだね)か。」


八咫「は?...落胤?」


酒呑童子「そうじゃ。お主はあの憎たらしき鴉と、身分の低い人間がたまたま慰めあい、とぼした末に生まれただけ。烙印の押された人の血の混じった化物じゃ。」


八咫「烙...印。」


酒呑童子「だと言うのに奴ははお主を愛そうとした。」


八咫「!!」


酒呑童子「...じゃから、その愛を奪ってやった。手始めに奴のモノを殺してな。」


八咫「...。」


酒呑童子「そこから奴は儂を恐れおってな、アレは傑作じゃった!じゃからやっと尾を掴んだと思うたのに、興が冷めたわ。...心も壊れてしまったようじゃの。」


八咫「...。」


酒呑童子「まぁ良い。お主が死ねば、また1つ八咫烏が苦しむ。...死ね。」


和助「はぁ...はぁ...!っ!!!!」


八咫「っ...は...?おい、和助お前っ何してんだよ!!!!」


酒呑童子「童が落胤を庇いおった。面倒な。まぁ良い、コレで今度こそトドメがさせーっ」


八咫「ッうるせぇ黙れ!!!!」


酒呑童子「ッ!!がっ!!!!(吹き飛ばされる)」


八咫「...ッ!!おい、さっさと止血しろ!!死ぬんじゃねぇ!!!」


和助「ゴフ...無理...だよ。これだけ血を出した...ら」


八咫「んな事分かんねぇだろうが!!まだ...」


和助「分...かるよ。だって、自分の事だもん。」


八咫「ッー!!!」


和助「ねぇ、あんま...り、時間が...ないから...さ。聞いてほしいんだけど...。」


八咫「あぁ...あぁ!!!!なんでも聞いてやる!!だから!!」


和助「俺...ね、最初お前を見た時、怖かったんだ。」


八咫「え?」


和助「だって...夜に食料庫から音がして...そこに鴉の見た目した生き物がいるんだよ...。普通に考えたら怖いでしょ...。」


八咫「あぁ...。」


和助「でもね、話したら普通だなって。普通の、必死に生きようとしてる良い奴なんだって...思ってさ。」


八咫「っあぁ...!」


和助「それ...でね。俺さっきの事で思ったんだ。本当に怖いのは、化物なのは...人間の、方なんだって。」


八咫「...。」


和助「八咫...は、俺の事...怖かった?」


八咫「...ない、怖くなんてなかった!!楽しかった!!」


和助「ふふ、そっか、ふぅん。...じゃあさ、最期に1個お願いがあるんだけど、良い...?」


酒呑童子「......ッチィ!!!この出来損ないの烏め...!出来損ないが儂の顔に傷を...!」


八咫「......あぁ...分かった。」


酒呑童子「っ!!なんだ?なぜそこの小童を殺したのだ?あぁ、心中の様なものでもするつもりなのか?」


八咫「...あぁ、そうだな、但し、死ぬのはテメェだけで十分だ。」


酒呑童子「何を言っておるのだ。たまたま一撃が入っただけで戯言を...ッ!!」


八咫「遅せェんだよ。もーちょっと早く喋ってくれ。」


酒呑童子「貴...様...!儂の腕を...切りおった!!!ふざけ...巫山戯るなぁ!!貴様の様な出来損ないが腕を切るだと!?コレであればまだ八咫烏の方がマシだ!!」


八咫「そうか。もう夜なんだ。頼むから静かにしてくれ。」


酒呑童子「くっ(コイツ...だべりながら儂の技を軽々と避けよる!!さっきまで土くれにふせとった奴だった癖にっ!!)」


八咫「さっきより遅え。腕を失ってスピードも失ったかァ!!」


酒呑童子「ッぐぁ...貴...貴様!!いや、貴様ら八咫烏は儂の楽しみを奪うに飽き足らず、儂の命まで奪うつもりかァ!!!」


八咫「さっき静かにしろって言っただろ。さっさと黙れ!!!」


酒呑童子「がァっ!!!!何...だ!!!!何なんだ貴様はァ!!!!」


八咫「さっきテメェが言ってたろ。俺は、人の血の入ったバケモンだ。」


酒呑童子「っ!!!!!」


八咫烏『話はそれで終わりか?では私は失礼する。』


酒呑童子『おい待て!!巫山戯んじゃねぇ!!!!ニンゲンと結婚したから進行を止めるだと!?テメェの私情でもの言ってんじゃねぇ!』


八咫烏『煩い。頼むから静かにしてくれ。子供が泣き出してしまう。』


酒呑童子『(クッソ...八咫烏も...!この化物も!!!!)どいつもこいつも俺をコケにしやがってェエエエエエエエ!!!!!!!」


八咫「ふっ!!」


酒呑童子「(首をはねられる)」


八咫「っ...ふぅ、ふぅ...。」


八咫『お願い...?なんだ!」


和助『俺を殺してくれ。』


八咫『は!?何をいって、」


和助『俺は...もう助からない。どうせ死ぬなら、その原因は...八咫。お前がいい。』


八咫『和助...だが。』


和助『大丈夫だよ。八咫。俺はまた...すぐ生まれてくるさ。』


八咫『え?』


和助『信じてるわけじゃないけど...輪廻...転生...みたいな。でも、もし本当に輪廻転生して生まれ変わるんだったら...お前みたいな、鳥になりたいな。でも人間が化け物になるなら化け物でもいいかも...。言い方は悪いけど人のち化け物になりたい。』


八咫『...。』


和助『だから...お願い...。八...咫...。』


八咫『あぁ...分かった。』


八咫「ほら、終わったぞ...。和助。なぁ、すぐ生まれるんだろ。鳥になるんだろ...っ。早く...起きてくれよ...!っ!!あぁああああああああぁぁぁあ!!!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!!」


語り部「その日、日本中で鴉が泣いた。まるでその少年の死を、全ての鴉が悲しむ様に。」


八咫「......よし、じゃ。行くか。...またな。和助。」


和助「あぁ!!また会おうな!!」


八咫「っ!!...フッ。あぁ、"また"な。」

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