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6.やっぱり武器は良いってしみじみ思うね!

6話

 威勢よくゴーレムに潰されたのが昨日、私は今日もログインしていた。

 そして現在、私が居るのは北の森である。揺れる葉の音に気を取られて、脚を止めて見上げると、葉の間から陽光が差し込んでいる。

 耳を澄ませば、遠くからは水のせせらぎが聞こえてくる。


 「小川でもあるのかな……?」


 森の中をピクニックなんてことも楽しそうではあるけど、残念ながら今回の目的はそれじゃないからね。

 再び土道を踏みしめてややあって、私の正面には一匹の“ワイルドウルフ”が現れた。そして、彼らこそ私の今日の目的である。鍛冶と売却に使うウルフの素材と、街の掲示板にあった“ウルフ駆除”の依頼。趣味と実益を兼ねた冒険者活動だったりする。

 私は先日入手した素材で新しく鍛造した“野生の長槍”の柄をしっかり握りしめ―――――、


 「グァァァッ!!」


 ウルフが咆えながら飛びかかってくる瞬間、私は素早く槍を突き出した。ウルフは身をひるがえして避けようとするが、槍の先がその肩にかすった。惜しい……!次はもっとタイミングを合わせないとね。

 槍を構えなおす。ウルフは狂暴に吠え、再び攻撃を仕掛けてくる。


 「ふぅ……」


 私は一歩後退しウルフの動きを見極める。次の瞬間、ウルフが再び飛びかかってきた。その瞬間を狙い槍を力強く突き出す。槍の先がウルフの胸に深く突き刺さり、HPが0になったウルフは地面に倒れる。槍を引き抜く。

 

 「よーし、これで5匹目。順調順調やっぱウルフには槍だね」


 ―――――さて、現在私が刀ではなく槍を使っている件について。これには大きく分けて三つの理由がある。まず一つ目は、先日の戦闘を通じて魔物によって有利となる武器が異なることを実感したから。二つ目は、最初のスキル選択で<刀術>のような武器専用スキルを取っていなかったため、一つの武器に絞る必要がなかったこと。そして三つ目は、単純に自分で作ったさまざまな武器を試してみたかったから。  

 だって見て欲しい、この槍の形状を!長くしなやかで軽量でありながらも非常に強靭!槍の先端は鋭く研ぎ澄まされ、敵を一撃で貫かんとする強い意志すら感じる!シンプルな形状ながら美しさと機能性を兼ね備えた戦士の武器!やっぱり武器は良いってしみじみ思うね!

 と、少し脱線してしまったけど、以上の理由からウルフ相手には槍で戦うことにしている。


 「残り5匹、さっそ終わらせよう!」


 ちなみに“野生の長槍”は、ファングボアとコンバットバットの二匹からドロップした素材からできたんだ。効果は獣系の魔物に対するダメージが5%上昇するといったもの。結構良いよね?だから、同じ素材で他にも色んな武器を作ったんだ~。おかげで、魔物の素材やまだ使えない銀鉱石を売って増えたゴールドがまた素寒貧になったけどね…………。

 なんてブルーな気分になってないで、気を取り直して…………ん?後ろから物音がする……、


 「ブゥ……ブゥ……」

 「おうっと、オークか……」


 くすんだ茶色の肌にでっぷりとした存在感ある体躯、手には大きな棍棒を握っている。はっきり言って、出会っても嬉しくない。肉に皮に牙に爪に、ドロップする素材全てがそれなりの需要を持つウルフと違って、オークはその逆で金銭的にはそこまで美味しくない。まぁ、経験値的には悪くないらしいでのレベリングついでに倒すけど。どうせ、鍛冶にも一定以上のステータスが必要なんだからね。

 先ずは武器を変える。一々手間ではあるけどコンソール操作から“野生の長槍”を“野生の両手斧”に変更。手にずっしりとした感触が乗る。

 両手斧は両手剣のように、高重量と高い攻撃力による一撃に秀でた性能をしている。ただ二つの違いは、両手剣の刃が広い攻撃判定部位を持っていることに対して、両手斧は穂先による完全な一点集中の攻撃に特化している点だ。これはこれで語りたいほど素晴らしい機能美ではあるが今は割愛させてもらおう。


 「ブグォォォ!」

 

 駆け出した私に、オークは興奮したように叫び声を上げる。

 オークはHPと攻撃力に特化したステータスで、敏捷性はかなり低い。だから重い一撃で素早く倒す。オークが棍棒を振り下ろす瞬間、私は横に飛び退き、両手斧を横へ薙ぐ。斧の刃がオークの腹に深く食い込み、オークは苦痛の叫び声を上げる。


 「ブグォォォォォォッ!!」

 「うわっと危ない……」


 オークは怒りに燃え、再び棍棒を振り回してくる。私はその攻撃をかわしながら、攻撃を加えていく。オークの動きは鈍く、私の攻撃を避けることができない。斧の一撃一撃がオークの体に深く突き刺さり、HPが徐々に減っていく。

 そして最後、両手斧を高く掲げてオークに向かって突進する。オークは抵抗を試みるが、飛び上がると同時に斧を勢いよく振り下ろす。刃がオークの肩を抉ってオークは地面に倒れ込む。HPが0になったオークは消滅し、経験値と少量の素材をドロップする。


 「ふぅ疲れた…………」


 私は斧を肩に担ぎながら、周囲を見渡す。遠くからはプレイヤー達の戦闘音が聞こえて来た。みんな頑張っているらしい。私もクエストの続きを頑張ろう、全ては鍛冶のため。でも次の目的地に向かう前に、少しだけ休憩を取ることにした。






 カンカンカン…カンカンカン。鍛冶ギルドの工房では金属音が日夜途切れることなく響いている。

 クエストを終えた私は、クエスト報酬と素材の売却から得たゴールド使って新しい武器を作るためにここに来ていた。相も変わらず工房の中は熱気に包まれ、炉の炎が赤々と燃えている。そんな中私に近づく影が一つ。


 「今日もいたのか精がでるな」

 「ベルグさんこそ。入り浸ってるの?」 

 「まぁな。実は中々良い素材が手に入ったんだ」


 白髪渋顔プレイヤーのベルグさんは唇の端を上げて得意げな顔をする―――――にしてもタイミングが良いね。


 「ねぇベルグさんて今どんな武器を使っているの?」

 「なんだ突然?俺のはこれだが」

 「へぇ両手剣なんだ。良い武器だね」

 「どうした急に」

 「んや、ちょっと気になっただけ。武器マニアなもので」

 「おぉ……そうか」


 そう曖昧に頷いてベルグさんは両手剣をしまった。可能ならピッケルの借りを武器で返したかったけど、今の私が作る武器より性能がよかった。悔しい……。

 借りは放っておいたらどんどん大きくなっちゃうから、早めに返しておくのが基本だ。でも半端なものは渡せないよね。はぁヒスイさんにもあげたかったけど………この分なら私の腕を上げるのが先だね。

 それから軽く会話をしたら私達はそれぞれの作業に戻っていった。

 さっそく鍛冶の続きを再開しよう。槌を装備して鍛冶メニューを出現させる。使う素材は売店に売っている玉鋼もどきとウルフの素材である爪や牙である。そして素材を選び、作成を決定する前に新しいスキルを使う。


 「<剛力>、<集中>」


 <剛力>は筋力を<集中>は器用を、それぞれ一定時間10%上昇させるアクティブスキルだ。戦闘は勿論、鍛冶にも利用できるのだ。

 そして準備を整えた私は鍛造を始めた。

 素材を溶かして槌で打つ。何度も何度も、テンポ良く力強く。いくら繰り返してもこの工程はやっぱり楽しい。私の一挙一動に甲高い音を響かせ金属が形を変えるのは、まるで対話しているようでもある。そして一通りの工程を終えると一振りの太刀が完成した。やっぱり刀は刀で、優雅さと力強さがあって非常に美麗である。


アイテム名: 鋭利な太刀

銘:No.12

レアリティ: ★

装備Lv:10

武器種:刀

攻撃力:22

属性: 物理

耐久度: 100/100

特殊効果:斬撃ダメージが5%上昇する

 

 慣れてきたと思っても、ステータス最高値の30と比べたら完成度はぼちぼち。単純にステータス不足もあるだろうけど、はっぱり鍛冶は奥が深いね。まだまだへっぽこ鍛冶師だ。ま、へこたれるような事ではないけどさ。

 はい、どんどん作っていきますか。なんせゴールドと素材はまだ少し残っている。そしてそれが無くなったらまた金策に出ればいい。自転車操業みたいで大変だ……でも、地道な努力は成功への近道。だもんね!



******



【質問】Fantasy Tale Online総合スレ 3【歓迎】

1.通りすがりの冒険者

ここは初心者や熟練者、誰でも質問できるスレです!

どんな質問でもOK!育成、攻略、素材等

マナーと公序良俗を守り、楽しく利用しましょう。

前スレ:http://**********

次スレは>>950が立ててください。無理な場合は報告をお願いします。



53.通りすがりの冒険者

ゲーム内とリアルとの時間関係を教えてくれ


54.通りすがりの冒険者

ゲーム内の1日はリアルの6時間に相当するよ。つまり、リアル1日でゲーム内は4日進むってことだな!


55.通りすがりの冒険者

具体的にしたらこうだな

0~5時 朝~昼

5~6時 夕~夜


6~11時 朝~昼

11~12時 夕~夜


12~17時 朝~昼

17~18時 夕~夜


18~23時 朝~昼

23~24時 夕~夜


56.通りすがりの冒険者

そうそう、運営がプレイヤーの生活スタイルに合わせてくれてるんだよね。夜しかプレイできない社会人にも優しい設計!


57.通りすがりの冒険者

それにしても、突然の雷雨とかリアルすぎてビビるわwww


58.通りすがりの冒険者

あるあるwwwでもそのおかげで、天候によって敵の出現パターンが変わるのが面白いんだよな。


59.通りすがりの冒険者

ちなみにダメージ計算式はどうなってるん?


60.通りすがりの冒険者

それ気になる!誰か詳しい人教えて!


61.通りすがりの冒険者

俺も知りたい!特に属性補正とかどうなってるんだろう?


62.通りすがりの冒険者

>>59 (スキル倍率or通常攻撃倍率*筋力ー耐久)*属性補正(0.5倍~1.2倍)*武器補正(0.5倍~1.2倍)*部位補正(0.5倍~1.2倍)*重さ(0.5倍~1.2倍) 基本的な計算式はこう推測されているな。ちなみに武器補正は斬撃や打撃等、部位補正は弱点部位等、重さは武器重量に武器を振る力等を加えた総量、といった内容で二者間の耐性等の相互関係によって倍率が導かれているとされている。


63.通りすがりの冒険者

おお、詳しい説明ありがとう!これでダメージ計算が少し理解できた気がする。


64.通りすがりの冒険者

俺、バカだからよくわかんねぇけどよ…………バカだからわかんねぇや………


65.通りすがりの冒険者

>>64 安心しろ俺もわからんがフィーリングでなんとかなっているわww


66.通りすがりの冒険者

実際に戦ってみると、計算通りにいかないことも多いしなwww


67.通りすがりの冒険者

それなwww特にボス戦とか、予想外の展開が多すぎる!


68.通りすがりの冒険者

まぁ、それがゲームの醍醐味ってやつよな



105.通りすがりの冒険者

変異種について教えてくれや。ボスと何が違うんや?


106.通りすがりの冒険者

>>105 ボスは基本的にユニークで一度キリやが、変異種は珍しいがリポップする


107.通りすがりの冒険者

ほぇでも強いんやろ?


108.通りすがりの冒険者

今んところ逃げが一択やな。もう少しプレイヤー全体のレベルが上がったら取り合いになるかもな


109.通りすがりの冒険者

そういえば一部のパーティが「草原の主」っていうスライムの変異種を倒してたな


110.通りすがりの冒険者

スライムの変異種……ごくり。まさか装備を溶かしたり?


111.通りすがりの冒険者

ガタッ‼ちょっと探してくるわ。普通のスライムには失望させられたからな。あれは俺の望んだスライムちゃうんや………


112.通りすがりの冒険者

残念やけど、そんな特殊効果は持ってないんだなー


113.通りすがりの冒険者

くっそがぁぁぁ!!はい、俺の夢は今潰えました……せっかくテイマーになったのになぁ


114.通りすがりの冒険者

>>113 不純過ぎwww


115.通りすがりの冒険者

>>113 通報した


116.通りすがりの冒険者

>>113 諦めるな兄弟!まだローパーという魔物がいるはずだ!


117.通りすがりの冒険者

ハッ!!ちょっとローパー探してくるわ!ほな!


118.通りすがりの冒険者

俺もローパー探しに行こうかな。なんか楽しそうだしw


119.通りすがりの冒険者

みんなでローパー探しツアーでもするか?www


120.通りすがりの冒険者

行こうぜ!俺達の夢を叶える為に!!

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