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1.プロローグ

 [Fantasy Tale Online] ―――――最新のVR技術を駆使して作り上げられた究極のファンタジーを謳う第二世代VRMMORPG。近年になって更に高度な発展を遂げたVR技術により、視覚、聴覚、触覚を通じて現実さながらのゲーム体験を実現し、プレイヤーは広大なオープンワールドを探索し、魔法と剣が交錯するファンタジー世界を生き抜いていく。

 そして、それに向けられる期待の数は止まることを知らず。私、烏賀陽(うがや)一華(いちか)もまたその一人であった。


 「すご……」


 私の目に映るのは、まるで現実のように鮮明なVRMMORPGのプロモーションビデオだ。画面の中で繰り広げられる壮大な冒険、剣と魔法が飛び交う大迫力の戦闘シーン。

 中でも私の意識は、様々な武器に釘付けになっていた。

 光を反射して輝く美しい刀剣、巨大な斧、鋭い槍、そして重厚な槌があった。各武器はそれぞれ異なる魅力を持ち、私の心を強く引きつけた。刀剣の鋭さ、斧の力強さ、槍の精密さ、槌の圧倒的な威力――――。

 作りたい、と私は思った。武器が振るわれるたびに放たれる光の軌跡、敵を一瞬で倒すその威力に、私の心は完全に奪われていた。画面の中のプレイヤーがそれらの武器を手に取り、敵に立ち向かう姿を見て、自分もそんな武器を作り出したいという強い衝動に駆られた。


 「決めた」


 友達に勧められて初めて知ったゲーム。

 始めはファンタジ―世界の冒険というフレーズに心惹かれたけど、今になってはもう私の興味を占めるのはあの美しい武器たちになっていた。

 


******


 「ようこそFantasy Tale Onlineへ」


 私は、真っ白な空間に立っていた。周囲には何もなく、ただ無限に広がる白い世界が広がっている。

 そして突然、目の前に小さな丸いロボット?が現れて機械的で無機質な声を発した。

 ここはFantasy Tale Onlineのキャラクタークリエイト場面。ゲームのサービスが開始してから数日後、訳あって遅ばせながら私は初めてのログインを果たしていた。


 「…………どうもこんにちは」


 人間そっくりのNPCを再現できるのに、わざわざ一昔前のロボットのような口調や声である必要はあるのかな?なんて思いながらも、私は挨拶を忘れなかった。挨拶は人としての基本だからね。


 「私はサポートAIのアシストエースです。希望を頂ければ貴方のキャラクタークリエイトを手助け出来ます」


 ロボットもとい、アシストエースはそんなことを言う。

 彼は光沢のある銀色のボディを持ち、大きな青い目の輝と、丸い形状が非常に愛らしい……けど要らないや。


 「自分でやるから大丈夫だよ」


 対話式ではなくて、手動のマニュアルで。

 VRMMOゲームの開始は、大部分が一定のパターンを共有している。新規プレイヤーがゲーム内で混乱することを防ぐため、特別な空間でキャラクターの作成とチュートリアルを行うというのが、暗黙の規格として認知されている。

 だから、私は慣れた手つきでキャラクタークリエイトを進める。

 ホログラムのように浮かび上がるメニューには、無数の選択肢が並んでいる。


 名前はイチカ。そして外見の髪の色、目の色、肌の色、そして体型は現実のものを反映させる。

 肩にかかる程度の黒髪に黒目、160cmの身長に我ながら程よく引き締まった体。胸は小さいけど、動きやすいので寧ろ楽でいい。

 次は職業と武器。ええっと……、


 「戦士、重戦士、魔法剣士、拳闘士、槍使い、侍、―――――射手、魔法使い、召喚士、妖術師、獣使い、精霊使い、―――――巫女、陰陽師、修道士、神官、―――――盗賊、暗殺者、――――」


 多い!で武器は……、


 「両手剣、片手剣、短剣、刀、長槍、両手斧、片手斧、鎌、戦鎚、メイス、――――長弓、弩、両手杖、片手杖、護符、―――――鎖鎌、鉄球、小盾、大盾、――――」


 Fantasy Tale Onlineはレベルアップ時にステータスポイントが貰えず、最初に選んだ職業とそれまでの行動を参考に自動で割り振られる。そのため、この選択が後々のプレイスタイルに大きく影響していく。というような注意喚起が画面下に表示されている。

 知っている内容だったのでもーまんたい。

 私が選んだのは侍で武器は刀。鍛冶師に必要なステータスは<筋力>と<器用>の二つで、前者は前衛職、後者は盗賊系統の職業で優先的に上昇する。そして友達が神官になるらしいので、必然的に私は前衛職を選ぶことになって、せっかくだから侍にして武器も刀を選んだ。

 正直職業にも武器にもそこまで拘りはないし、ゲーム的に必ずしも侍=刀である必要はないけど、侍+刀=カッコイイは不変の等式だもんね。


 そして最後がスキル選択。最初に選べるスキルは合計三つで、種類は多いがどれも効果としては単純なものが殆ど。ダメージディーラーなら攻撃系スキル、タンクなら耐久系スキル、魔法職なら魔法系スキルと、ここで自分のプレイスタイルの下地を作ることになるらしい。

 私の場合は鍛冶メインなので当然それに沿った内容になる。

 

 <筋力強化Lv1> ---筋力が基礎値の10%上昇する

 <器用強化Lv1> ---器用が基礎値の10%上昇する

 <鍛冶の心得Lv1> ---鍛冶成功率が1%上昇する


 そしてこの三つに決める。どれもパッシブスキルで恒常的に効果が発動するスキルだ。

 基礎値は装備やステータスの向上分を除いた純粋なステータス値のことで、序盤の上昇値は低いけど後々本人のレベルが上がってくるほどその上昇値はどんどん大きくなっていく。だから定番の人気のスキルで早めにとっておいて、スキルのレベルを上げておくのが良いんだよね。


 「よし……これで終わりかな?」

 「はい、キャラクタークリエイトお疲れ様でした。これより基本操作のチュートリアルを開始しますか?スキップも可能です」

 「スキップで」


 これ以上は待ちきれないからね。


 「承知いたしました。では開始ボタンをお押しください」

 「おっけーじゃあねアシストエースくん。ありがとね」

 「はい。どうぞ新たな人生をお楽しみください」


 そして開始ボタンを押した。

 その瞬間、光に包まれ、ゲームの舞台への転送が始まる。

 こうして私はワクワクと興奮、期待感を胸いっぱい感じながら新しい世界へと足を踏み入れた。

 


******

ステータス

名前:イチカ

性別:女

メイン職業:侍Lv1

サブ職業:


HP:155 

MP:45


筋力:5(+9)

魔力:5(+0)

物理耐久:5(+6)

魔法耐久:5(+2)

敏捷:5(+2)

器用:5(+2)


パッシブスキル:

<筋力強化Lv1> <器用強化Lv1> <鍛冶の心得Lv1>

アクティブスキル:


魔法:


称号:


装備 

武器:初心者の刀

武器:

上:初心者の上服

下:初心者の下服

腕:初心者の手袋

脚:初心者の長靴

装飾:

装飾:

ステータス欄の()の数値は装備値です

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