覚醒コンテンツと麻酔コンテンツ
最近僕がおもしろいなぁと思っている漫画家さんがいるのですが、その方が数年前にこんな事を言っている事を思い出しました。
世の中には二種類の作品がある。それは覚醒コンテンツと麻酔コンテンツである。
これだけだといったいどういう事?となると思います。
かなり大雑把に説明するなら、覚醒コンテンツというのは今の社会や人間関係のありかたなど作品にテーマやメッセージ性などを込めてユーザーに様々な事を考えさせたり感じさせたりといった作品らしいです。
一方、麻酔コンテンツというのは小難しい話や設定を抜きにして、可愛いヒロインやイケメンに色んなことをやってもらって只々癒される、といった感じでしょうか。
どちらがどうという事ではありません。どちらの作品も世に必要とされているものでありそれぞれにちゃんとした良さがあります。
かくゆう僕も絶対覚醒コンテンツのが好きなんだろと決めつけられる事もありますが、割と麻酔コンテンツをたくさん見ていた時期もありました。
代表的なものでいうと「けいおん」とでしょうか。不思議と当時は可愛い女の子がたくさん出てくる作品に目がないんだという自分にどこかアイデンティティのようなものがあったのかもしれません。
いわゆるヲタクである自分は特別なんだ!というちょっとアレな感じの思想ですよね。
今ではもう特別感なんて出るような時代でもありませんが。
特別感が出なくなったのは、以前にも話した「今はキャラ先行でコンテンツが作られている」という話と繋がっています。
特に可愛い女の子を全面的に押し出しての商品やサービス展開は年々加速度的に増しています。Vチューバーがまさにそうですね。ついこの前に都内のカラオケ店に行った際にもコラボ商品であるドリンクを全面的に押し出していました。
僕はアニメや漫画、ゲーム、そしてそれに準ずるキャラクター達が大好きです。
もちろんこういった商品展開はどんどんやって頂きたい。世の中に沢山広まってくれるのは有り難いと思います。
しかしです、それは麻酔コンテンツだけではダメなのです。可愛い女の子やイケメンの癒しという麻酔ばかり打ち続けてしまえばリアル世界で得るはずの大事な「感覚」がどんどん鈍くなってしまいます。
そしてその鈍った感覚のまま社会に出る事になれば、凄まじい地獄を体感するという事になるのだと思います。
恋愛離れや、政治への無関心、所得の上がらない若者など様々な問題がこれとリンクしているように僕は思います。
どこかで必ず、麻痺した感覚を「覚醒」させなければならない時は来ます。
それまでに麻酔に慣れきった人達がうまくバランスをとって生きられる様になってくれれば良いなとは思いますが……