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エンタメと生きる現代社会  作者: いのじ
4/9

クオリティを下げているのは誰か

僕は普段物書きの練習もかねて、シチュエーションボイスの台本というものを書いていたりもします。

近年ではYouTubeでもかなりの人がこのシチュエーションボイスというものを投稿していたりもします。

実は僕もその一人でもありますが…


以前はシチュエーションボイス、ボイスドラマというものはCD媒体で店頭など買って聴くというのが主流でしたがネットや機材が普及した今、やり方さえわかればほぼ誰でもこのシチュエーションボイス、ボイスドラマなどを作れるようになりました。

それに関して僕はとてもいいことだと思うし、沢山の人が自由に表現が出来る場が増えていい事ではあると思っています。


ただ僕は表現することは自由に行われるべきだが、その質というかクオリティは正しい評価を受けてほしいと常々思っています。


少し前にこのシチュエーションボイス界隈でこんな事がありました。

とある女性のシチュエーションボイス投稿者がおりまして、その方はその界隈でもかなり名の知れた方らしく多くのファンを抱えた大手と呼ばれる人でした。

なんでも元声優事務所に所属経験があり、自分でも抜群の演技力が売りであると自負しているほど。

たしかに幅広く声音を使い分け、巧みにキャラクターを演じられる技術はある感じでした。


しかし彼女はある作品を投稿した際、その脚本を書いた方から読み間違いを指摘されたのです。

事務所所属経験のある僕の身からもすれば、意味の変わってしまう読み間違いは致命的。

完全なるリテイク案件です。

しかしそこは自由な表現が尊重される界隈。ましてやすでに投稿してしまっている動画を今更どうにか出来るわけもなく、その動画はそのまま流れてしまいます。

僕からすれば、その読み間違いのレベルも中学生でも間違えないようなレベルのものだと思い、これは言い逃れなどできないものではあるなと思っていました。


しかし彼女はこう言います。

私は普段、別件で有償案件の仕事で忙しいためそんな事にいちいち関与できない。

別に無償だからといって適当にやっているわけではないが、嫌なら聴かなければいい…。

まぁ、確かに正論ではあると思います。

しかし仮にも一度はプロの世界で活動をしていた人が、誰かの脚本を使い間違ったまま作品を投稿し、あまつさえそれを悪びれもしないというのは本当にやるせない感じでした。

しかも更に質の悪い事に、この指摘をした脚本家の方の方が彼女のファン達から糾弾を受けている感じになっていたのです。


間違いは誰にでもあります、誰だってミスをします。

本当に適当にやっていないというのであれば、いち演者として指摘は素直に受け入れ次からは気を付けるという精神を伝えれば良いだけなのに…


そして一番僕が落胆しているのは、ファン自体がそれを助長しているという事。

それはつまり、この界隈のクオリティの低減を促しているのだと思うのです。

確かに表現というものは自由。

故に何が上手い演技で何が下手な演技だという論争にあまり意味はないのかもしれません。


しかしです、このような事がこのまま続けばこの界隈で「よい演技」というのは異性の性的感覚を刺激する事。

もっと乱暴に言ってしまえば、耳元でエロい事をするという事になっていってしまいます。

もちろんそれはそれで、演技の一つではありますが果たしてそれはシチュエーションボイスと呼べるものなのでしょうか。


そしてこの問題は恐らく、この界隈だけでとどまることはなさそうに思えます。

昨今、ネットやSNSは爆発的に成長し、個人が自らファンを作り自分を売り込みやすい時代になりました。

そして企業もその人の持っているスキルや実績よりも知名度やフォロワー数という広告や宣伝力に繋がるかどうかを判断しています。

既にそんな事はご存じかもしれませんが、本当にいずれ技術や腕前といったものは評価を受けない時代になってしまいます。


今回はこのシチュエーションボイス界隈に焦点を当てて話しましたが、これはすべてのエンタメ界隈に言えることであると思います。

この先どういう未来が待っているかはわかりませんが、少なくとも僕は自分の信じた「ホンモノ」を生み出していく活動をしていきたいとは思います。

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