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夏休み プール 1

僕が事件に遭ってから四ヶ月が経って、今は八月。夏休みに入った。

今、僕たちはプールに来ていた。どうしてこうなったかと説明すると長くなる・・・。


       * * * * * * * * * * * *


「もうすぐ夏休みだね~」


僕は花蓮の机の前に立っていた。花蓮が見上げてくる形に少しドキッとしたのは僕だけの秘密だ。

どこか行く?なんて話していると横に影が見えた。


「お~、拓也何処かに行くのか?」

「今どうしようか考えているんだ」

「なら一緒にプールにいかね?」


プール・・プールか。啓二がニコッと笑って僕の肩に乗ってくる。横には浩太がいた。暑いのか長い髪の毛は一纏まりにしていた。どうする?と花蓮に聞こうとすると花蓮の瞳が輝いていた。


「本当に!!行く行く~~~!!!」


花蓮は立ち上がって啓二の手を握った。


もや


あれ?どうしてもやっとしたんだ?僕が知らない感情に首を傾げていると啓二がニヤニヤしてこちらを見てくる。むう~~、僕がほっぺを膨らまそうとすると花蓮があ!!と言って走っていった。

少し経って、花蓮が一人の女の子を連れてきた。


「この子も連れて行っていい?」


ショートカットの元気そうな女の子が挨拶をしてきた・・うん。本当に元気な子・・・。はあ~


「わ、わわ、私の名前は佐々木・・・あ!!」


う~ん。ばれた・・かな?そろ~とその子の方を向く。向こうとすると・・ドスッ


「お兄ぃ~~~~~」


僕のお腹にいとこの美優の頭がぶつかってきた。うっ。僕はよろける。


「あ!!ごごごごめん~~」


美優が心配する中、皆はポカンとしていた。当たり前か・・突然こんな状況になったら僕でもこうなる。

僕はゆっくり立ち、美優に自己紹介するように促す。


「え~と、こんにちは!佐々木拓也のいとこの、佐々木美優と申します!よろしくお願いします!!」

「え~、いとこです」


皆が納得したのか動き出す。啓二は”え?拓也いとこ居たの?”とか、花蓮は美優に”おおお、お兄ちゃんなの!?”なんて動揺していた。でも、唯一浩太は驚かなかった。


「浩太は驚かないんだね」

「え?だって皆知ってるよ?」

「「え?」」


花蓮と啓二の声が重なった。二人は浩太の方を振り向く。浩太はため息をつき、


「有名って程じゃないけど、隣のクラスだし、名字も一緒だし、何なら顔だってそっくりだしね」


僕がなるほど~と関心していると、二人が膝をついて


「「そっか!!!」」


と落ち込んでいた。そんなに落ち込む程じゃ無いと思うけど・・。


「ねえねえ!プールに行くんだよね?!私も行く~!!」


そんな事をよそに美優は手を上げて飛んだ。僕は落ち着いて!と美優をなだめる。


「そうだ!!俺達はプールに行く!こんな事で落ち込んでいるべきでは無い!!」


啓二は勢いよく立ち上がり大声で叫んだ。皆がこちらを向くからやめて欲しい・・。


       * * * * * * * * * * * * *


そんな事もあったな~と思い出す。すると急に手を引かれた。うわっ


「早く行くよ!お兄!!」

「そうだよ!!早く行かないと!!」


僕は花蓮と美優に手を引かれながら受付に向かった。


「じゃあ俺らはこっちだから」

「うん。また後で!!」


それぞれの更衣室に向かった。


「拓也のいとこの美優ちゃん!めちゃくちゃ可愛かったな~!瞳翡翠色でさ~」

「まあ、美優はハーフだし・・」

「何処と何処の?」

「え~と、日本と・・・分からないや」


う~ん何処だったっけ?と悩んでいると二人は先に着替え終わっててまってくれていた。

僕は急いで着替えた。


「お~、人多いな~。これじゃ探すのに一苦労だな」

「ん?あそこ人多くない?」


僕は浩太の指の方を見る。そこには沢山の人だかりが出来ていた。なんだろ?

芸人さんかな?


「行ってみようぜ!!」

「そうだね」

「あ!まってよ~」


二人が走り出すので僕も慌てて走り出した。二人とも足が速い!!

僕が遅れて行くと、二人が消えていた。何処に行ったんだろう?


「こいつらは俺らの連れだ!!」

「何だよ!!途中から出てきて!!ヒーロ気分かぁ?」

「わ、私はこの二人と来ました!!どいて下さい!!」


啓二が如何にもガラが悪そうな人に絡まれていた。いや、正確には花蓮と美優が絡まれていたのだろう。まずい!!

僕は急いでその中に入り、花蓮と美優を連れ出した。後ろから怒鳴り声が聞こえるが、そんなの気にしている場合じゃなかった。


人が少ない所に着くと僕は二人を見た。花蓮はさっきの人に切れてるのか、さっきの方向を見ている。怖い顔で・・。


「美優!大丈夫か!!」


僕は美優の顔を見ようとしたが、見れなかった。そうだ。美優はトラウマになっているんだった。

昔にプールに来たときに美優がさらわれた事がある。その時はすぐに見つかったが、美優はそれから人見知りが激しくなった。それ以来僕以外の男に近づく事すらできなくなった。

はあ~、もっと気をつけるべきだった。僕は顔をしかめた。


「大丈夫か!!」


すると奥から啓二と浩太が走ってきた。美優が僕にしがみ付く。さっきのでまたトラウマが酷くなったのかな・・?


「僕らは近づかない方が良い」

「それもそうだな・・」


二人は気を使ってくれたのか、それ以上近づいてこなかった。ありがとうとぼくが伝えると二人は”どうってことねえよ!”と笑ってくれていた。


「ねえ、拓也。私が見てるから遊んで来ていいよ」

「え・・でも」

「大丈夫!!任せて!何かあったら私がぶっ飛ばすから!」


そう言って花蓮は拳を作っていた。


「じゃあお願い。美優、大丈夫だからな」


僕は美優の頭を撫でた。すると少し安心したのか震えが小さくなった。

僕は啓二と浩太の所に行った。美優の事を心配しながら・・。


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