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寒気の原因 3

僕は今、病室のテレビを見ている。ニュースでは、田中千裕のことが取り上げられていた。

元々誘拐するつもりなんだったらどこにする?皆に見つかりにくく、僕が行く事が難しい場所。

僕は机にここら辺一帯の地図を広げていた。ここが僕の家。ここが病院。・・・まてよ?どうして今日までこんな大事にならなかったんだ?普通なら自分の娘が一日でも帰ってこなかったら不思議に思うはず・・。まさか!僕は急いで病院から出た。


「まさかっ!まさかっ!」


僕は花蓮の家に向かった。そこには沢山の野次馬がいたが、僕はそれをかき分けながら前に出た。

すると、花蓮のお母さんが叫びながら僕に抱きついた。


「良かった!」


皆がこちらを向く。そう、それが奴の狙いだった。僕は花蓮のお母さんに小さい声で言った。”僕と交換で花蓮を返すと連絡が来たのですか?”!!花蓮のお母さんの反応はわかりやすかった。きっとそれは罠だ。あいつがそんな簡単に花蓮を手放すとは思えない。それに、今日まで大事にならなかったのはあいつが花蓮の関係者、全てを睡眠薬で眠らせたからだ。もちろん花蓮のお母さんお父さん、そして僕のお母さんもだ。念のため花蓮のお母さんの血を少し採らせてもらった。その事に気づいている様子はなかった。

そして僕はまた花蓮のお母さんの耳元で呟いた。そのメールを後で僕に送ってください。それと、これからは決して外に出ないでください。”と。

それを言うと僕はその場を走って行った。


僕が病院に戻ると看護師さんに怒られた。それでも僕はそんなことにかまっている暇はなかった。


「歩けるようになったからと・・・」

「ごめんなさい。でも今はそれどころじゃないんだ!」

「え・・ちょ・・」


僕は看護師さんの言葉を遮り自分の病室に入った。そして、花蓮のお母さんから送られてきたメールを見る。”花蓮様を返してほしければ、拓也と交換だ。学校まで来い。期限は今日の十七時までだ。”学校?何処のだ?普通に考えると僕らが通っている高校だが・・わざわざ名前を書いていない、となると・・・。!!!

僕らの昔通っていた”旧桜木高等学校”は今日の十七時で学校の解体が終わる予定のはずだ。まさかその高校の地下にいる?!あそこは旧桜木高等学校の階段でしか降りる事も、上ること出来ない不思議な場所。でも何故転校してきた奴がその事を知っていたんだ?その時


ガラッ


病室の扉が勢いよく開いた。そこには啓二が息を切らして立っていた。


「あんたのことだ。はぁ。もう場所に目星はついてるんだろ!」

「ああ。ナイスタイミングだ」



僕は啓二の自転車に二人乗りしていた。啓二がこいでくれていた。最初に僕が漕ぐと言うと


「俺は体力面でしか活躍出来ないんだ!ここは俺が漕ぐ!」


と言われたので任せることにした。実際にスピードは車にも負けを取らなかった。僕は時計を見る。今は十六時。後一時間。旧桜木高等学校までは遅くて三十分。時間的には余裕だが地下に続く階段を壊されるとどうしようもなくなる。頼む!間に合ってくれ!!僕は歩道車を車より少し遅いスピードで、駆け抜けていった。自転車に乗りながら僕は花蓮のお母さんから採った血を検査にかけていた。すると当たりだった。花蓮のお母さんの血液には催眠薬が検出された。その結果を握り締め僕は前を見た。そこには旧桜木高等学校が見えた。


「やばいな!ほぼ壊されてるじゃねえか!!」


そう、旧桜木高等学校の3分の2は既に壊されていた。だが、幸いなことに地下に続く階段の方ではなかった。


学校のグラウンドにつくと、僕と啓二は大声で叫んだ。


「「まだ壊すな~~~~~~!!!!」」


するとそれに驚いた従業員が作業を止めた。僕は自転車から飛び降り走りながら啓二に大きな声で”ありがとう~!!!”と叫んだ。僕は階段に向かった。


「ちょっと僕!危ないよ!!」

「待って下さい。あいつはやるときはやる男なんで」

「??」


後ろで従業員の作業を止めてくれている声が聞こえた。ありがとう。

階段はもともと立て付けが悪いのに加え、半壊している建物では崩れるのもそう時間がかからないだろう。僕は急いで地下に向かった。扉を開けるとそこには花蓮が眠りながら縛られていた。その後ろには田中千裕がいた。


「あ~あ。どうして君にばれたのかな?君にはメールは送っていないのに」

「そんなことはどうでもいい。花蓮を返せ!!」

「うーん。そんなに急がなくても直ぐには壊れないよ」


僕は歯を食いしばり花蓮に近づいた。すると次の瞬間どこからか白い煙が出てきた。これは、催眠薬と同じ性質の・・


「眠ってしまえば痛みなんてわからないだろう?僕は花蓮様と愛の心中しようとしたのにさ~君が邪魔をしたから台無しじゃないか~。もう聞こえないか。お休み」


そんなわけないだろ!!僕は最後の力を振り絞って花蓮と田中千裕を外に投げ出した。外には啓二がいるから、安心・し・て・・任・・・。

またしても僕の意識は途切れた。


        * * * * * * * * * * * * *


俺は長谷川啓二。今地下から二人が投げ飛ばされてきた。一人はこの事件の被害者の秋山花蓮、もう一人はこの事件の犯人の田中千裕。そして花蓮を助けに行った拓也の姿が見当たらない。俺は嫌な思考が頭をよぎった。二人が眠っているということは地下には催眠ガスが蒔かれていたということになる。そして今、二人が眠っているということは拓也がこの二人を投げ飛ばしたということになる。そしてその拓也が見当たらない・・・


「うわあああああああ」


俺は急いで地下に入った。扉を開けると白い煙が出てきた。これか!!俺は急いで拓也を探した。すると拓也は案外入り口に眠っていたのですぐに運び出すことができた。俺が運んでいると、従業員が


「中に人がいたのか!!すまなかった!!」

「いえ、貴方の責任じゃないので・・。あ、救急車呼んどいてもらっても・・」


あ~俺も限界!!俺はグラウンドに倒れてしまった。従業員の大丈夫か!!という声が聞こえる。大丈夫だよ。俺はただの疲労だから。それより彼奴らを・・。



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