花蓮視点
私は秋山花蓮。今、幼馴染みの拓也にこの胸の気持ちを伝えている。拓也を好きになったのは幼稚園の年長だった。
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「こんにちは~」
「あら!こんにちは~」
最初は家が隣だったので、よく遊びに行っていた。母親同士も仲がよかったし・・
母親同士が話している間は、私は拓也の部屋で遊んでいた。
「花蓮ちゃん!僕のお部屋にようこそ!!」
「お邪魔します!」
階段を上って突き当たりが、拓也の部屋だった。その部屋は男の子らしさが出ている部屋だった。
ベッドは青いシーツが掛けており、隣にはその時代にはやっていたゲームのぬいぐるみが置いてあった。
「自分の部屋なんていいな~」
「そんなことないよ。家族の音が聞こえないからさ、怖いんだよ」
音?そんなものなの?などと話している内に時間が過ぎて帰るのか、下から帰るわよ~とお母さんの声が聞こえた。
「あ、帰らないと。じゃあまたね!」
「見送るよ」
拓也は一緒に玄関まできてくれた。お邪魔しました~と、お母さんが言う隣で私は大きく手を振る。帰り道にお母さんに、今日は何話したの?と聞かれるが毎回秘密~~と笑っていた。でも、その日は違った。
「お母さん。私自分のお部屋が欲しい・・」
そんなことを言うとお母さんはその場にとまり、
「そう、でも自分で出来る?虫が出ても自分で対処しないといけないのよ?
花蓮、虫が嫌いでしょ?」
最初はう・・と詰まってしまったが、大丈夫!と元気良く言うとお母さんは、わかった!準備はもうしてあったのよ。と手でOKサインを出していた。
その夜、私には自分のお部屋が出来た。隣は拓也の部屋。手を伸ばせば届く距離だった。
私は無性にさみしくなり、ベランダに出た。!!出たら、そこには拓也がいた。
「どうしたの?」
「音が聞こえなくなるといつもここに出るの」
「そっか・・」
「そのお部屋、花蓮ちゃんのお部屋だったの?」
「今日からね・・」
何故か話が続かなかった。それでも、自然と心が休まった。
「さみしいなら、おまじないかけてあげる!」
そんなことを言うと、手出して!と言われたので言われるがままに手を出す。
「何が起こっても、この時間は消えないし、ずっとずっと僕たちの心に残るの。
これからは、ここでも思い出を作っていこう」
まるで魔法だった。キラキラと拓也は光っていた。その時に胸の奥から熱い何かを感じた。
その日から毎日ベランダでの思い出も増えていった。
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きっとその熱い何かが恋なのだと今では思う。
だって、今私はあの拓也に告白をした瞬間に体が熱くなったから。きっと今私の顔は、誰が見ても真っ赤だと思う。私はその空気に耐えられず、一週間後に答えを聞くなんて言ってしまった。
そして、持ってもらっている荷物を受け取り走って家まで帰った。
あ~~どうしてあそこで一週間後なんて言ってしまったのだろう。一週間も待てないよ~~
家に帰るとお母さんが、何かを悟ったように
「どうだった?」
なんて聞いて来るからまだ分からないと顔を赤くしてこたえた。せっかく顔の熱が冷めたのに・・またあの時の事を思い出し、赤くなってしまった。
大丈夫よ花蓮!頑張って努力して綺麗になったじゃない!きっと今の私なら彼と釣り合うはず!
一週間後・・まで待てるかな~~~~




