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最終話

ああ、ここは何処?暗いくらい水の中?息がし辛い。


「さあ、始めようか。拓也」


誰?聞きなじみのある声。でも分からない・・・。


「拓也!花蓮、私は秋山花蓮!!」


カレン?・・花蓮?花蓮はあの時・・・。

ああ、分からない分からない。ならもういっそ、流れのままに・・。


      * * * * * * * * * * * * *

はぁはぁ、拓也、拓也!!駄目!!駄目だよ!!

私は必死に走る。千裕は案外足が速く、私の前を走っている。何でそんなに速いの!!

私たちは最初の部屋から全部の部屋を探しているが、なかなか見つからない。


「「あ!!」」


私たちはうなずき、小さい部屋に入る。


「拓也!!」

「早いな・・。見事」


拓也のお父さんが拓也を抱きしめている。頭を何かに付けて。なに、あれ。

私は拓也を拓也のお父さんから引き離す。頭のものも取って。

拓也は壊れた人形のような、自分で立てないくらい力がなかった。大丈夫かな・・。


「千裕!!あとよろしくね!!」

「仕方ねえな、やってやるよ!!」


私は拓也を連れ出す。勿論後ろから拓也のお父さんは追いかけてくるが、千裕がよくわからない技で戦っている。なんだ、やるじゃん!

外に出ると私は拓也を見つめる。どうしたら元に戻るのかな・・?

う~ん・・。私の頭の中に一つの考えが浮かぶ。・・いやいや駄目駄目。

だってあれは・・。顔が熱くなる。キスをすれば目覚めるなんてそんな話の良いことは・・・。

もしかしたら、ありえる・・?

ええい!!なるままになれ!!

私は勢いで拓也の唇と自分の唇をくっつける。わああああ。恥ずかしい~~~。


「か・・れん?何して!!」

「拓也・・。拓也ぁぁぁぁぁ」


私は拓也にしがみ付く。元に戻って良かった!!本当に良かった!!拓也は慌てて顔を赤くする。

状況が分からない用なので話す。拓也のお父さんに操られていたこと。その他も・・。


「ん~。分かった。なら僕はまだ操られていることにしよう」

「な、何で?」

「そっちの方が都合が良い」


そう言って拓也は戻ろうとする。だが、もう既に事はおわっていた。私たちのいたビルは炎に包まれていた。パチパチと音をたてて。何で?すると炎の中から二つの人影が見える。

そこには元気そうな千裕とぐったりとした拓也のお父さんがいた。


「何をしたの?」

「なあに、君達もよく知っている物さ!」

「睡眠薬か」

「せいか~い」


いや~大変だったよ~と呑気な声で呟く。なんでも、全ての攻撃は読まれるので睡眠薬にしたらしい。

そしてビルを燃やしたのは証拠隠滅のためだそう。

やっぱり千裕はよく分からない。

それじゃと千裕は何処かに消えた。え・・ちょ。ここからどうやって帰れば良いのよ!!


「帰ろうか」

「どうやって?!」

「大丈夫、僕に任せて」


自信げに言うので任せることにした。まあ、大丈夫でしょ。拓也だし。



うん、あの時は作戦があるとは思っていたけど・・まさかこんな事になるなんて!!

私は今拓也の膝に座っている。

あの後、浩太と啓二が迎えに来てくれた。啓二の車で、啓二のお母さんの運転で。

啓二のお母さんは全て分かっているのか、大丈夫と頭を撫でてくれた。涙が出そうだった。

どうしてここにいるのかと聞くと、勘、だそうだ。勘か・・。いや凄いな!!

拓也はその勘を信じていたのか。友情・・か。

そうして啓二のお母さんの車は軽自動車なので、三人までだ。うん。私は今絶対顔が赤い。

目をぐるぐると回していると拓也に抱きつかれる。うひゃあと変な声を出せば、余計に抱きつかれる。

何々?!


「お熱いな~~~」

「良いわね~私も戻りたいわ~」

「お父さんが悲しむよ」

「お父さんとラブラブしたいのよ!」


もう!!それどころじゃないのに!!約一時間、私はこの状態だった。一時間、それがいつもより長く感じた。



私が自分の家に着いた頃には日が沈んでいた。もうこんな時間か。


「それじゃあまた明日」

「うん!またね!!」


私は自分の家に入った。ご飯の匂い。


「ただいま!!」


私はリビングに向かった。


       * * * * * * * * * * * * *

はあ、今日は僕のせいで花蓮に危険が及ぶところだった。

僕は田中千裕から来たメールを見る。あの後、田中千裕は警察署に行き、お父さんを渡したらしい。

放火も誘拐も、前の薬の事件も、全てをお父さんになすりつけて。偽装した指紋、証拠それらを全てお父さんのものにして。正直僕はどうでも良い。もう終わったこと。割り切りたいのに・・。

はあ、明日から本当に普通の日々に戻る・・かは分からない。

それでも明日はまた新しい出来事に出会う。


「「もっと発展しますように!!」」


二人は夜空を見上げながら、流れ星にそう願ったのだった。

それがかなうのかは明日にならないと分からない。だから毎日が面白いのだ。


そして僕はあの時の河原を、何時も通りに走る。彼氏を続けるために・・!


*************


あの事件から何年かたった平日。食卓に座るのはよく知っている二人と子供が一人。

指輪は飾ってあり、光っている。


「おかーさん、おとうさんとの出会いは?」

「色んな事を乗り越えてきたのよ」

「本当に色んな事だった」


今では笑い話し。それでもたしかにあの事件は二人の絆が深く深くなる理由だったのだ。




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