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静はかえんほうしゃを覚えた。

なんと!

月間2位になっていました!


沢山の応援、本当にありがとうございます!


明日発表があります。嬉しい感じのやつです。

 10分後に何食わぬ顔で蒼馬くん家から出てきた真冬容疑者を、何故か合流したひよりさんと一緒に捕まえた。ひよりさんからは少しお酒の匂いがした。


 特権ですと言わんばかりに蒼馬くん家の鍵を施錠する真冬に何だか見せつけられてる気がして、私は心のなかで「きー!」と叫んだ。


 きー!


 本来なら私の部屋に連れ込んで尋問する所なんだけど…………なにぶん私の部屋は誰かを連れ込める有様じゃなかった。そんな訳で私達は真冬の部屋で話し合いをすることになった。因みにひよりさんの部屋も今ちょっと具合が悪いみたい。仲間かな?


「片付いてるわね…………」

「そう? 普通だと思うけれど」


 真冬の部屋は一言で言えば無駄が一切なかった。


 ソファ、テレビ、ローテーブル。

 物が少ない訳じゃないのに、それらが適切に配置されているから簡素なイメージを受ける。柄物がないのと、敷物がないのも大きいのかも。


 まあ、つまりは私の部屋と真逆だ。片付いている。


「座る場所がないから…………静は床ね。ひよりさんはソファにどうぞ」

「ええ…………いいのかなあ…………?」

「大丈夫です。静は床がお似合いなので…………ふっ」

「きーっ!? 生意気なやつ…………!」


 私が憤っていると、真冬は他の部屋からクッションを取ってきてソファの前に投げた。


「ほら、着床しなさい」

「何かイヤなんだけどその言い方…………まあ、ありがと」


 クッション目掛けてお尻をつける。ふにゃ…………と柔らかい感触が更に柔らかい私のお尻を守ってくれた。真冬もなかなか優しい所があるのかも。


「それで…………何? いきなり出待ちなんかして」


 ひよりさんと並んでソファに座った真冬が、私とひよりさん────主に正面に座っている私だ────をあまりいい感じじゃない目で見てくる。そりゃ向こうの立場からすればそうしたくもなるよね。でも私はそれ以上に真冬を問い詰めたい気持ちで一杯だった。


 ひよりさんは心配そうに私と真冬交互に視線をやっているけど、酔っているのかたまに変な方向を向いていた。


 私は真冬にバレないように小さく深呼吸を済ませた。


 …………絶対に納得のいく説明をして貰うんだから。


「…………真冬、なんであんたが蒼馬くん家の合鍵を持ってるのよ」

「その事だとは思っていたけれど。妹がお兄ちゃん家の合鍵を持っているのがそんなにおかしい?」


 予想していたのか真冬は眉一つ動かさない。


「あんた、妹じゃないでしょーが」


 私は精いっぱい眉に重りを載せて真冬を睨んだ。両頬も膨らませた。多分フグみたいになってると思う。さあ怖がれ。


「変な顔」

「あれ? 怖くない?」

「全く。何がしたいの静」

「真冬を怖がらせて、あわよくば合鍵を奪おうかなと」

「犯罪じゃない。内側に犯罪者がいたんじゃこのマンションのセキュリティも意味をなさないわね」

「なにおう。ピッキング犯に言われたくないやい!」

「正当な方法で入ってるつもりだけど」

「まあまあ、ふたりとも落ち着いて…………ね?」


 煽り合う私たちをひよりさんが慌てて止めに入る。

 私と真冬は口汚く煽り合うのが普通になっているから、実はそんなに険悪な空気は感じてないんだけど、ひよりさんには緊急事態に映ったのかもしれない。


「ふぅ…………で、本当の理由は何なのよ」


 私は一息ついて心を落ち着けた。ここはお姉ちゃんの私が議論をリードすべきだ。


「どうして教えないといけないの? 静、もしかしてお兄ちゃんの事…………好きなの?」

「ぎギギぎくっ!? そっそそそそんなことないケド!?」

「知ってたからいいけれど。それとも隠せてるつもりだった?」

「…………えっ? うん。バリバリ」


 全然、その気持ちを皆の前で出したことはないと思うんだけど。

 その証拠にほら、ひよりさんは「えっ」なんて声を出して驚いてるし。


「滑稽ね。まあ私に大きく水をあけられた静があんまりにも可哀そうだから、本当の事を教えてあげる。引っ越した初日に貰ったの。私の合鍵と交換してね」

「あんたそれ…………無理やりやったんじゃないでしょうね」

「どうだったかしら。覚えてないわ」

「絶対そうだ…………絶対そうだよ…………」


 脅されて、泣きながら震える手で真冬に合鍵を渡す蒼馬くんが鮮明に脳裏に浮かんでくる。

 「この鍵は…………愛しの静に渡すつもりだったのに…………」そんな事も言っていたかもしれない。なんて可哀そうな蒼馬くん。


 今、私が本懐を遂げてあげるからね…………!


 私が真冬から合鍵を奪おうと僅かにお尻を浮かせたその時────まさかの人物が衝撃の言葉を発した。


「えっ…………私も蒼馬くんに合鍵渡したのに、合鍵貰ってない…………」

「…………は?」

「…………え?」


 言葉は違えどハモったのは私と真冬。とんでもない事を言ったのはひよりさん。


 今…………ひよりさんなんて言った…………?


「すいませんひよりさん、今なんて…………?」


 不安そうな目で私を見るひよりさん。いやいや不安なのはこっちじゃい。


「えっとね、実は私も蒼馬くんに合鍵を渡してあるの…………でも、蒼馬くん家の合鍵は貰ってなくて…………これって、どういうことなのかなあ…………?」


 ……………………いや。


「知らんわあぁああああああああ何で皆合鍵渡してるのよぉおおおおおお不潔! 不潔! 大人! 不潔うぅううううううう!!!!!!!!」


 合鍵って…………合鍵って……………………恋人同士で渡すものじゃないの!?


 受け取る蒼馬くんも蒼馬くんだよ!


 私というものがありながら!


 私というものがありながらあああぁあああああああああ!!!!!!!!

沢山の方に見て頂きたいので、ブックマークと評価をして頂けると飛び跳ねるほど嬉しいです!


ランキングアップやPVが増えるとモチベーションがめちゃくちゃあがります!


よろしくお願いします!

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絶滅したはずの希少種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。

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