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第四十八話 2つの凶星

「バッビューン!」

 

 レイザーさん目掛けて飛び込んでくるイッキー。

 反応すらできずに拳を顔面にまともに受けて彼方へと飛んでいく。


「縷月流・満月!」

 

 彩葉さんが自身の周りを切り裂くように抜刀するが――


「ひょひょいのひょい!」


 摘むように刃を止められる。

 そのまま上に持ち上げられ、大地に叩きつけられる。

 人間が地面にぶつかったとは思えない程の轟音。

 

「オレが封印されている間にこんな生物が生まれているとは……。驚きだな」


 カオスが人差し指を突き出す。

 その指は大和さんに向いている。


懸隔(イマジネーション)


 魔力の解放と同時に大和さんの左腕が消し飛ぶ。


「グァッ!」


 大和さんは転げ回る。イッキーがチャンスとばかりにサッカーボールキックの要領で頭部を蹴り飛ばす。


「ほう……? オレの懸隔(イマジネーション)を回避するとは……伊達や酔狂でここまできたわけじゃないようだな」


 左腕を消し飛ばしておいて、回避だと?

 イッキーの速さで我を失っていた。

 仲間が1人ずつやられている――

 これ以上好き勝手にはさせない!


「絶観忘守!」

 

 カオスの周りを空間支配して爆破させる。

 だが、何も起きない。

 空間支配が破られている。


「空間支配……強力なスキルだが、オレのスキルには及ばない。オレの支配は言うなれば世界の全てだからな」


 腕組みをするカオス。

 空間支配を前にして平然と立っている。


「オレにばかり気を取られている場合じゃないぞ」


 カオスからイッキーに視線を向けると、既に踵落としのモーション。

 

「絶観……」

「バッビューン!」


 スキルが間に合わない。

 脳天直撃。

 頭蓋骨が折れたか?

 受け身も取れずに前のめりに崩れ落ちる。

 

「ザ・ロック!」


 リビアの声が聞こえる。封印スキルを使用したのだろうが、イッキーの意気揚々とした声にかき消される。


「ドーン!」

 

 気付けばリビアも地面に倒れていた。


 全滅。

 呆気ないほど一瞬。

 たった2人を前にして、何もできずに伏した。


「ありゃりゃりゃ? よわすぎるなー。つよそうな見た目だったのに」

「後ろを見ろイッキー! 魔神がまだ残っておるぞ!」


 ゴーズ王がイッキーに檄を飛ばす。

 そうか。

 これは前哨戦。

 イッキーとカオスの戦いが本番ってわけか。


「お前には感謝してるが、世界の破壊のため、消えてもらうぞ!」

「ベーッだ! やられないもんねー!」


 激闘の音だけが聞こえる。

 完全に蚊帳の外。

 2代目守護人が倒れるなんて、情けない。

 


 ◇



「128回目」


 翠さんの声。

 死にかけたのか死んだのか。兎にも角にもまた会うことになったみたいだ。


「翠を倒した君が、何やられてんの」

「すみません……翠さんは無事なんですか?」

「人の心配よりまず自分の心配からしてほしいものだね。翠はイッキーとやらに吹っ飛ばされて一応生きているよ。死んでいたらこの精神世界を形成できない」

「ならよかった……」

「よくない」

 

 ゲンコツを頭に喰らう。

 

「また死にかけてるんだよ君は」

「そうか……僕は……。弱いなあ。何にも守れない。何も……ッ!」


 涙が溢れる。

 幾度となく繰り返される守れないという現実。

 僕の理想はあくまで理想。

 現実は――


「はいストップ。つまんないこと考えないの。仮にも翠に勝って、翠からの愛を受け取った者なんだから、シャキッとする!」

「でも……もう手の打ちようがない」

「ロッカ君、翠もね、生きていた頃無理だって思うこと何度もあったよ。それでも足りない脳みそ使って知恵を振り絞って状況を打破した。君にもできるはずだよ」


 そう言って翠さんは僕の腰に手を回す。

 心臓と心臓が重なり合ってお互いの鼓動を感じる。


「君には本当に手を焼かされるな……君の強さは、誰よりも君がよく知っているだろう? 信念を貫き通す強さを」

「翠さん……」


 翠さんの体が薄くなっていく。

 時間が来たみたいだ。


「いってらっしゃい。これが最終決戦だ。世界の命運は君に託したよ」


 煙のように姿を消した翠さん。

 僕の意識も、そこで戻った。

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