第四十一話 魔神城
結界全てを破った僕たちは、ザータンヴァッサー、魔神城の周りを取り囲む川の前までたどり着いた。
「魔神城の近くまで来ているってのに、まるでモヤがかかったかのように見えねぇな」
大和さんはタバコを手で揉み消しながら話す。
「強力な魔力の瘴気だな。とっとと進むぞ」
またしてもリビアが先導する。
川の中に足を踏み入れた瞬間、水が水のまま固まった。
「な……? リビア、これは……?」
「水の動きを止めた」
凍らせるではなく、動きを止める。
――封印スキルか。
動きの止まった水の上を全員で歩いていく。
城のふもとまでついたが、視認できるのは城門のみ。瘴気のせいでまともに見えない。
「どいてろ蔵王」
彩葉さんは前に出て居合斬りで城門を上下に真っ二つに切り裂いた。
ズンッと音を立てて崩れ去る。
目の前には入り口が1つあった。
「結界があるから、城自体は誰でもどーぞってわけか」
納刀して彩葉さんは舌打ちをしながら進んでいく。
大広間には誰もいなかった。
「なんだ? 拍子抜けだな」
レイザーは鼻息が荒い。
「おそらく、シヴァイザがいたであろう広間だろう。ケッ、ブルースリーの死亡遊戯方式ってか」
「だとすると……1階に1人ずつ配置されているということですね」
「そう言うこったな」
大和さんと僕でこの城について推測する。
「たらたら時間かけるわけにもいかねぇし、誰がどいつとやるか決めておこうぜ。私は当然あの黒騎士だな」
彩葉さんはブラゴフと戦う宣言をする。
未だ能力の知れぬ相手だが、一度敗北している手前再戦を申し込みたいのだろう。
「なら、俺もそこに加わるよ」
レイザーさんも手をあげる。
「僕は……翠さん……ヴィーシュと戦います」
「ふん、俺もそこに行ってやるよ」
「大和さん……」
「てめぇ1人じゃ不安だからな」
本当に、優しい人だな、大和さんは。
「私はカオスと対峙してやるとするか」
リビアは首をコキコキ鳴らす。
見えざる神話の大将、カオス。
「カオス……どういう存在なんですか?」
「なんとも形容し難い存在だな。奴は名前のまま、カオスなのだから。そして奴が復活したとき、世界の終焉となる。私から言えることはそんなものだ」
「全然分かんねぇってことじゃねーか」
「うるさいぞ、そこ」
おお、リビアと大和さんがいがみ合ってる。
懐かしい風景だ。
「決まったんならさっさと行こうぜ。私はあいつに負けてむしゃくしゃしてんだからよ」
彩葉さんは我先にと歩き出す。
釣られるようにして、僕たちも歩き出した。




