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第四十話 第4の結界師

「寒すぎる……寒すぎるぞ……」


 歯をガチガチと鳴らしながらレイザーさんは震えていた。


「焦っていたときは感じなかったが……こんなに寒いとはな」


 大和さんもツナギのチャックを上まで閉めていた。


 雪が降り止むことはない地方、ヴィンター。

 一面真っ白で意識していないと自分がどこにいるか分からなくなる。


 ふと、横を見ると彩葉さんは何事もないかのように歩いている。

 色白の彩葉さんと雪の相性はいい。

 数倍綺麗にみえる。


「なーに見てんだよ」

「いや……彩葉さんは寒いところ平気そうだなと思って」

「血筋柄じゃねーの? お前が平気そうにしてるのと、おそらく同じ理由だろ」

「なるほど……」


 彩葉さん、宮城の蔵王のこと知ってるんだな。

 

 雪を踏み鳴らしながら進んでいく。


「リビア、本当にこっちで合ってんのか?」


 大和さんはぶっきらぼうにリビアに聞く。

 大人になったリビアを見ても平然と受け答えができるとは。順応が早い。


「おそらく結界師の場所は当時と変わっていないはずだ。負のエネルギーが濃い場所に建てるからな」


 雪景色の中歩き続けて1週間。 

 地下に続く1人分のサイズの穴を発見する。


「ここだな」

「こんな分かりにくい場所なのかよ……」


 レイザーさんは唖然としていた。


「飛び込むぞ」


 そんなレイザーさんに一瞥もくれずにリビアは突入していく。

 それに続くようにして、僕らも穴に身を投じた。



 ◇



 ドボンと水中に入る。

 10メートル程の深さだったのだろうか。

 飛んでいる時間は短く感じられた。

 まるで湖のようだった。


「地下水……か?」


 僕はみんなの姿を捉えようと泳ぐ。

 すると、水が前方に引いていく。

 体も水流についていくように流される――

 

「な、なにが起きてるんだ!?」


 潮が引くように水が空っぽになる。

 見回すと、大和さん、レイザーさん、彩葉さんが僕の近くにいた。

 全員で顔を見合わせる。

 リビアがいない。


「リビア!」


 前方にリビアを発見する――が。

 リビアの横に結界師と思われる水色のローブに身を包んだ女性が、胸に巨大な鍵を刺されていた。


「大きな声を出すな。もう終わった。ちゃんと殺さず封印しておいた」

「マジかよ……これがあのリビアだってのか」


 大きくなったリビアを見ても平然としていた大和さんが初めて狼狽えた。

 それはそうだ。

 僕らが視界を取り戻した頃には終わっていたのだから。


「さぁ! これで見えざる神話(メソロジーク)の根城の結界は全て破られた。見えざる神話(メソロジーク)の大将、カオスに会いに行くとするか!」


 リビアは意気揚々と地下から抜け出していった。


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