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第三十七話 封印少女

「あれが……《封印の神子》……か」


 翠さんが呟く。

 そうか、翠さんが見るのは初めてか。

 

「まさかまた見えざる神話(メソロジーク)が復活する世界になっていたとは……嘆かわしい。まあ、元凶は分かっているが……」


 そう言ってリビアはゴーズ王を見る。


「なあ、ゴーズ王。お前たちはまだ()()()()()()()()()()()()()()()

「……ッ!?」


 くだらない研究?

 ゴーズ王は明らかに動揺している。

 クラリス姫やフリストさんはなんのことだか分からないといった感じで真顔だ。


「ま、とりあえずは置いといてやるよ。あたしの目的も、そこにある頼りなさそうな勇者と同じでな。皆が共存できる世界を作りたいのだ。見えざる神話(メソロジーク)の言い分も分かるが、一旦退いて頭を冷やして貰えるかな?」


 ……ナチュラルに僕はバカにされた気がするけど、突っ込める雰囲気じゃない。

 リビア1人のオーラに場が圧倒されている。


「……だ、そうだ。どうする? ブラゴフ」

「チッ! ……仕方があるまい。ここは退くしかないだろう」


 ブラゴフと翠さんは謁見の間の壁を破壊して出て行く。

 去り際にブラゴフがリビアに捨て台詞を吐く。


「裏切り者が……貴様も必ず殺してやるからな」

「お前如きであたしを殺せるならな。()()()()()()()()()()()()()()()()()

「貴様ッ!」

「ブラゴフ! 行くよ! ……じゃあねロッカ君。今度は私たちの意思のぶつかり合いができることを楽しみにしてるよ。決して曲げずにおいでね」


 そう言ってブラゴフと翠さんは消えていった。


「い、いやぁ勇者様御一行! 大変助かりました。城や城下町は多大なる被害が出ましたが、必ずや再建いたします」

「は、はあ」


 ゴーズ王は先ほどとは打って変わって笑顔で僕たちに近づいてきた。


「大変助かりました……ねぇなんか隠してるみてぇじゃねぇか。それに私を殺そうとしてたくせによ」


 彩葉さんは刀を拾ってゴーズ王に寄っていく。

 ブラゴフに負けたショックからか、イラつきが見て取れる。

 確かに、彩葉さんから見れば歴史を消そうとしている連中だ。言いたいことは山ほどあるだろう。


「ちょ……ちょっと彩葉さん!」

「止めるな蔵王。殺しはしない。そんなことのために来たわけじゃないからな。ただ……話を聞かせてもらいに来ただけだ」

「ヒィッ!」


 ゴーズ王はそばにいたフリストさんの後ろに隠れる。

 

「フリスト! 私を助けろ!」

「なにがなんやら……分かりかねますが、王への攻撃は私が許しません」


 フリストさんは長い銀髪を手で払い、彩葉さんの前に立つ。


「お前が私を止める? ハッ! 寝言は寝て言えよ。それともまだ夢見心地か?」


 彩葉さんは止まる気配がない。

 が、リビアが彩葉さんの肩を叩く。


「落ち着け彩葉。ゴーズ王からの話をまだ聞いていないだろう、なぁゴーズ」

「………………」


 ゴーズ王は語らない。

 一体なにを隠しているのだ……?


「歴史を消し去ろうとした罪は重いぞ……! 私の一族の……英雄の歴史を……!」


 彩葉さんの歯軋りの音が聞こえる。

 確かに、察するには重すぎる過去。僕がとやかく言うことはできないかもしれない。けど……殺人だけはダメだ。


 それでも、ゴーズ王は語らない。

 次第に後ろへと退いていく。


「どこに行くつもりだ? ゴーズ」


 リビアの問いかけにも無視を決め込み――

 玉座の裏に隠れた。


「ク……ク……ク…………私の国は……壊させないぞ……誰にも……!」


 そう言ってゴーズ王は雲のように姿を消してしまった。


「お父様!?」


 クラリス姫は状況を飲み込めずに叫ぶ。


「消え……た」

 

 僕も、彩葉さんも目をパチクリとすることしかできない。

 ただ1人、リビアだけが全てを理解しているようであった。

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