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第三十五話 死闘 前編

「縷月流・繊月!」

 

 移動式居合で彩葉さんが先制攻撃を仕掛ける。


「彩葉さん!」


 僕の制止も届かずに突進していく。

 

守護人(パーフェクトガード)

 

 翠さんのスキルが発動する。

 見えない壁によって居合斬りが阻まれた。


「チィッ! なんだ? バリアか?」

「ご名答。そしてこのバリアは……反射もする優れものだよ」


 彩葉さんが放った居合い斬りが、そのままの勢い……いや、それ以上の力で返ってくる――!


「グッ!」


 バックステップで回避したものの、回避しきれず腕を切られる。


 翠さん……本当に見えざる神話(メソロジーク)で、本気で殺しにきているのか……。


「おい蔵王! ボサッとしてんな! こいつらあれだろ? 参天群とかいうやつじゃねぇか? とんでもない強さだぞ」

「……いい仲間を持ったねロッカ君。いい洞察力だ」

「はあ? 知り合いか蔵王」

「遠い世界からの知り合いだよ。ほら、君こそ、よそ見していちゃダメだよ」


 ブラゴフが彩葉さんを間合いに捉えていた。

 手にしていた黒剣が彩葉さんに迫る。


絶観忘守(ぜっかんぼうしゅ)!」


 彩葉さんとブラゴフの間の空間を断絶させる。


「むぅ!」


 ブラゴフの剣が弾かれ、体勢を崩した。

 そこに、リビアのスキルが追撃する。


「ファイアー!」


 リビアのステッキから炎の弾が繰り出される。

 ブラゴフは火球を難なく躱す。


「なんだ今の貧弱な攻撃は……ん? 貴様は……リビア……か?」

「リビア・シュビレー、文句ある?」

「クッ……クハハハハ! いやいや、裏切り者がこんなところにいたとは……驚きだ」

「ど、どういうこと?」


 まずい。

 リビアが明らかに不審がっている。

 彩葉さんも分かっているのか、すぐさま攻撃の体制をとる。


「縷月流・十三夜!」


 13度の斬り下ろしをブラゴフに放つが、翠さんの守護人(パーフェクトガード)に阻まれる。

 反射することが分かっている彩葉さんは距離をとり、僕の横まで戻る。


「こいつら……強いな……」

「ええ、一筋縄じゃ行かなさそうです。まず、ゴーズ王とクラリス姫、それから兵隊長のフリストさんを安全な場所まで連れ出したいところですね」


 今の攻防を固唾を飲んで見守っていた3人。

 これ以上戦闘が激しくなれば、危害が及んでしまう。

 だが、不意をついて助け出せる程、翠さんとブラゴフは甘くない。

 

「あたし……裏切り者……?」


 僕の左隣でリビアは震えている。

 記憶の混濁が起きているかもしれない。


「リビア、あいつらの言うことは気にするな。敵の言うことだぞ」

「そうだぞ、私の腕を切った相手の言うことなんて、信用しちゃ駄目だぞ」

「う……うん」 


 リビアのためにも、戦闘を長引かせることは得策じゃない。

 早いところ、翠さんとブラゴフを倒さなければ……。


「ふん、こんな王国……世界のために命を賭けるなど……愚か者共が」


 ブラゴフを口を開く。


「僕からすれば、こんなことをするあなたたちの方がよっぽど愚か者に見えますけどね」

「そう言うなロッカ君。見えざる神話(メソロジーク)の成り立ちが人間たちの負の感情ということは聞いているだろう? けどね、逆に言えば見えざる神話(メソロジーク)が復活することなんて本来あり得ないんだよ」

「あり得ない……?」

「そう、とんでもない量の負の感情が必要となる。つまり、見えざる神話(メソロジーク)が復活した時点で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということなんだよ。ブラゴフが愚か者と言うのも分かるだろう? 終わってしまったものを守ってもしょうがない……おっと、王様のいる前で言うべきことではなかったかも知れないね。なんせこの事態を引き起こした元凶なんだから」


 負の感情に溢れたこの世界は、既にどうしようもない。だからこそ破壊せざる負えない。

 元凶――

 僕も見てきた。

 王国への不満を持った人々を。

 ライフラインすらまともにきていない村を。


「そやつらの言うことに耳を貸しちゃいかんぞ勇者様!」


 ゴーズ王は堪りかねたか、言葉を挟む。


「ふん、貴様からしてみれば、勇者は最後の頼みの綱。泣き落としでもなんでもしたいところだろうが……悲しいかな、ヴィーシュの言ったことは全て本当だ。我らからすれば、我らがこの世界の救世主で、貴様らは破滅をもたらす悪魔だ」


 ブラゴフは剣を構える。


「貴様らが命乞いをするならば、勇者だけは生かしてやる……本来この世界にはいない、王が自らの誤ちを認めたくないがために呼び出された存在だ。貴様が望むなら生かしてやらんこともないが……」

「僕は……この世界を守るために来たんです。全てが共存できるように。戦うと言うのなら、なんとしてでもあなたたちを止めて、全てを守ります」

「そういうこった。私たちも引けないんでね」


 彩葉さんも居合の体勢をとる。


「愚か者共が……」

「ロッカ君に問答は通用しないよ、ブラゴフ。分かっていたけど、念のためやってみただけさ。殺すしかない」

「なるほどな……死をもって分からせるしかないというわけか!」


 ブラゴフは黒剣を手に僕に向かってきた。

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