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第三十三話 終戦

「レイザー、生きてるか?」

 

 俺は地上に横たわっているレイザーに声をかけた。もう通常のサイズに戻っている。


「馬鹿野郎……運良く《狂戦士(グラディアトル)》が解けて瓦礫に身を隠していたから耐えられたものを……正気じゃねぇぞお前」

「そりゃあ悪かった。レイザーなら生き残ると信じて放った大技だ。許してくれ」

 

 レイザーを引っ張り上げて立たせる。

 さて、と。

 瓦礫すら無くなって一面更地となったこの場所で、シヴァイザは伏していた。

 

「あいつも死んでなければいいけどな」


 正直、殺す気でケラウノスを放った。

 そうでもしなければ止められなかった。

 シヴァイザに近づこうとすると、膝が揺れた。

 英雄神話の代償か。

 大技を連発し過ぎた。


「あーあ……」

 

 仰向けのままシヴァイザは話しだした。


「まさか僕の未来視をこんな形で破るなんてね」

「てめぇの未来視は対象1つしか見れない。加えて、視えたところでどうしようもない場合は対処ができない。そんなところだろ」

「完敗だよ。こんな自分の姿までは視えなかった」


 ノソノソと立ち上がりだすシヴァイザ。ケラウノスを喰らってもう立ち上がれるなんて、とんでもない耐久力だ。


「もう僕に戦える手段は残っていない。生殺与奪の権は君にあるけど……」

「これ以上争わなければ、危害を加える気はねぇよ」

「聞きしに勝るお人好しっぷりだ。まあ負けちゃったからね。見えざる神話(メソロジーク)自体に思い入れがあるわけじゃないし、君の言うことを聞くとするよ」

「そうしてもらえると助かるな」


 そう言うとシヴァイザはレイザーに顔を向ける。


「……レイザー。君たちの努力を嘲笑ったこと、騙したりしたこと。謝るよ。ここまでやられちゃあね」

「はん! そんな言葉1つで元通りになるなら簡単なこったな。お前のこれからの行いで判断してやるよ」

「それは……安易に殺されるより苦しいけど……僕の行いからすれば当然の報いかな」


 シヴァイザは足を引きずりながら、後ろに歩き始めた。


「もう邪魔はしないよ。僕が動こうが動くまいが、これから起きる出来事に変わりはない。見守らせてもらうよ。それじゃあね」


 そのまま目の届かないところまで消えていってしまった。


「……やけにあっさりとした奴だな」

「ま、そういうところはシャルヴの名を偽っていた頃から変わらねぇな」


 俺とレイザーは王国がある方角を見つめる。


「だけど気になるな……シヴァイザが動こうが動くまいがこれから起きることに変わりはない……か」


 俺の発言に首を傾げながら聞くレイザー。


「参天群の1人って言ってたし、残りの2人が何かしでかすってことか?」

「かもしれないが……負の感情……。なにか嫌な予感がする」


 俺は意に反して座り込んでしまった。英雄神話は肉体的疲労が大きすぎるな。


「もう少し俺の体の疲労がとれたら、回復スキルで万全の状態にして一旦王国に向かおう」

「あんまし行きたくねぇけどなあ……仕方ねぇか」


 更地の中、俺とレイザーは休息をとることにした。




 ――Next is another perspective

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