第三十二話 大和・レイザーvsシヴァイザ
「うおおおおおおおお!!!」
レイザーは向かってくるシヴァイザに斧と石剣を振り回す。
太刀筋は粗いが、身の丈3mを超えるデカさから繰り出される攻撃は破壊力抜群だ。
しかし、シヴァイザには通用しない。
全て避けられる。
「どうしたの。意気込みだけじゃあどうしようもないよ。死にたがりだね」
三又の槍の矛先が赤く燃え上がる。
「この目が静ならば、この槍は動……!」
シヴァイザは槍をレイザーに向かって突き出す――
「滅びの槍」
途端、視界の全てが炎に包まれて――
「……! やべぇ! エクスカリバー!」
シヴァイザに反応する様にエクスカリバーで割り込む。
が、豪炎の前に全て吸収されて、神殿全てを破壊し尽くした。
◇
「ゲホッ! ガハッ!」
――どうなっている? 吹っ飛ばされたのか?
周りは……瓦礫の山に、辺り一面が燃えている。
レイザーは……大丈夫か……?
いや、考えてる場合じゃねぇ!
シヴァイザが上から槍を突き出し飛来してきた。
身を翻して避ける。
「おっと! まだ動けたなんて。生死を確かめるために来たのに」
「生死確かめるのに槍突き出す必要ねぇだろうが」
「冗談だよ。君のエクスカリバーで若干勢い殺されちゃってたからね。死んでないことは第3の目で分かってたよ」
三又の槍で第3の目をコツコツと突く。
なんでも理解る目……ね。
「レイザーも生きているみたいだけど……狸寝入りしてるのかな。息を潜めて僕を殺すタイミングを見計らってるみたいだね。ま、別にいいけど。先に君から殺すからさ」
三又の槍を構えるシヴァイザ。
次滅びの槍を喰らえば命はない。
「死ね……滅びの槍」
クソ……何か手はないのか?
今の俺は神話全ての武器を使える身。現世における神と同義。勇者でなくとも……勇者と同等。
打破できる手段があるはずだ……!
探せ――打ち消す武器を――!
「英雄神話・フラガラッハ!」
透明の剣身の剣。風を司るこの武器ならば――!
フラガラッハから暴風が吹き荒れ、滅びの槍の炎を全て吹き飛ばす。
「おっとと、凄いね」
まだまだ余裕な表情で俺を見るシヴァイザ。
この状況も見透しているのだろう。
どれほどのものかは分からないが、シヴァイザの第3の目は恐らく未来視。
それなら……。
「考え事してる場合じゃないよ」
意識を外した隙に、シヴァイザは懐に潜り込んでいた。
そのまま槍で薙ぎ払う。
「グッ!」
フラガラッハで受け止めるが、一撃で砕かれて飛ばされる。
「英雄神話・グングニル!」
すぐさま赤く発光する槍をシヴァイザに目掛けて投擲する。
一直線に向かうグングニルをシヴァイザは難なく避ける。
しかしこの槍は必中の槍――対象を穿つまで止まることを知らぬ神槍。
「次から次へと、とんでもないものばかり出すね。これを止めるには投擲者を殺すしかないか……ん?」
突如瓦礫の山が爆発する。
「ウウウウガアァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
レイザーが姿を現す。
が、レイザーの姿は、先ほどよりも大きくなっていた。
10m……いや、20mはあるのか?
目は充血し頭から2本の角が生えている。
手に持っていた石剣と斧も体躯に合わせて巨大化している。
「《狂戦士》か。ステータスの全てを攻撃に一点特化するというスキル。代わりに理性がなくなるけど、そこまでの捨身のスキルは見えざる神話にもないよ」
ため息をつくシヴァイザをよそにレイザーは突っ込み斧を振り下ろす。
「ウガアァァァァァァァァ!!!」
「うるさいなぁ」
三又の槍で斧を受け止める。
だが、俺のグングニルはまだ生きている。
「くっ!」
シヴァイザは体を捻り斧とグングニルの両方を避ける。
心なしか焦りが見えた……?
未来視があるというのに?
――次のタイミングだ。
次のレイザーとグングニルの攻撃のタイミングに合わせる。
「まずはうるさいレイザーから仕留めようか」
シヴァイザはレイザーの頭と同じ高さまで飛ぶ。
そのまま滅びの槍の体勢をとる。
「やらせねぇ!」
グングニルはシヴァイザ目掛けて飛んでいく。
それに呼応してか、レイザーは石剣で薙ぎ払う。
「めんどくさいなぁ……! 不安定な体勢でもできるんだよ?」
シヴァイザは回避を試みる。
――――――ここだッ!
グングニルを消去して、次なる英雄神話を繰り出す。
「英雄神話・ケラウノス!」
右手に顕現するは小さな雷そのもの。
そこから放たれる、神の雷。
神殿どころか、半径10kmまで及ぶ。
「ちょ……待て待て待て待て待て待て待て待て!」
「そういえば、俺の名前を知りたがってたな……教えてやるよ。俺の名前は大和大和。キッチリ覚えておけ」
雷は、シヴァイザ含め大地に落された。




