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第二十九話 第3の結界師

「まーさかお前と2人旅になるとはなあ」


 レイザーは俺をチラチラと見ながら話す。


「俺は想定内だったぞ。班分けしたらこうなることは分かってたじゃねぇか」

「そんなつんけんすんなって。悪かったよ。お前の力は本物だった。これなら勇者のほうはもっと強いんだな」

「そりゃあ……そうだろうよ」


 蔵王は俺の先を進んだ。

 元々勇者の称号はあいつのもんだったから、嫌なわけではない。

 けどなんだ? この萎えきらない感情は。


「とりあえず俺らの役割は結界師討伐だ。気張っていこうぜ大和!」


 背中をバシバシ叩かれる。

 レイザーのパワーで叩かれると、ヒリヒリする。

 

 そんな与太話をしながら、走り続けて3日目。

 神殿は意外に近く、予想よりも早く着いた。

 

「これだな。最初は王国がまた変なこと始めたもんだと思っていたが、こんなところが魔神軍の拠点になっていたとはな」


 タージマハルを思わせるような白い大理石のような物質で建てられた神殿を目の前に、レイザーは話した。


「緊張してんのか? まあ俺に任せておけば安心だって」


 レイザーは大熊のようにノシノシと先を歩いて神殿に入っていく。

 近くで見ると本当に人間離れした体格だな。並の人間では力だけで圧殺される。地球なら間違いなく最強だろうな。だがこの世界ではステータスが命。見た目通り高いステータスではあるが、俺のほうがステータスが高いからまず負けない。

 魔神軍が相手じゃなければ……。


「お前にだけ任せるわけには行かねぇよ」


 緊張……してるわけじゃねぇ。

 ただ、魔神軍を相手にできるのか、分からない、それだけだ。

 

 神殿に入ると、外部の印象とはまったく違う風景だった。

 大広間が広がっていると思っていたが、迷路のような通路しかなかった。


「これは……骨が折れるな」


 天井が一般人ように作られているためか、レイザーは少し姿勢を低くしながら話す。

 いきなりから分かれ道。効率だけでいうなら別行動が正しい選択か。


「おいレイザー。二手に分かれていくぞ」

「つい3日前に分かれたばっかりなのに、また分かれるとはなあ。けどそれが最善か」


 レイザーも納得する。

 ……これでいい。

 俺だって、戦える。

 レイザーには俺のスキルは伝えていない。伝えればきっと守られる。

 そんなことはもう懲り懲りだ。

 それに……秘策がある。


「また、ここで落ち合うぞ」

「おうよ!」


 俺が左から、レイザーが右から神殿内を進んでいくことにした。


 

 ◇



 ――不気味だ。

 なにも感じられない。

 もちろん、今の俺は一般人以下。感知スキルを持っているわけじゃない。

 だが、そういうことじゃない。

 生物の気配が、雰囲気がまるで感じられない。

 コツコツと石畳を歩く音しかしない。

 右へ左へ通路は続いていくが、敵も1人も現れない。構造上、曲がり角に潜ませるのが定石だと思うが……。

 やがて、少し広い部屋へと辿り着いた。

 待っていた風景は、俺の考えていたものとはまるで違っていた。

 結界師――と思わしき人物は胴体と頭が完全に分離しており、胴体部分は力なく横たわっていた。

 そして、血液滴る頭部分は――


「やあ、待っていたよ一般人。1人で来るなんて大胆不敵だね」


 シヴァイザにバスケットボールのように鷲掴みにされていた。

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