表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/53

第二十話 病床

 終わってみれば、大した被害は出なかった。

 怪我人は出たものの、死者は出ず、建築物も控室が破壊されたくらいだった。

 しかし――

 レイザーさんや大和さんは、外傷より心に負った傷が深いだろう。

 シュラハトガーディアンの道場の中にある、医療室の椅子に僕とリビアは座っていた。

 ベッドにはレイザーさんと、大和さんが眠っている。

 

「大和さん……」


 拳を堅く握りしめる。

 大和さんはなぜ特攻したんだろう。普段冷静な大和さんらしくない。

 蚊帳の外に心底腹を立てていたのか。

 特別――

 大和さんの過去に何が合ったんだろう。そこまで自己卑下する必要なんてないのに。

 人は――生まれながらにして特別だ。


「まったく、ヤマトもレイザーも無理しすぎだよ……見ただけで分かるじゃん。あんな化け物、勝てるはずがないって」


 リビアは悪態をつきながらも、肩を震わせている。

 視るまでもなく理解したのか。元仲間だから知っていたのか。

 

「魔神軍……見えざる神話(メソロジーク)って、一体なんなんだ?」


 思えば、ウリィは500年前のことを知っていた。シヴァイザは10年前からここにいた。

 あれ、おかしい。ウリィは復活しているから前のことを知っていて納得できるが、シヴァイザは10年前からここにいたという。つまり、5()0()0()()()()()()()()()()()

 それにシヴァイザは言っていた。発端を聞くべきだと。

 ただ世界征服を企む奴ら、ではないのか。

 発端――

 人間離れした強さのモノが生まれた理由……か。


「ごめんね、ロッカク。あたし、なんにもできなかった」


 リビアは項垂れながら僕に謝る。

 違うよ、リビア。

 本来なら、魔神軍を止めるのは僕なんだ。

 動けなかった。

 怖かったんだ。

 恐怖で体が動かないなんて今まで経験したことがなかった。

 余りにも力不足。

 余りにも――無力。


「リビアが悪いわけじゃないよ……僕が弱いからいけなかった。ごめん、リビア」


 2人で向かい合い謝罪し合う。


「ったく、傷の舐め合いしてんじゃねぇよ」


 目を覚ましたのか、大和さんはゆっくり起き上がって開口一番怒られた。


「大和さん……大丈夫ですか?」

「みりゃあ分かるだろ。軽傷だ軽傷」

「なら早く起きてよね! まったく」

「うるせぇ」


 額に巻かれた包帯を指差す大和さん。

 流れるようにタバコを吸い出す。

 とりあえずは大丈夫そうだ。

 

「……強かったな、あいつ」

「ええ」

「視えたか?」

「少しだけ……スキルはわかりませんでしたが、攻撃のステータスは1580とでてました」

「1580……ね。化け物じゃねぇかよ」


 わざとらしくタバコをふかす大和さん。


「分かってたことだが、俺は対魔神軍では何の役にも立ちやしねえ。笑えるぜ」

「1番しょぼくれてんのはヤマトじゃん」

「大人にはそういうときもあんだよ」

「キー! また子供扱いして!」


 大人と子供の頬のつねり合いがまた始まっている。

 もう付き合ってしまえ。

 そして淫行条例に引っかかってしまえ。

 羨ましくなんかないぞ。


「ここまで規格外だとは思ってなかった。仲間を集めると共に、俺ら自身も強くならなきゃならねえ」

「でも……僕らのスキルは頭打ち……どうしようもないですよ」

「……それを考えるしかねえ……それに、可能性がないわけじゃねぇ」

「え?」


 僕らのスキルの可能性……?

 大和さんは何か掴んだのか。僕には見当もつかない。そんなことも言っていられないけれど。


「1週間も休めば、完全に回復する。それまでの間に考えようぜ」

「……分かりました。僕のほうでも考えてみます」


 僕は席を立つ。

 これ以上は怪我に触るだろう。

 

「リビア、行くよ」

「うん……お大事にね、ヤマト」

「リビアに心配されるなんて、明日には本当に死んじまうかもな」

「キー! バカヤマト!」


 なんちゅう小競り合いだ。

 僕はリビアを羽交い締めにして病室を後にした。

 僕たち異世界転生者の可能性――。

 探ってみなければ。

 誰か500年前に詳しい人もしくは、文献があれば参考にしたい。

 武に詳しいシュラハトなら、500年前伊達政宗がどうやって戦っていたのか、残っているかもしれない。

 守るどころか動くことすらできないなんて、そんな悔しい思いは1度で充分だ。

 必ず――強くなってみせる。

 僕たちはシュラハトで500年前について調べることにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ