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第二話 過去と今と未来

 夢を見た。

 昨日まで当たり前のようにいた、学校だ。

 僕は教室の一番後ろの窓際の席に座っていた。

 朝礼前、僕に話しかける男子生徒。

 

 ――わりぃ、宿題見せてくれ。


 僕はいいよ、と答えて数学のプリントをスクールバッグから取り出して渡す。


 ――サンキュー! 助かったよ!


 僕はサムズアップをして、お前が助かったなら何よりだよ、と答えた。



 ◇



 昼休憩、僕は生徒会長に呼び出された。


 ――蔵王君、申し訳ないんだけど、放課後花壇の水やりをお願いできるかな。


 僕は2つ返事でオーケーした。



 ◇



 放課後、花壇の水やりをする。

 広い高校でもなく校庭の1部分にしか花壇はないため、水栓と花壇の2往復で終わる。

 綺麗に咲けよ、と念を込めながら水やりをする。

 あらかた終わったところで担任の先生に話しかけられた。


 ――蔵王、悪いんだけど、最近校庭の落ち葉が凄くてな。生徒会も清掃の人も今日は帰ってしまっていて、できれば清掃をお願いしたいのだが……。


 問題無いですよ、いつもやってますから、と答えて体育倉庫にあるほうきを取りに行く。

 落ち葉を掃いて校門前は塵1つない綺麗な姿となった。

 

 誰かに頼られることは、いいことだ。

 誰かを助けることは、いいことだ。

 誰かを笑顔にできることは、いいことだ。

 誰かを幸せにできることは、いいことだ。

 

 だからこそ――

 それで死んでも本望だ。

 たとえ、目の前で名前も知らない人が電車に轢かれそうなところを救うために死んだとしても。


 けれどもこうして第二の人生を歩んでいる。

 しかも、僕でなければ倒せない魔神がいる異世界で。

 誰かを傷つける魔神軍。そんなこと許せない。

 けど――けど。

 魔神軍が関係していない、目の前で苦しんでいる人を、僕は見過ごしていけるのだろうか――

 


 ◇



「んがっ!」


 自分の鼻ちょうちんが割れる音で目が覚める。

 窓の外を見ると雲一つない晴天だ。


「異世界も朝と夜とか、そういうものは地球と変わらないんだな」


 昨日の朝まで見ていた空と一緒だ。

 僕は独り言を呟いた。


「それにしても、本当にひどいスキルだ」


 改めて自分のスキルを確認する。

 スキル《慧可断臂(サイドロック)

 こんなものが付属されているなんて。


「ま、魔神を倒すにはなんらデメリットじゃないし、早く片付けちゃえばいいだけか!」


 学ランに袖を通して、出発の準備をする。

 

「よーし! いっくぞー!」


 宿屋を駆け出して、石畳の上を駆ける。

 城下町は、お城が近くにあるということで、その広さは尋常ではない上に、囲碁の目のように入り組んでいる。

 戦闘スキルは多彩に持っているが、それ以外はほとんど持ち合わせていないため、出口を探すために走り続ける。

 いい汗をかいたところで、やがて城門へと辿り着いた。

 城と町を守るために、兵士が5人門番をしている。

 僕は彼らに会釈をして通り過ぎようとした。

 そのとき――。


「ゴアァァァァァァ!」


 咆哮と共に明らかに人ではないモノが城門に迫り来る。

 鬼のような角と牙、赤褐色の肌に人並外れた体躯。

 これが俗にいうオークというやつか。

 1体だけではない。30体はいそうな雰囲気だ。


「化け物だ……あんなのが町に入ったらみんな殺されちゃう」


 臨戦態勢を取る。

 周りの兵士たちには町の人の避難誘導をお願いする。僕が勇者ということが知れ渡っているからか、素直に指示に従ってくれた。


「さて、30体か」


 ただのパンチでは時間がかかりそうだ。

 広範囲技で一気に決めよう。

 僕はステータスを見て思案する。

 昨日からステータス画面を眺めて色々なスキルを見ていた。

 ふと、指が止まる。


 スキル《慧可断臂(サイドロック)


 もし――

 もしあのオークが魔神軍と関係のない、ただの獣だったら?

 並の人間と変わらない身体能力でオークに殴られたら、どこで受けても致命傷、いや、一撃で存在を消滅させられる。

 肩が震える。

 死は怖くない。

 けど、現実的に考えればすぐにでも結界師を倒して回って魔神を倒すことが何よりも成功率は高い。

 普通ならそれが正解だ。

 城下町には兵士も山ほどいる。僕じゃなくてもここは守り切れるだろう。

 ならここはスルーすべきか。

 迷っている間にも城門にオークは近づいてくる。

 

「うわぁぁぁん! おかあさぁん!」


 背後の少女の泣き声が聞こえた。


「大丈夫よ! 勇者様がいるんだから!」


 母親の慰める声が聞こえた。


「そう、だよな」


 拳が壊れるくらいに固く握りしめる。

 何を迷っているんだ。

 何もかも助けるって、誓ったはずじゃないか!


「僕は、勇者だ! 勇者蔵王六角だ!!!」

 

 空が割れんばかりに雄叫びをあげ、手の平をオークに向けてスキルを発動する。


炎天終焉(ブラストエンド)!」


 発動後、本当に空が割れて火球が雨あられにオークたちに降り注ぐ――!


「ゴッ!?」


 驚き退避し始めるオーク。

 だが、もう遅い。

 1体のオークに直撃した火球は耳をつんざく程の音と共に爆発し、他のオークたちに連鎖していく。


「ゴッ! ゴガァァァァァァァァァァァ!!!」


 1球でこの威力だ。

 後の結果は見るまでもない。

 強烈な爆発音と、オークたちの断末魔を背に受け、僕は泣いていた少女の元へ駆け寄る。


「ごめんな、怖い思いさせて。もう2度と、こんな思いはさせないから」


 頭に手を置いて、決意を述べる。

 

 誰かの悲しむ顔は見たくない。

 誰かの不幸は見たくない。

 誰かの死は見たくない。


 みんなを、守りたいんだ。


 ずっとずっと思い描いていたこと。今はその力も義務もあるんだ。


「魔神は絶対、倒すから!」


 最高のサムズアップで少女に別れを告げ、焦土と化した地面を駆け抜けた。

道化王NOZAだぁ。

2話目を書きました!

最近は小説と同じくらい、グラブルに一生懸命になっておりますw

イナズマイレブンにもハマってしまい、毎日色んな沼に落ちてます。

ではまた来週会いましょう!

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