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ハル

作者: 麻生 つむぎ

犬が鳴く。赤ん坊が泣く。

決して寄り添うことが出来ない内側に込められた想いにやるせなさを覚え、僕は今日も無いもののままだ。



今朝の情報番組で桜の満開情報について取り上げていた。もう見頃らしい。確かに、大学への通学中に見た桜の木はどれも花盛りで、花見にはもってこいの季節かもしれない。そうやって桜を見上げながら、僕は桜にすらなりきれていない花びらの欠片を踏みつぶして歩いている。肩の上に舞い降りた花びらを振り落としている。それを誰もダメだと言わない世の中だ。もはや、花見など高貴の産物なのかもしれない。


テストで良い点を取ったことがある。先生も親も褒めてくれたし、友人も讃えてくれた。嬉しくないわけではないけれど、自室の机の引き出しに閉まってある赤点間近の成績のテストを隠すのに精いっぱいで笑えなかった。


将来が有望視されている高校球児が甲子園予選の直前でケガをしたらしい。駆け寄る周囲の表情はどれもどんよりしていた。大丈夫だと声をかけている人を横目に、何が大丈夫なのかと呟く。


結局、結局だ。分からないものを分かっている風に振舞うのが世の中だ。見えないものを見えたと勘違いして手を挙げるのが世の中だ。あぁ、めんどくさい。分からないというだけで、見えないと伝えるだけで、あなたは怪訝な顔をする。やっぱり、めんどくさい。


人で溢れかえる都会の大きな駅の中央で大声で泣いたら誰が駆け寄ってくれようか。吐き出す空気を勝手に加工して遠くに飛ばすに違いないだろう。二次創作で賞が取れるなんて簡単すぎるだろ。



「じゃあ、あなたは道端に落ちている桜の花びらを全てかき集めないと花見しないんですね」

って言ってくる人をずっと待っているのかもしれない。

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