第6話 ハローワーク爆散
都市の職業安定所、つまりハローワークが爆散していた。
まるで空からピンポイントで爆撃でもされたかのように建物の9割が吹き飛び、僅かに残っているのは、黒く焦げた梁や一番下の基礎だけだった。
酷いバイト先を紹介されたのでクレームを入れようとして訪れたのに、これでは謝罪してもらうどころか、次の仕事の紹介すらしてもらえない。
「何が、起きたんだ」
「……オダブツ」
隣のイチも、トウゴが職に就かなければサンドイッチを腹一杯食べられないことが分かっているので、げんなりとした顔で全壊のハローワークを眺めていた。
その足で都市の不動産屋へ行くと、いつも通り金髪ヤンキーのニーナが、ボロボロの雑誌をつまらなそうに読んでいた。
「らっしゃーい、ってなんだお前らかよ。今日はハロワ行くんじゃなかったのか?」
「ど、どうもニーナさん。それが、ですね――――」
さっき見たことを伝えると、ニーナは爆笑した。
「あははははっ! 何だそれ!」
「いやいや、おれにとっては割と死活問題でして……てか昨日、そんな大きな騒ぎもなかったのに、何でハロワだけあんな派手に爆散してるんでしょうか?」
「さあな。でも大抵、この都市で起きる不思議なことつったらだいたい、【忌不様】の仕業だろ」
「あー……また【忌不様】かぁ」
「むっ」
羊羹にかぶりついていたイチが非難の目を向けてきたので、トウゴは慌てて両手を振る。
「あ……いや、イチさんのことじゃないよ? イチさんは友達だよ?」
「……ふんす」
それで納得したのか、再び羊羹を一竿、もがもがとかじり始める。
セーラー服にスカートという格好なのにソファの上で体育座りをしているため、きっと対面に座るニーナにはパンツが丸見えになっていることだろう。
「はぁぁぁ……でもなぁ……こんな都市で、何の仲介もナシにバイト探すなんて、怖いなあ」
「なんだよ、辛気臭ぇなあ」
ニーナは舌打ちして、お茶を啜った。
「そんなら、アタシが調べてやろうか?」
「え……い、いいんですか?」
「こう見えて、この都市には長いんでな。直接口利いて仲介、みたいなことはできねえが、バイト募集してる店やら工場やらの情報なら、すぐ教えてやれるぜ」
「土地勘の無いおれ1人で探すより、全然イイです! お願いします!」
「よっしゃ。どーせ暇だしな、まあ任せとけ」
そうしてニーナに、いくつかのバイト先候補を紹介してもらった。




