彼氏
結構ドロドロです。
でも最近、こーゆー恋愛もあると思うしありだと思うんです。
拙い文章ですが暖かい目で見守っていただけると幸いです。
―ピコンッ
携帯の通知音が鳴る。僕はすぐに画面を確認した。
「おはよ!すっげ眠い~」
彼氏からの連絡だった。
大学一年生の7月、僕に初めての彼氏が出来ていた。
名前は榎本雅人という。
今まで女の子としか付き合ったことのなかった僕にとって、初めての経験だ。
そんな榎本との出会いはネット。
僕には無縁であろうとずっと思っていたネット恋愛を今している。
声が高く、トプ画を好きな女の子のキャラクターにしていた僕は、彼に女の子だと勘違いされた。
その頃、彼女に振られたショックのせいで、誰でもいいから話していたかった僕は正直どう思われてようがどうでもよくて、特に訂正しなかった。
そしたらすっごく気が合った僕達はどんどんどんどん仲良くなって、ある日突然告白された。
男だと打ち明けると、それでも構わないと。
ネット恋愛なんて所詮遊びだろ、と考えていた僕は軽い気持ちで付き合うことを承諾した。
偏見のある人もいるかもしれない。
でもこれが、案外毎日楽しいんだな~
ニヤニヤと連絡を返しながら僕の心は満たされていた。
榎本は1つ歳下で、高校を中退したらしく、通信制に通っている。夜遅く寝てお昼に起きて、夕方からバイト、なんて生活をしてるから暇らしく、毎日頻繁に連絡を取り合って、夜は電話を繋いだまま一緒に寝た。それが彼氏と付き合ってからの僕の日課だった。
「おい、さっきから何ニヤついて携帯見てんだよ?早くサークルの新歓行こうぜ。」
大学で最初にできた友達の智が携帯を覗き込むように話しかけてきた。
「うるせー画面見んな!」
サッと画面を隠すと、入ろうか迷っているテニスサークルの新歓に向かった。
サークル長「1年生のみんな!今日は来てくれてありがとう!楽しんでってな、んじゃ、グラス持って~~」
「「「かんぱーい!!!」」」
初めての飲み会。席がくじ引きという人見知りにはきつい状況。
さとしの近く!!という念を込めて引いたがくじ運のない僕は惨敗。
周りはほぼ先輩。
ただ、目の前に1人、同じ1年生の女の子が座っていた。
周りを男の先輩ばかりに囲まれていたせいか彼女は目立っていて、印象的だった。
「えっと、福永ゆみです。経済学部の1年生です。趣味は……サイクリングとか、好きです。」
へー。サイクリング好きなんだ。しかも学部も同じ。
春休みにやっていたアニメの影響でクロスバイクを買っていた僕は、勝手に親近感が湧いた。
自己紹介が終わり、いくつかゲームをして盛り上がるとみんな席を自由に動いた。
あっという間に飲み会終わりの時間。
飲み会の帰り道、僕は福永さんに声をかけられる。
「あの、今日目の前の席だった、福永ゆみだけど…」
「ああ、あの時周り先輩ばっかだったから、福永さんいてくれてちょっと安心してた、実は」
なんて笑いながら答えると、彼女に連絡先を聞かれた。同じ学部の同じサークル仲間、純粋に嬉しくて快く交換した。
さとし「あの子、もしかしたら一目惚れでもしたんじゃね?」
僕「なわけねーだろ、ただ席が近かっただけだよ。」
家に帰宅しお風呂に入ってベッドでゴロゴロ、榎本の電話の準備ができるのを待っていた。
―ピコンッ
榎本からかなと思って急いで画面を開く。
「今日は楽しかったね。これからよろしく!」
福永さんからの連絡だった。
こちらこそよろしくね、と返す。
~~~♪♪
着信音が鳴る。榎本からだ。
いつもの様に他愛のない話をした。
今日はサークルの飲み会に行ったよ、と話したら「えーーー」と少し妬いてるようだった。
(可愛いなあ)
今まで男の人に感じたことのなかった可愛いという感情がわく。
ああ、まだ会ったこともないけど、男の人だけど、僕はこの人に恋してるんだな、なんて考えていたらいつの間にか寝ていた。
この時の僕は夜のこの時間が毎日幸せで、こんな日々がずっと続いて欲しいと願っていたし続くだろうと思っていた。