インターバル-1
何をしても上手くいかない、私にはそんな時期があった。
入部してから二年間は順調だったのに、突然記録が伸びなくなった。
走っても両サイドの選手が嘲笑うかのように、私との距離をみるみる引き離す。
跳んでも重力が私にだけ意地悪をしているのではないかと錯覚するほどすぐに墜落。
全然自分の思い通りにならない。
「だから競技は絞った方が良いと言ったのに」
「全部できると思ってたのか? 自惚れすぎ」
そんな言葉を言っていたのはチームメイトだっただろうか、それともコーチだっただろうか。
その時は全部できるなんて自分でも思っていなかった。
ただ、可能性を広げたかった。
いろんなことにチャレンジして、成長していく自分が楽しかった。
でも突然壁にぶつかってしまって、私は焦ってうろたえた。
こんなはずじゃない、そう思って必死に練習したけど、結果は変わらず。
むしろ少しずつ記録は落ちていく。
一番得意だったハードルでも不調は顕著に現れて、私の脚には擦り傷や痣が増えていった。
ずっと目をかけてくれていたコーチすらも私に失望して、他の部員に力を入れるようになってしまった。
当然だ。そもそも私の専属でもないし、伸び代がある選手に教える方がコーチもやりがいがあるだろう。
それに、私自身が一番私に失望していた。そんな私の心をコーチは感じ取ったのかもしれない。
もう何もかも嫌になった。
陸上を辞めようかなとすら考えるようになってしまった。
あのときの私は、初めての挫折を経験して絶望のどん底に沈みこんでいた。
あの日、君に遭うまでは。