インターバル-2
なんであんなことを言ってしまったんだろう。
自分勝手な約束を無理矢理取り付けようとして……。
永瀬くん、驚いた顔してたな。
「考えとく」って言ってたけど、あれって断られたんだよね……?
当たり前だよ。いきなり意味わからないし、永瀬くんにはメリットが無さすぎる。
私も何か言わなきゃって、テンパっちゃってた。
元々もう一度永瀬くんに入部の話を持ちかけるつもりはあった。
帰り道になんだか雰囲気も良くなったから、今なら永瀬くんも首を縦に振ってくれるんじゃないかって期待して、バスケ部に入ってってお願いしてみたけど……。
永瀬くん、すごく辛そうな顔してた。
こんなにまで頑なな態度をとるってことは、もしかして理由は怪我のことだけじゃないのかな……。
もしそうなら、私は永瀬くんに対してものすごく酷いことをしているんじゃないだろうか。
永瀬くんはバスケに関わりたくないのに、私が無理矢理誘うから嫌々付き合ってくれているんじゃないだろうか……。
ううん、それはきっと違う。
だって……。
バスケを教えてくれてる時の永瀬くん、すごく楽しそうだったもん。
笑いながら、明るい声で色んなことを一生懸命教えてくれた。
……時々怖い顔で厳しく言われることもあったけど。
嫌々とか、そういう感じじゃなかった。自惚れじゃなく、本当にそう思う。
じゃあなんでだろう?
わからない。
私は永瀬くんのこと何にも知らない。
もっと知りたいよ。君のこと。
どうして栄城に進学したの?
どうしてバスケ辞めちゃったの?
どうして……そんなに暗い顔をしているの……?
あの時の君はもっとキラキラしてた。
そんな君に私は……。
決めた。私はまだ諦めない。
まずは明後日だ。もう一度永瀬くんを試合に誘ってみる。
多少強引でも、気持ちを込めてお願いするんだ。
でも、もしもう一度誘ってみてもダメだったら……。
これ以上私のわがままに永瀬くんを付き合わせるわけにはいかないから、大人しく身を引くことにしよう。